怒りの拳
タクウとガンバの関係性はハガ●ンのエ●と●ルが近いかなーと考えている所存。つーかこの二人のモデルです。
「オラ、次にこの『メツ・ダッ』に挑むのは誰だ」
身を焦がす様な熱い殺意が周囲に満ち満ちていた。
ムゲン達は悟っていた。彼の言葉に少しでも反応すれば、次の瞬間に自らの命は松明の残り火の様にかき消えてしまうことを。
──ただ一人を除いて。
「ッラァァッッッ!!!!」
刹那の暴風と、甲高い金属音。
「なッ…?!何やってんだよ兄さん!!?」
そこにあったのは獰猛な怒りを湛えた顔で、メツの棍棒に鉄爪を正拳突きで叩き込んでいるタクウの姿だった。
「次に死にてぇのはテメーか?」
「誰が死ぬか!!!」
タクウの右手に嵌められた鉄爪がメツの棍棒に深々と突き刺さっていた。
それをメツは難なく振り払い、タクウに凶暴な笑みを浮かべる。
振り払われたタクウは、洞窟の壁に叩きつけられる寸前に体制を整え、メツに向き直る。そして臆する事なく彼は、
「『タクウ・レブ』、いざ参るぜ!!!」
名乗りをあげ、疾風となり巨漢に立ち向かう。
鉄爪と棍棒が火花を散らした───!
✳︎
メツ盗賊団。
主にミッドガル大陸全域において活動する大型盗賊団であり、大小数多の盗賊団の中では新参である。
新参にして巨大な組織を築けた理由はたった一つのシンプルな答え。
リーダーが優秀だったからだ。
ある時は戦場の鬼と化し、ある時は分け前を効率よく分配する資産家となる。
それ以外にも組織の様々な事柄を取り仕切り、その万能っぷりはさながら闇落ちした異世界転生主人公の様相を呈していた。
✳︎
森の盗賊兄弟。
ムゲンの出身地、ウスイベム村から北西数キロ先にて活動していたたった二人の兄弟による超小規模の盗賊団だった。正直なところ「団」という文字を使っていいのか悩む所ではあるが、ここではそう明記させていただく。
彼らもまた盗賊団としては新参であり、盗みを続けていたのも僅か数年の期間だけである。
だが、その数年の間、名だたる用心棒や冒険者は彼らの話題で持ちきりだった。
その理由は第四部分「はじめてのおつかい」で述べた通り、その圧倒的な強さがあったからである。
一見所々似通っているようにも見える二人だが、同じ盗賊でも致命的に違う点が二者にはあった。
✳︎
そして今。
「破ァッ!!!!」
「うらぁッッ!!!!」
武器と武器が響かせる金属音と、盗賊と盗賊が吠える怒号が空気を嫌という程震わせている。
「兄さん!!」
メツの背後に回り込んでいたガンバが素早く突きを繰り出し、タクウの援護に回る。
「ぼさっと突っ立てる場合じゃないよムゲン!!」
「お、おう!!」
触発されたかのようにマクナとムゲンも動き出す。
(流石だな、兄さんは…!)
ガンバは皆が皆の仕事を全うしようとする姿を見ながら、兄に思わず微笑みかける。
いつも、頭より身体が先に動く兄。
そしてそれを仕方なくバックアップする自分。
それが今までの自分たちだった。
でも、今は違う。ようやく気づけた。
タクウの考えなしの行動が皆を引っ張ってくれている…いや、今までも気付いていなかっただけだった。あの豪快さに、単純さに、少なくとも弟である自分は知らず知らずのうちに救われていた。
臆病で頭を使う事しか出来ずに足踏みしている自分を引っ張ってくれていたのは兄だった。
「このガキ共が…!」
形勢がムゲンたちに傾き始めたのをメツは見逃さなかった。
「『三重身体強化』ァ!!」
言うやいなや、魔力光がメツの体を包み込む。
「タクウ君、逃げて!!」
マクナの悲鳴にも近いタクウへの指示。だが…
「嫌だ!!!」
タクウが叫んだ次の瞬間、
「くたばりやがれェッ!!!」
目にも止まらぬスピードで振り下ろされた棍棒がタクウに鈍い音を立ててぶち当たった…
主人公の戦闘シーンはどこ…ここ…?





