堕ちる。
『はい、ご苦労様』
ムゲン邸の屋根上にて。
ルスガはほぼ全身を鉱石へと変換されていた。
『さて、そろそろ頃合いだと思うんだけどね、ムゲン・シン』
そんなオブジェ染みたルスガから目をそらし、ムゲンへと向き直る神。
「ふ、ざけんな……!」
『無限の魔力』を剣に宿し、半ば体ごとぶつける様にして斬りかかる。
『そうじゃないよ……』
心底呆れたように言い放ち、ムゲンを蹴りの一撃で屋根から叩き落した。
血反吐を吐いて地に這いつくばるムゲン。
その様を見ながら、
『もっと追い込んだ方がいいか』
と、呟き。
いや呟き終わったかも怪しいタイミングで。
ぶしゃあ、と。
酷く間の抜けたように聞こえる、音がした。
滝のようにムゲンの頭に深紅の液体が叩きつけられる。
「ッ!」
咄嗟に顔を上に向ける。
やけに鉄臭いそれが目に入って、歪んだ鏡のように視覚を妨げる。
眼を擦り、それを拭い去ると。
逆光ながらも見えたものは。
『こういうの、ダルマっていうんだよ。覚えておくといい』
屋根の淵で首を捕まれ、四肢の代わりに鮮血の滝を纏う常盤色の少女の姿。
「デ、メェ、ッ!」
潰れかけたのどから声を絞り出す。
『そこからはよく見えないだろうね。ほら』
奴がパッと手を放す。
重力に従い、熟れた果実か、はたまた処刑台から落下する首に縄をくくられた死刑囚の如く、地に向けて墜落してゆく。
「!!」
咄嗟に体を滑り込ませ、クッション代わりに差し出す。
「ゥッ!」
あまりの衝撃に声にならない声が出た。
流石に運動エネルギーを殺しきれず、ゴム毬のように跳ねて床に滑り落ちた。
「マク……ナ!」
這いずり、彼女に近づく。
「……ごめんね」
弱弱しい声で、かすかに微笑んで彼女は──。





