幻惑からのジェノサイド
今回はムゲンの初めてを捧げるお話です!!!
誰に捧げるんですかねぇ〜楽しみですねぇ〜〜!!!
「ほら、そっちが来ないなら」
ムゲンが剣を振りかざす。
「ヒイッ!!」
どよめき、引き下がる志願兵達。
「…あまり刺激するな。面倒なことになる」
「いや刺激すんなって言われても、一々あいつらビビりすぎでしょーが」
ヘタレ志願兵に呆れた視線を向けるムゲン。
こんな相手に労力をさく時間はない。
(…そろそろ後衛の連中が来るだろうしそいつらに引き継いでーー)
恐らくルスガも同じ考えだったのだろう。自陣の方向へと視線を向けていた。
二人は眼前の敵に対して、全く戦意を持てていなかった。
『甘いですねぇ、そこのお二人さァん』
(念話!)
明らかに敵意の籠もった声がルスガとムゲンの脳髄に直接響く。
即座に身構え、背中合わせになり新手に備える二人。
だが、そこで攻撃をしかけてきたのは
『うぉぉぉぉぉぉァァァァァァァァ!!!!!!』
轟く勝鬨。
崩れゆく大地。
先程とはうって変わり、狂気に満ちた志願兵の顔がそこにはあった。
「な、何が起こってやがる?!」
「分からんが、今は体制を整えるしか…ない!!」
地割れに巻き込まれないようにその場からそれぞれ別方向に飛び退く。
だが、それすらも想定の内だったのか、
『そっちに逃げていいんですかァ?』
いやらしい声が再び脳髄を揺らす。
「少し黙ってろ!!」
魔力を自らの周囲に流し、強引に念話をシャットアウトする。
そして逃げる方向は変えずに一際大きな岩盤に『ギャハハハハハハ!!!!』
「ッ!?」
先ほどまで存在していなかった位置に連中はいた。
さらに言えば、その手には明らかにヤバい色をした魔力を纏った槍、サーベル、弓矢その他etc...
(やるっきゃ、ないッ)
最早反射に近いものだったが、剣を再び抜き放ち容赦なく敵の武器に振りかざす。
甲高い金属音と共に武器がへし折れ、【何故か】敵が崩れ落ちる。
「死にやがれクソガキィ!!!」
背後から迫る殺気と喧しい怒号。
「死ぬかボケ!!」
剣に魔力を流し込み、捻じ曲げた勢いそのまま敵の盾を吹っ飛ばす。
「ウラァッ!!!!」
その衝撃で体勢を大きく崩した大男の剣を蹴り上げて砕く。
【何故か】男は地に伏した。
(クソみたいに敵が多いなオイ…!)
気付けば地割れは【綺麗さっぱり跡形も無く】収まっていたが、そんなことに構っている暇はない。
改めて剣を構え、敵の群へとムゲンは身を躍らせた。
✳︎
ルスガもムゲンと全く同じ流れで敵と出会していた。
「…精神面に影響する強化魔法でも使ったか」
しかしムゲンよりも圧倒的に、冷静に、客観的に戦局を判断する。
(…何故こんなに回りくどいことをする必要がある?)
恐らく念話を使っている相手も安全確保の観点から見て敵陣の中枢、即ち空中城塞にいるだろう。
その距離から念話を飛ばせる魔力があるのであれば、こんな小細工に魔力を裂かず、いっそ絨毯爆撃でも仕掛けた方が余程効果的だ。
(別の狙いがあるということか。そして──)
ここまで長々と思考したにも関わらず、敵は雄叫びを上げるだけで襲いかかってくる気配はない。
こちらに走ってくる者もいるが、一向に距離は縮まっていない。
コレが意味するのは。
「『幻惑解除』」
次の瞬間、ルスガの視界がダブる。
が、すぐにそれも治った。
しかして、その眼前は。
「…何?」
夥しい数の志願兵達の屍山と血河で埋め尽くされていた。
✳︎
「…なんだよ、コレ」
ムゲンの手に絡みつく鮮やかな赤。
眼前に既に幻覚と敵の姿は無く、有ったのは臓物と鮮血で彩られた生暖かな大地だった。
(…敵の武器がやたら脆かったのは、そういうことか)
恐らく五感全てを幻惑されていたのだろう。ムゲンは見事に無抵抗の敵を殺戮した戦争犯罪者に仕立て上げられたのだ。してやられたゼ!!
…否、敵が罠を張った理由はそんなチンケな理由ではない。
「ムゲン!遅くなっ…ちゃっ…た」
今更駆けつけた後衛部隊と、その先陣を切っていたマクナの声がやたらと遠く感じた。
(あぁ、畜生)
ムゲンはゆっくりとその場に崩れ落ちた。
✳︎
(やはり一筋縄ではいかないか)
気絶したムゲンを本陣の救護班のもとに運び込むと、休むも間も無く再び戦場に向かう。
…あの時、ルスガの判断は間違ってなかったが、ただ一つだけ見落としていたとすれば「時間間隔の麻痺」が上げられる。
敵はルスガの判断力まで想定したうえでこの罠を仕掛けてきたのだ。
(流石はアイツと言ったところか。俺の手の内を読むのは造作もないと)
視線を上へと向ける。
こちらを押し潰そうとするかの如く、聳え立つ空中城塞。
それはきっと『彼』の想いそのものなのかも知れない。
世界を覆いつくし、蹂躙したい。
そんな感じの、いっそ幼稚とも言える想いの結晶。
(だがそれはこちらも同じだ。そうだろう?カイザ)
ムゲンの初めてってそういう意味です。うん。たしかに初めてなんですよ?直接的にこういうことするのは。
マクナをさらった村の連中?盗賊???なんのことですかね知りませんよそんなの!!!!!!





