降臨
全知全能、襲来
「ま、ざっとこんなもんだろ」
ムゲンはこともなげに着地すると、仲間たちのもとに駆け寄り、談笑がてら今後の策を練りだす。
ただ一人、その光景を見ているカイザ以外は、だが。
(こんなやつを俺は相手にしていたのか)
彼の脳裏によぎる先程の光景。無論、カイザとてムゲン達がかつてミッドガルを占拠していた天使を屠った時の話は、人づてではあるが知っていた。
しかし、見ると聞くのとではまるで違ってくる。
(勝てない、わけだ)
ムゲン自身の戦闘センス。
『無限の魔力』の持つ、凄まじいを通り越しておぞましいまでの威力、殲滅力、殺傷力。
そしてそれを仲間たちがバックアップしてぶっ放す。
「おいカイザ」
「!……あぁ」
一瞬読心魔法でも使われたのかと警戒したが、そういうわけではないらしい。
「お前、この後どうすんだよ」
「そうだな、お前たちと行動してもいいのならそれがいい」
腐っても元革命軍。町中を一人でうろついては面倒なことになりかねない。
「ま、そうだろうな……めんどくさい奴奴がアレコレほざいてきそうだがな」
「そうかも、な」
ルスガ。軍部の頂点でアイツは今頃何を──。
そんなことを考えていた時だった。
『さすがに二回目だと瞬殺か』
「!?」
すべてのかんかくがわからなくなった
ここはどこだ
おれはなんだ
なんだこれ
なんだあれ
なんだ
んだん
んだ
あ
「っあぁああぁぁああぁああぁ!!!!」
それは溺れかけた人間がすんでのところで水上に浮上できた感覚に近いかもしれない。
「ハアッ、はッ、は……っ」
何が起こったかわからない。
いや、この感覚は。
誰か、いや多分マクナが言った。
「近づかれただけで、このレベルの『魔力中毒』起こすなんて、ね」
魔力中毒。
この世界における魔力は自然界を巡る星からのエネルギー、魂からの力等々いろいろ言われているが、結局のところ力加減を間違えると人体に害をなす、言わば原子力のようなものである。
己が体の限界を上回る量を注ぎ込まれればたちまちすべてが崩壊し、死に至るケースもある。
カイザはそうなりかけていたことを理解し、周囲の状況を確認する。
血液と体液が混ざり合った不愉快な紅色の泡を吹いて臥せったタクウ。
訳の分からない歪んだ知恵の輪じみた形状になり果てた四肢を動かそうとするガンバ。
ただ微笑むだけで微動だにしないアザイ。
結界か何かで辛うじて五体満足らしきマクナ。
剣を杖代わりに小便を漏らし、脚を震えさせながらも『何か』を睨むムゲン。
『ほうほう、これで耐えられるなら計画通り』
声のする方、即ちムゲンが睨みつけている『何か』に目をやる。
金髪、金眼、透き通るような白い肌、男であり女。
直感で理解した。
こいつは、人じゃない。
「テ、メ、ェ」
想像より身体へのダメージが大きかったらしい。声を出すだけで気がおかしくなりそうだ。
『私が誰かって聞きたいのか?なら教えてやる』
そいつは少し微笑むと、いけしゃあしゃあとほざいた。
『神の中の王だよ』
全知全能の力があったら取り敢えずこの小説をめっちゃ人気にしたい





