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高難易度クエストに行こう その1

ユウナのアッパーをもろに受けて気を失った俺が次に目を覚ますとギルドに着いていた。ユウナが運んでくれたのか。

俺が立ち上がって自分の服を見てみると何故かすごい汚れていた。


「うわ、何でこんなに汚れてるんだ?」


「それはここまであなたを運んできたからよ」


「どうやって?」

俺は汚れをはらいながら聞いた。嫌な予感しかしない。

「あなたが倒れている場所の重力の向きを変えて引きずってきたのよ」


「普通は肩貸したりとかしてくれない?俺はキャリーバッグでも道に落ちてるビニール袋でもないのよ!?」


それ第三者からしたら異様な光景すぎないか。お前が歩いている隣で気絶した俺が謎の力によってズルズル音を立てながら滑り移動してるってことだよな。まさにビニール袋状態じゃねえか。


この学生服だって数少ない元の世界のものなんだから大切にしてくれよ。しかもポケットの中にスマホ(電池切れ)も入ってんだから。


え?まだそんなの着てるのかって?まだ俺好みの服に出会えてないんだよ悪かったな。


俺はクエストの紙が貼ってあるボードを見る。相変わらずすごい量のクエストだな。『スライム討伐』に『ゴブリン討伐』というありきたりなものから『リザードマン討伐』『エンシェントオーバーロード』ってあれ?このクエストって俺が初めてギルドに来たときからずっと同じ場所に貼られてないか?


誰も討伐してないのか。名前からしてヤバそうだし多分誰もやりたがらないんだな。むしろこんな絶望的なの誰がやるの?


俺らは何を受けようか。それなりに難しいのでも大丈夫だとは思うが誰もやりたがらないレベルのはできる気がしないな。

無難に『オオトカゲ討伐』とかにしておくか。

俺が紙を剥がそうとしたときユウナが


「これなんかいいんじゃない」

と先に紙を剥がした。見てみると


『終末を呼ぶ者 討伐


東の黒い大地付近に終末を呼ぶ者の出現が確認されました。

過去に終末を呼ぶ者を討伐した冒険者はいません。そのため終末を呼ぶ者についての情報は一切ありません。ですが魔人かそれ以上の強さであることが予測されています。討伐に向かう冒険者は

万全の備えを忘れないように。


討伐報酬は5億ルド』


「気は確かか!?土日を呼ぶんじゃないぞ!?終末、終わりを呼ぶんだぞ!?」


「でも5億よ?宝くじを当てるより確率が高いわ」

その考え方は危険だからやめなさい。俺は全然人気のない

『エンシェントオーバーロード討伐』の方の討伐報酬を見た。

こっちは5000万ルド。嘘だろ。こっちもヤバそうなのに終末を呼ぶ者の方はそれの10倍だと!?そんなの勝てるわけないじゃん。


終わった終わった完全に詰んだわ。絶対に勝てない。


「じゃあこっちは?」

そう言ってユウナが次に指さしたのは『暗黒大陸の調査』

いやこれもどう見ても危ないだろ。えーとなになに


『暗黒大陸の調査


未知の大陸である暗黒大陸の調査、また現地物の回収依頼です。過去に20回以上調査が行われていますがほとんどのことが謎に包まれています。

また暗黒大陸は我々の大陸とは違い生息する生き物も植物も珍しいものばかりです。ですがそれと同時にモンスターなども比べ物にならないほど強力です。調査に向かった100人以上のパーティーが帰って来なかったという例もあります。


生きて帰ってこられる保証のないとても危険な依頼です。冒険者の方は万全に万全を重ねて装備を揃えて必ず50人以上のパーティーを組んでください。


依頼達成報酬 10億ルド

参加報酬 500万ルド』


「バカじゃねえの!?」


「でも参加するだけで500万もらえるのよ?しかもそこらへんに生えてる植物を持って帰れば10億」


「モンスターがめっちゃ強いって書いてあんだろうが。それに100以上のパーティーが全滅したとも」

大体こんなものを冒険者にやらせようとするな。誰もやりたがらねえよ。だって読んだ限り絶望しかないぜ?このクエスト。


「それで、どうするの?」

さあどうしようか。こっちが聞きたいくらいだ。

とりあえずせっかくこの2人で行くんだから稼ぎが良いものの方がいいよな。まず暗黒大陸調査は却下。こんなものできるわけがないし何より面倒くさい。


残る高報酬クエストは終末を呼ぶ者の討伐かエンシェントオーバーロードの討伐だけだ。欲を言えば終末を呼ぶ者の方がいいのかもしれないが勝てる保証がない。今まで倒したやつがいないって話だしな。俺とユウナが本気を出して戦って勝てる相手なのかもわからない。


エンシェントオーバーロードは過去にも討伐されたことはあるみたいだがそれでも何十人もの死傷者が出ている。1番可能性があるクエストだ。···しゃーないな。俺は『エンシェントオーバーロード討伐』の貼り紙を剥がすと受付に持っていった。


「クエストの受注を確認しました。でもレイジさん大丈夫なんですか?」

受付嬢がはんこを押しながら聞いてきた。


「わからない。けどなんとかなる、と思う」


「レイジさんの実力は知っていますが危険なクエストです気を付けて」

受付嬢が俺手を両手でギュッと掴んだ。この人の優しさだけが今の俺の救いである。俺とユウナは外に出た。もらった地図を見る限り目的地は西の方角か。距離的には、歩いて行くには遠すぎるな。乗り物を借りるしかないか。


ギルドでは馬とかの乗り物の貸し出しをやっているらしい。

まあ、あったところで俺は乗れないんですけどね。それが俺が遠くのクエストに行かない理由でもある。だが今回ばかりは頑張って乗りこなすしかないようだ。




「それで、何で1頭しか借りなかったわけ?」


「馬小屋の親父曰く『いやーすまんな、お前らが来る少し前に他の冒険者達が借りていってな。今貸せる馬が1頭しかいないんだ』って」


借りなかったんじゃない借りられなかったんだ。だから俺悪くないよ。

「まあいいわ。乗馬の経験は?」


「皆無であります!」


「学校の授業とか部活とかになかったの?」


「馬術部みたいなのはあったけど俺科学部だし」


「あら?あなた学園アイドル部のプロデューサーじゃないの?」


「二股かけてた。つーか何で俺の部活知ってんの?」


確かに科学部の他に学園アイドル部の雑用もこなしていた。

というか科学部は科学部という名前ではあったが部員は俺と立花と

無理やり引き込んだ神崎の3人だけだったし活動もほとんど実験

せず3人でお茶飲んでお菓子食って終わりみたいな部活だったからな。


はっきり言ってもはや部活ではない。ただの放課後の集まりである。


「しょうがないわね。私がやるわ」


「できるのか?」


「私はこれでも元の世界では本物のお嬢様よ。これくらいできるわ」

ユウナはそう言うと鞍に跨った。俺も真似してそれっぽくユウナの後ろに乗る。初めての感覚に少し戸惑う。これが原付バイクだったらむしろ俺の出番なんだけどな。俺こう見えて免許持ってんのよ。


しかしこう座っているものが動くと不思議な気分だ。


「変なところ触らないでよ」


「わかってるよ」

俺はピッタリユウナにくっついて腰のあたりに手を回した。

多分こんな感じでいいんだよな。

そして馬が走り出した。思ってたより速い!これが馬に乗る感覚か。悪い気はしないが少し怖いな。とりあえずしっかり捕まっておこう。


しばらく馬に揺られ風に撫でられながら進んでいると異臭がした。誰かさんの髪からする石鹸のいい匂いとは違う。もっと生々しい臭い。ユウナも臭いに気がついて馬を止める。


「何の臭いだ?」


「わからないわでも見て」

ユウナの指さす方向を見ると森の中から煙が上がっている。

状況はよくわからんが1つわかることは良くないことが起こっているということだ。


「行こう!」

俺がそう言うとユウナは煙の方に馬を走らせた。道沿いに馬を走らせているとそこには火のついたボロボロの馬車があった。

急いで馬から降りて水魔法で火を消して生存者を探す。

見たところ馬車に矢が刺さっていたことと矢に焼けた布みたいなものがついていることから火の原因は火矢によるものだとわかった。


御者はおそらく矢に打たれて即死。その後火矢に焼かれたか。

馬車の中に人はいなかったことから多分襲われたことに気がついて逃げたか。まだ遠くには行っていないはずだ。


こんな大事なのに俺もユウナも意外と冷静なものだ。

モンスターを倒しまくっていたから慣れてしまったのかもしれない。今までの生活から段々遠ざかっていくのが実感できた。


「どうするの?」


「そんなもん助けるしかないだろ」


「了解よ。でもどこにいるのかはわからないわ」


「普通に考えたら矢が飛んできた方向とは逆の方向に逃げるはずだからあっちの方かな」


「敵の種類はゴブリンか盗賊。高価そうな馬車だし盗賊の方かしら」


「まあ多分そうだろうな」

俺達は生存者たちが逃げたであろう方に歩いて森の中に入っていった。朝だというのに森の中は太陽の光が遮られているため暗い。ちょこちょこ人が通ったような足跡や枝を折った跡があるためこっちの方向で合っていたみたいだ。いろんな痕跡を頼りに森の奥へどんどん進んで行く。


随分進んでいるはずだが未だに何にも巡り合わない。手がかりももうほとんどないし来るのが少し遅かったか?争った形跡はなし。ヒントはプッツリ途切れて何もなし。


「完全にわかんなくなったな。やっぱり遅かったか」


「そうでもないかも。争った形跡はないしさっきの足跡だって新しかった。多分この辺りで息を潜めているのよ」


「なるほ」

確かにその可能性は考えてなかった。それならこの辺りで急に手がかりがなくなったのも納得がいく。

さてどうしたもんか。ここで助けに来たと言ったところで信じてもらえるとは思えないし敵に気が付かれてしまう。


「何か生存者を探す良い方法はあるか?」


「この一帯を荒れ地にしてもいいならあるわ」

自然破壊ダメ。ゼッタイ。この脳筋野郎は放っておいて早く何か良い方法を考えないと。こうしてる間にも

盗賊は逃げたやつらを探しているはずだ。この森の中で生存者たちを安全に、かつ盗賊を倒せる方法。

そもそも盗賊を見つけるところから始めなければいけないわけだが。うーむわからん。わからんけど1つ思いついたぞ。


「叫ぼうか」


「そうなると思ったわ」

簡単な方法として叫んで相手をおびき寄せて一気に倒す。結局のところ俺も脳筋であった。


「わー!」


「わー!」

2人で適当に叫びながら相手が釣られるのを待つ。森の中に俺たちの声が静かに響く。

響き渡った声が消えて静寂が訪れる。聞こえなかったのかな。全然来る気配がないな。

そう思ったその時右方向から「ウオーン」と犬か何のか鳴き声がした。そして複数の足音。


どうやらまんまと引っかかってくれたようだ。草むらから姿を現したのは複数のゴツイ男たちと狼だった。

そうだよねよくよく考えたらウオーンって鳴くのは犬じゃないね狼だね。犬はワンだよ。無意識のうちに

『狼のはずがない』と現実逃避していたようだ。


「んだよ。俺らが狙ってる奴らじゃねえぞ」

盗賊の1人が言った。

「でも見ろあの女。なかなか良い体してるぜ」


「ふんっ!私を見ていいのは私以上の強者と善良な人間だけよ。雑魚の上にクズな奴らがじろじろ見ないでくれる?」

お前地味にプライド高いな。しかもめっちゃ煽っていくじゃん。あんまり人を煽るんじゃない。

後々面倒なことになるのが目に見えてるんだよ。しかもそういう面倒は何故か俺に向けられたりするんだから。

「ちなみに俺は善良な人間か強者として見られてるってことでいいのか?」


「善良かどうかわからないわ。でも屈辱的ではあるけどあなたという人間を認めざるを得ない、わ」

そんな苦虫を噛み潰したような顔しなくてもいいだろ。どんだけ俺という存在を認めるのが屈辱的なんだよ。つか思ってても言わないで!何で屈辱的なの!?ここまでひどい扱いされると俺もそろそろ本当に

泣くぞ!?


「生意気な女だ。この状況で勝てると思ってんのか!?」


「無論よ。私たちに勝てる相手は存在しないわ」


「このっ!もう生かしておく必要はねぇ!やっちまおうぜ!」

そうして盗賊VS転生者組の戦闘が始まった。


と言っても勝負はあっという間に決着してしまった。まず俺は殺さないことも兼ねて特に武器も装備せずに

突っ込んだ。1人目は腹にきついのを一発くらわせて気絶させ、2人目はアッパー。3人目以降は踏んだり蹴ったり殴ったりしていたと思う。だんだん面倒くさくなってきて途中からほとんど覚えてない。


ユウナの方は、というかユウナの方ももちろん素手である。重力を操作して戦うのかと思ったらそんなことをするまでもないと言わんばかりに格闘だけで盗賊たちを倒していた。正直その辺の雑魚モンスターより弱かったような気がする。


「おーい襲われた奴らー盗賊は倒したぞ」

聞こえてるかわからないが一応報告しておこう。

「最後まで姿を見せないつもりみたいね」


「まあいいさ。盗賊は倒したし後はアイツら自身の問題だから。俺たちも先を急ごう」


「そうね。でもやっぱりその前に」

ユウナがそう言うと隣の木からドスンと何かが落ちてきた。それはこの世界では見慣れない格好で俺自身も人生の中で見るのは初めてだった。


「忍者?」

そう忍者である。黒っぽい服に頭巾、隠れた口元。しかも腰のところにクナイみたいな武器を装備している。その格好はどこからどう見ても忍者であった。


忍者はユウナの重力操作のせいで地面に押し付けられているためうまく動けないようだ。

「お前が盗賊に襲われた奴か?」


「いかにも、拙者はわが主君であるシゲクニ様のご友人、アリシア様の護衛役を言い渡されたのでござる。しかし拙者としたことがこの様」


「それでそのアリシアって人はどこに?」

俺がそう聞くと忍者は重たいであろう腕をどうにか持ち上げて自分が落ちてきた気を指さした。

俺は木の下に入って上を見ると金髪縦ロール系お嬢様が枝に座っていた。目つき悪いなこのお嬢様。

何でそんなに俺を睨みつけてくるの?お前多分エリザベートより態度デカいだろ。あのエリザベートですら

初対面でそんなに睨んでくることはなかったぞ。


「下民、誰の許しを得て私を見ているのかしら?」


「俺が誰を見ようが俺の勝手だバカ野郎」


やっぱりそういう感じなのか。自分がえらいと思っちゃってる系のお嬢様か。こういう奴って結構面倒なんだよなぁ、打ち解ければ結構いいやつだったりするんだけどそこまでの道のりが長くて大変なのだ。まあいいや、どうせもう関わることもないしな。


「じゃあ俺らは行くぞ。お前らも気をつけろよ」

せいぜい歩くがいい偉そうなお嬢様よ。


「助太刀に感謝する」

重力操作によるプレスから解放された忍者は丁寧に頭を下げた。

俺も手を振ってお別れする。

「よし、行こう」


「かなり時間を食ったわ急ぎましょう」

ユウナはそう言うと馬を走らせた。危うく落ちそうになり慌ててユウナに抱きつく。走るならそう言ってくれよ。あとちょっと遅かったら確実に頭から出血して大変な事になってたぞ。

こんなところで死ぬのはゴメンだぞ。


それからまたしばらく何事もなく馬で走り続ける。俺は地図と周りの景色を見比べていた。今は···多分この辺か。まだまだ遠いなもしかしたらこれは数日かかるクエストになるかもしれないな。

そうなるとまた野宿しなきゃならなくなるのか。


いい加減ゆっくり出来る日に戻りたいものだ。せめて寝床は地面から脱出したいものだ。


「お腹空いた」


ユウナが前を見たまま言った。そういえば俺達って朝飯食ってないんだっけか。俺自身も朝飯の存在を珍しく忘れていた。

手と腹の辺りから僅かに振動を感じるあたりユウナの腹が鳴っているのがわかる。


「すいませんパイセン。お湯がなくてトン麺が作れないんでキャロリーメイトしかないっす」


「···沸かしましょ」

俺達は一度休憩も兼ねて馬を降りるとそこで遅い朝食を取ることにした。トン麺印のやかんに水魔法で水を入れてお湯を沸かす。


「味は塩、醤油、味噌、豚骨、カレー、屋台があるんだが」


「醤油を貰うわ」

じゃあ俺は味噌にでもしておくか。お湯はまだ沸かない。まだまだ時間がかかりそうだ。


「ねぇ、前から思ってたんだけどそのトン麺とかってどこから出してるの?」


「簡単に言うと俺の周りには見えない倉庫があってそこから剣とかトン麺出してんだけど。まあ、わかりやすい例を出すなら四次元ポケットみたいなもんだ」


「ふーん」

最近ガラクタばっかり出てくるもんだから自分の性能がどんどん四次元ポケットの所有者に近づいてきているような気がして怖い。前にも言ったが俺は青い子守用ロボットになりたいわけではない。


何故異世界に来てから怖いものが増えているのか疑問でしかない。しかもモンスターの怖さじゃなくて人間関係と俺自身の変化への怖さだからたちが悪いんだよなぁ。


「そういえばあなたの能力は何なの?目標に遭遇する前にお互いの能力を把握したいんだけど」


「俺は神器、ようは神の武器を150以上持ってる」


「それチート過ぎない?」


「お前に言われたくないんだけど」

正直お前の方がチートだぞ。重力を常に自分とは反対の方向に向けておけば物理攻撃が一切当たらなくなるってことだろ?強すぎやしないか。しかも自分の重力操って飛ぶことだってできるし。


「私の能力はご存知の通り重力操作。私自身の重力と私を基点とした半径約2m、高さ10m内にある物質の重力を操作する能力よ。私自身はどんな重力にも耐えられるようになってるから心配しないで」

やっぱりこいつの方がチートだよな。半径2mってことは自分の持ってる剣を振ると同時に剣の重力を強くしたらバカみたいに速く重たい攻撃になるってことで間違ってないよな。


本気を出せばそこらへんの木を引っこ抜いて振り回す事だって簡単にできるってことだし。もしかして俺って魅力負けしてる?

そもそも俺の見せ場が少なすぎるんだよ。


まず神器を本気で使う場所なんて全然ない。本気で使ったらその一帯は何もかも消し飛んで何も残らなくなある可能性があるからだ。今までだって本気で使ったことは当然ない。


唯一力を入れたのは要塞奪還のときのサイクロプス相手に巨人殺しの大剣(デス·オブ·ギガス)を使ったときだ。そもそもこの巨人殺しの大剣(デス·オブ·ギガス)には特別な力はない。


完全に巨人を殺すためだけの大剣。

巨人に対してのみ怪物級の威力を発揮し他のものには大した威力を発揮できない武器のはずなのだ。


それでもサイクロプスを倒し、振ったときの風圧で要塞に特大の穴を開けるほどの威力だ。他の万能神器を全力で使ったら何が起きるかわかったもんじゃない。最悪の場合この世の終わりが来るかもしれない。

それこそ俺が終末を呼ぶ者になってしまう。今の俺はそんな世界をぶっ壊せる威力の武器を大量に持っているいわば人型破壊兵器みたいなものだ。


「ということは今回の戦闘は期待してもいいのね」

ユウナは沸いたお湯を2つのトン麺に入れながら言った。

「まあ、ある程度はな」

トン麺の上に小石を乗せて蓋が開かないようにしておく。3分、いや俺は2分で十分だな。ちょっと固いくらいが好きなんだ。麺は固い派か、それとももっちり派か。迷うところではあるけどな。

『ワイはもっちり派』


『私はバリカタよ』

また俺の知らない声が聞こえる。昨日の毒の一軒で思ったがメーティアスの赤書と羽ペンが作動した時の声ってこいつらじゃないか?お前ら辞書役なんだからあんまり喋んな。俺の頭がカオスになるだろうが。

『そんな固いこと言わんで。俺らラーメン大好きなんだ』


『ラーメンのこととなると黙ってられなくてね。大目に見てよ』

こいつらけっこう自由だな。とりあえずラーメンの話の時以外は静かにしてろよ。俺自身の脳がついていけなくなりそうだ。


「はい、2分」

俺は蓋をはがしてプラスチックのフォークを突っ込んだ。麺をくるくる巻いて口の中に運ぶ。

ウマすぎる!というかいつもと変わらない安定の味。ズズズーぷはっ。やはりトン麺はうまい。

これが70円だというからさらに良し。でもやっぱり飯には向いてないな。









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