乱獲、ダメ絶対!
森には大抵魔物が生息している。
弱いものでフェアリー、強いものでドラゴンなどだ。
だが、
(やれやれだ)
ここにいるのは魔物のような人間だが。
あたりに散らばる魔物の死骸。その中心部にいるのは言わずもがな。
(ここまで騒げば出てくるだろ)
ここは例の盗賊兄弟の森。
ムゲンは魔物達を倒しまくり、その騒ぎを聞きつけた盗賊達が現れることを期待している。
(場所換えよっかなー)
そろそろ場所をより奥地に移動させようとした、まさにその時!
(殺気!)
後ろから二対の何かをビリビリ感じる。
それは次第に強まってゆく。
「ふっ…」
ムゲンは軽く息を吐き、目を閉じた。
(── 3)
耳に全神経を集中させて、心の中で呟く。
(2)
風を切る音と、木の軋む音が近づいてくる。
(1!)
他人の呼吸が聞こえ「オラァッ!」
尋常じゃないスピードで振り向き様にムゲンは殺気が発せられた方向に相手も確認せず、即座に剣でなぎ払った。
しかし、相手も尋常じゃなかった。
普通の人間ならまず捌ききれない超至近距離での振り向きざまのなぎ払い!
ガキィン!と、金属音が響いた。
(おっと、ツメ使いか)
相手の手には、金属製の手甲に鉤爪がついたものがはまっていた。
顔はフードでよく見えない。
しかし、余裕と逞しさが滲み出ていた。
(やってやらぁ……!)
暗緑の森の中、ムゲンと盗賊兄弟の戦いの火蓋が切って落とされた。