龍の如く
「ふ、グぅッ!!」
何が起きたなんてわからない。
けども。
「ぐ、ぐるるるァ……!」
こいつを、殺す。
*
「何がどうなってるんだよ本当に!」
「えっと、『神様』に喧嘩売られて、一瞬でボコボコにされて、死にかけて、マクナさんがやられて……」
「人を死んだかのように言わないで……いや実際死んだかと思ったけどね」
「あっごめんなさい」
異形の姿と化したムゲンと神が遣り合っている地点から少し離れた場所。
半径数mほどの結界のドームの中に彼ら、ムゲンの仲間たちは囚われていた。
しかも、何故か万全の治癒を施された状態で。
「しかし、まぁ……」
何かを言いかけたカイザが「あー、んー……」と歯切れ悪く黙りこくった。
皆も同じく、黙りこくった。
(皆、混乱している)
少し意識を失っていただけで状況が変わり過ぎていた。
理解が追い付かないのは皆同じであったが、やること、できることは分かっていた。
「今は、ムゲンのことを見守ろう」
*
身体中の毛が空気の流れを読む。
角が力を沸き立たせる。
鱗と皮がヤツの攻撃を受け流す。
爪と牙で容赦なく斬りつける
尾で締め上げ、振り払う。
それはムゲンが今まで全く行ったことのない戦闘スタイルであった、が。
『流石は「スピリッツ」。そのくらいの変貌であれば勝手に体が追い付く』
ムゲンの猛攻をいなしながら神は楽しそうに呟く。
「ぐルぁッ!」
当のムゲンは、剣を抜き放ち、半ば叩きつけるような形で神に襲い掛かっていた。
『だが、まだ不完全か』
言うや否や、一気にムゲンから距離を取り、無造作に彼の周囲の地面を毒沼──それも一滴で人が10回死ぬほどの──に変化させると「同時に」大量の雷を降り注がせる。
が。
『ほう』
ムゲンは既に神の背後、数mに移動していた。
「グ、シュルルルルァ!」
人のものとは思えぬ咆哮と共に、剣を振り下ろす。
神は衝撃波でそれを吹き飛ばさんとするが、
『ふむ』
ムゲンの剣がそれをねじ伏せた。
その衝撃で二人のいる場所が爆心地にでもなったかのごとく、見渡す限りの大地は砕け散った。
それにかまう様子もなく、ムゲンの剣は一瞬にして二振りのサーベルへ変化。
神はそれを認識するや否や、何らかの力でムゲンの両腕をへし折る。
だが即座にそれは回復し、神はムゲンの一撃をついに腕で受け止める。
『この段階でここまで──』
次の瞬間、神の背後にもう一人、ムゲンが現れた。
『!』
そして、その手には明らかに今までで最も魔力が漲っている状態の無限の魔力が込められた剣!
「──────!」
その一撃は、周囲のすべてを圧倒した。





