見据える先は
ギャグ成分が足りない!
「ムゲン」
黙れ。
斬り殺す。
「◯×#&a___&/#〒々〆〆!!!!!」
躱された。
なら燃やし殺す。
「+♪2<:ムjmmjgha#/@げ4÷38*÷68887・ん!!!!!!」
新手もいる。
ならこの辺り丸ごと吹き飛ばして殺す。
殺す。殺す。殺さないと。殺させてくれ。
なんで?知るか黙れ何も考えさせるなもう何もかもめんどくさいでもころさないとはやくおおくもっとだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その時、何がか切れるような音と共に地面に俺は倒れ込んでいた。
最後に見えた、かも知れなかったのは、俺に手をかざして、何らかの魔法を行使する、マクナの姿だった。
✳︎
「ムゲン…」
夜、砦の最上階、ムゲンに与えられた個室にて。
マクナはムゲンにつきっきりで介護していた。
(いつか、こうなることは、多分、わかっていた)
ゴリッという嫌な音が口の中に響いて、鉄の味が口の中に広がった。
どうやら無意識の内に歯を食いしばり過ぎていたらしい。
「っ…ん」
軽く歯に治癒を施した後、ムゲンの額に手を当て、詠唱を開始する。
精神面を治癒する魔法を幾つか使っているが、この手の魔法は余りにも効能に幅がありすぎる。
数時間で効くものから、数十年掛かるものもある。
でも、やらないよりはやった方が、いい。
(どうしたら、いいのだろう)
月明かりに照らされた苦痛に歪む彼の顔を眺めながら、思考と睡魔の渦に私は落ちていった。
✳︎
「兄さん、ムゲンは…」
「フッ、ハッ!」
同時刻、砦の城門付近にて。
「きっと、大丈夫だと思いたいんだ」
「セッ、エイッッ」
語りかけるガンバの話を知ってか知らずか、門衛をしながらも演武を続けるタクウ。
その表情は怒りと悲しみに覆われていた。
(わかってる、と思うんだよ)
かつての己たちを思い出す。
あの少女の悲鳴を。
さっきまでの自分を思い出す。
敵の怒号と、味方の勝鬨を。
(どうしようもなく、奪わないといけない命もあるってことは)
「フゥゥゥッ…」
思案しているうちに兄の演武は終わっていたらしい。
残心の体勢からゆっくりと地面に座り込むタクウ。
「大丈夫」
「え?」
唐突にタクウから投げられた言葉に反応が追いつかない。
「ムゲンは大丈夫だぜ?きっとな!」
演武中の時とは打って変わり、ニイッと燃えるような笑顔を浮かべる兄。
その熱で不安が全て解けていくような気がした。
……きっと兄さんのことだから、根拠のない直感なのだろうけど。
「……だね」
今は考えるのはやめよう。
今考えるべきは、明日はどうやって戦う「…すまない」
「うぉぅっ!??」
「お、アザイ!」
勝手に盛り上がっていたら、門の前にアザイが立っていた。久々の再会に喜びたいところだった。けれど。
「ルスガに会わせてくれ」
その顔は悲痛な程、無表情だった。
✳︎
「…」
「…」
ルスガの自室にて。
アザイとルスガ。
ひたすらに沈黙。
「…知っていたのか」
「知っていた」
「何ということはない」と言うように即答するルスガ。
歯を食いしばり、拳を握りしめるアザイ。
そのまま一言、吐き捨てるように呟く。
「……何故だ」
「何故、とは?」
一呼吸置いて、
「何故こんなことになってしまったんだ……!」
アザイらしからぬ、感情を込めた声を絞り出した。
(……それが分かれば苦労はない)
メツ盗賊団が襲ってきた『あの夜』が全ての始まりだったということ以外は。
アザイと彼等、つまりムゲン・シン達が連中を壊滅させたという話は風の噂で聞いていた。
その時、『あの夜』に離れ離れになった人々のうち、アザイが生きていた事を知った。
嬉しかった。
嬉しかったのだが。
その時、既に私の心はその程度の事では──。
『て、敵襲ううううううぅぅぅぅぅぅぅッッッッッ!!!!!!!!!!!!』
突如、重い沈黙を切り裂いたのは緊急事態を告げる念話魔法だった。
✳︎
数時間前、革命軍の空飛ぶ城砦、その中枢部。
ユラワ・アザイとカイザ・クーダは対峙していた。
「まぁ、今ここでお前とやり合うのは気が乗らないんだぜ?」
「……」
飄々とした態度のカイザに対し、苦虫を噛み潰した表情を浮かべるアザイ。
あのカイザが、確かにあの村一番の不良ではあったが、何処か温かな物を確かに秘めていた彼が、目の前に、敵の首魁として立っている。
その事実を、受け入れきれない。
「だから、見逃してやるよアザイ」
「!」
そう一言告げるやいなや、牙を剥き出しにする獅子の如き笑いを浮かべ、アザイに手をかざす。
魔力光が迸り、アザイの体が転移を始める。
「まぁ、ルスガによろしく伝えておいてくれや」
「待て……!」
伸ばした手がカイザに触れるかどうかのところで、自軍の砦の前へ転移を完了していた。
✳︎
そのことを思い出しながら、戦場を駆け抜けていくアザイ。
その表情は決して明るいものではなかった。
「お、おい!アイツって……!?」
先陣をきる傭兵たちのどよめきの声に、思わず顔を上げて前方を見据える。
そこにいたのは──
「よぉ、嬲り殺しに来たぜ」
敵の首魁、カイザ・クーダだった。
いよいよ第3章もクライマックスに突入です。
気張って書きますので、この先も気張って読んで頂ければ…





