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インフィニティ・ワールド  作者: Yamato
R/awakening
59/79

忘却

忘れたいことばかりですね、人間って。

「ルスガ」


レオンがルスガの自室に訪れたのは、ほとんどの王国軍が撤収した後だった。


「総隊長」

「よかったのか、これで」

「当然です」


苦虫を嚙み潰したような顔のレオンを意に介さず、無表情で即答するルスガ。


「あのまま革命軍がグランドゲートに到達しようものなら、王家に多大な損害を──」

「そうじゃない。ルスガ、お前個人の感情はどうなんだと聞いているんだ!!」


感情。


そう問われたときに脳裏に過ったものは、遥か彼方の記憶だった。


*

村が蹂躙されるあの夜の前、俺はどんなに幸せだったのだろうか。


「アザイ!ルスガ!あと○○○!!」


やめろ、もう過ぎたことだ思い出すな。


「カイザ!またサボり?」

「うるせぇな」

「でも族長が心配してたよ」

「○○○だもんね、カイザ」


もういいだろう。


「私、族長が話してるところ見ちゃったの……」


十分だ。


「ふざけんなよ、ルスガ」


知らない。


「カイザ!」

「アザイと○○○は!?」

「化け物が○○○に!!」


見捨てたんじゃない。


「逃げて、みんな」


*

「坊主、すまねぇ」

「救出できたのは君だけだったんだ……」


こんな辛い思いをしたのは誰のせいだ。


「僕が、弱かったせいで、みんなが」


「……坊主は悪かねぇさ」


ひたすら、剣を振るった。


強くなるために。

強くあるために。


*

「革命軍の首魁は、カイザを名乗る大剣使いの黒髪赤目の青年である模様……ルスガさん?」


その時の何もかもが崩れていくような感覚は、今でも体と心の奥に沁みついている。


「そう、か」


どうすればいいのだろう。


いや、今となっては、


どうすれば、

昔のように皆で笑いあえたのだろう。


現在。

眼前のレオンに意識を向ける。


「……今更、どうにもならない」


吐き捨てるように、そう呟くのが精いっぱいだった。








あと少しでこの章も完結でございます!!

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