光
カイザVSムゲン&ルスガ、決着。
「ムゲン・シン……ルオス・ルスガァ……!!」
「カイザ・クーダッ!」
「人様の名前を何急に呼んでんだ、出席でも取ってんのかァ!?」
仲間、他者からの救いを受けたムゲンとルスガ、何者からも救われなかったカイザ。
決定的な違い、あまりにも対極に位置する二人。
故にこそ決着は血に塗れながらも、白黒はっきりと──さながら三人の髪と瞳の色のように、無機質に鮮やかに。
「!」
カイザの動きが急に遅くなった。
壊れかけの玩具のように。
いや、実際壊れていた。
人として、心は闇と絶望に染まり、それは彼をあの懐かしき日々への羨望とそれを失った絶望に縛り付け、身体は絶え間ない戦と蹂躙によって。
──戦いに、殺し合いに慣れていたムゲンと、ルスガはそんな隙を見逃すわけもなく。
「『インフィニティ・スラッシュ』!!」
無限の魔力を纏った斬撃がカイザの腹に、確かに刻み込まれた。
「……がぁッ!」
カイザの断末魔を合図とするように、メビウスの輪を象った魔力光が輝き、廻り、勢いを増してゆく。
「決めろルスガァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
その決めろとは、何を決めるべきだったのだろうか。
言うまでもない。
「うぉぉぉぉおおおおっっ!!」
荘厳な装飾が施されたレイピアと無骨な両刃剣。
正義の刃を冷徹に振るう今の己と、仲間たちと幸ある日々を過ごした過去の己。
その二つは確かな光となって、眼前の友を討つ。
「『クロス・レイ』!!」
光の魔力を纏わせたレイピアによる突きで腸を貫き、もう片手の両刃剣で胴を袈裟斬り。
「終われ!!」
無限の魔力が溜め込んだエネルギーが、ムゲンの叫びによって解放され──炸裂した。
戦場を、眩く、力強い光が
駆け抜け、
満ち満ち、
消えた。
*
「まぁ、こうなるな」
砦内の医務室で魔力放送……魔力によるテレビ的な物をベッドから見ながらムゲンはぼやいた。
あれから数日後、首領たるカイザを喪失した革命軍は早々に全面降伏を申し出た。
一部の革命軍は降伏宣言後も独断で懸命に抵抗したが、半日経たずに鎮圧された。
カイザの残したかったものは、様々な疵を残していった点以外は、全て無に帰した。
そんな中ムゲン達は医務室で傷を癒しながら、帰宅許可が出るのを待っていた次第である。
「帰宅許可、ムゲンと私にも出たよ。タクウ君は先に出たって」
マクナが疲れた笑顔で医務室のドア近くから呼びかける。
「おう」
疲れた声で返事。
「……歩いて、帰らない?」
「途中までなら」
マクナの気まぐれな提案に上の空で返答した。
*
見渡す限りの荒野をただただ歩く。
「……」
「……」
黙々と、淡々と、粛々と。
話題などない。
何も思考したくなかったから。
「よぉ!」
「迎えに来たよ、ムゲン!」
「……」
ふと見上げた岩場の上から、仲間たちの声が降ってきた。
条件反射気味に手足を動かし、岩場を上る。
魔法を使う気にすらなれずに。
最後の段差。
先に上っていたマクナが俺に手を差し出す。
何の気なしに、それを取った。
柔らかで温かい、命の感覚。
「……あ、やっべ」
その後のことはよく覚えていない。
何をとち狂ったのか、俺はマクナに泣きついて、謝って、吐いたり、地面を殴りつけたりしたらしいが。
だが。
ただただ皆はそんな俺に寄り添っていた。
そのことだけは、覚えていた。
もうちょっとだけ、続くんじゃよ!





