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インフィニティ・ワールド  作者: Yamato
疾駆する銀光と鳴り響く剣戟〜雷の彼方に〜
31/79

ムゲン・シン・リターンズ!!

…其処は幼かった私から見れば、「地獄」としか言いようがない風景だった。

「ちくしょう!!!なんで俺たちがこんな目にーーあがっ!!!!!!」

「いや!やめて!!!!ああああああああああああああああっっ!!?!!?!!?!!!」

炎まみれの家、人、家、人。

血まみれの人、人、人、人。

「おい○○○!!!!」

誰かが私の名を叫ぶ。

よく知った声。

「もうここも火の手が回ってるのかよ!!」

「みたいだな!クソッタレ!!」

私の手を引いて、炎と血の海を駆けて行く。

「きゃぁぁぁぁーー!!!?」

後ろから、甲高い絶叫。

それもよく知った声だった。

だったけれども。

「ーーなっ!?」

「…なんだよ…ソレ…」

私が、その時最後に見えたのは、おぞましい怪物の姿となった、○○○の姿だった。



インフィニティ・ワールド第2部

疾駆する銀光と鳴り響く剣戟



「ムゲン!!学校の時間遅れるよ!!」

「うるせぇ!黙れ!!静かにしろ!!!」

ワンア島、ウスイベム村、午前8時のシン家の二階のムゲンの部屋。

何時もの朝の光景である。

「こちとら天使をぶっ倒した世界の救世主だぞクソババア!!」

「母親に説教されてる救世主なんてそうそういないでしょうね!」

あたふたと朝食を口に放り込みながら器用に着替えるムゲン。

「行ってくる!!!」

そして、玄関から即座にテレポートしてーー


「今日も朝からぶっ飛んでんなー!ムゲン!!」

「焦ってたから仕方ないだろ!!?」

ここはウスイベム村唯一の学校。

我々の世界で言う所の、小中高までが一貫の学校である。

そして年月が経つのは早いもので、ムゲンはもう14歳。この学校の中等部に所属している。

「だって、まさかお前、朝礼中の校長の前に転移魔法で登校するとか…ブフォッ」

「だ!か!ら!偶には誰だってミスくらいすんだろーが!!!」

じゃれつくムゲンと級友。

そんな中、朝の穏やかな空気を切り裂く一声。

「ムゲン・シン!!」

ざわつく教室。

「…またかよ」

呆れ顔のムゲンの視線の先には、ひとりの上級生の姿。

「黙れ、ウスイベム村の恥晒しが」

その上級生の名前は…

「恥晒しはてめーらだろーが、ドラド家の長男さんよぉ」

エル・ドラドという。

マクナを引き取った村長一家の正統なる息子、その長男だ。


十数分後。

「まぁ、露骨っちゃ露骨だよなぁ」

「何がだよ?」

ぼこぼこにしたエルの上に跨るムゲンと、ムゲンの悪友。

「いやだって、一応養子なのにマクナの苗字、メリッツ家のままなんだろ?それってさ〜…」

「…お前たち如きが、何を、知っている!!」

エルがムゲンを押しのけ、体を起こした。

ひらりとエルの上から下りるムゲン。

「知るわけないだろーが…アイツも何も話さねーし」

ムゲンと睨み合うエル。

だが。

「おい、いつもの『イタい主人公』ごっこやめろよ」

「誰がイタい主人公だ!!!」

「お前だろムゲン・シン!」

友人の発言に、エルが同意してしまった。

「いつになったら、マクナのこと教えてくれるんだよ!!!なぁ!?エル先輩よぉぉぉ!!!!?」

「黙れ!そう簡単に血が繋がってないとはいえ可愛い妹のことを教えられるかぁぁぁ!!」

服の襟を掴んでエルをガクガク揺らすムゲンと、ムゲンを揺らすエルの様子はさながら鏡合わせ。

「可愛い妹?さてはシスコンだなオメー!いや、前から知ってたから安心しろよ!!ギャハハハハッゴホッゴボッ!!」

「ハハハハハハハ!!!むせてるぞムゲン・シン!ハハッハッ!!!」

仲がいいのか悪いのか分からない二人。

そして、そこに無情に鳴り響くのは。


ゴーンゴーンゴーン


「あっ」

「やべっ」


始業の鐘の音であった。


「覚えていやがれあのクソ教師め…」

散々説教を食らったムゲンが、全ての授業を終え帰路に着いたその時だった。

「お、勇者様のご帰還か」

ムゲンが振り返ると、そこに立っていたのは師匠こと、ブレイドだった。

「はいはい勇者勇者」

疲れ切ったムゲンが適当にあしらおうとすると。

「じゃあそんな学業で疲れ切った勇者ムゲン様にこの師匠たるアイン・ブレイドが疲れを吹き飛ばすような事を教えてやろう」

「…はぁ?」

ニヤニヤしながら、ブレイドがどこからともなく取り出したのは、一枚の紙。

そこに書かれていたのはーー


一ヶ月後。

ミッドガルド大陸。ムゲンたちの世界で最も広大な大陸であり、かつて天使に支配されていた大陸。

広大な荒野と多種多様な種族が暮らす森林がある外周部と、大陸の中心に位置する結界で覆われた超巨大都市国家、ミズガルズ王国。

「…まさかまた来る事になろうとは」

堕天使、いや天使の襲撃から早2年。すっかり活気を取り戻したミッドガル王国は天使の居城より発見されたロストテクノロジーによって以前以上の発展を遂げた魔導機械都市と化していた。

ムゲンはそのミッドガル王国に入国手続きを済ませたところだった。

「さて…情報収集から始めるか」


「お久しぶりですね、ムゲンさん」

「あんたは…国王か」

そこにいたのは国王だった。

あの頃から2年ぶり。しかし未だ若き国王はのほほんとした顔を浮かべていた。

「今じゃあ国王なんてものじゃなくなってきてるけどね…国どころか、大陸を治めることになってきちゃったから」

苦笑いしながら国王は語る。

「ロストテクノロジーの管理責任やら、軍の運営やらも『王家』の方々から任される羽目になってしまってね」

王家。世界の中心に位置するこのミッドガルド大陸から少し離れた名もなき人工の孤島に位置する世界の統制者。詳しいことは謎に包まれている。

しかし、王家そのものが露骨に各地の統治に介入するのは極めて希である。基本は各地の自治体に任せっきりだ。そしてミッドガルド大陸唯一の国がミズガルズと王国のため、実質大陸そのものを治めることになっていたのだ。

「うっわ…大変そうっすねぇ…」

「うんうん、大変大変」

しかし、そう言ってる割にはやっぱりのほほんとした笑顔を浮かべている国王だった。


「いらっしゃーい!!!」

ムゲンはある酒場に訪れていた。

ミッドガル王国首都「ミズガルズ」の西部。そこはならず者やら犯罪者やらが蔓延るスラム街。そんな場所の一つの酒場。

「さて…」

軽く辺りを見回す。

(ザ・ならず者って感じの連中しかいねーな)

ある者は悪趣味な刺青をしていたり、ある者は無骨な大剣を背負っていた。だがその程度でムゲンがビビる訳もなかった。何故なら。

「おい、そこのガキンチョ」

「ん?なんスかおっさん」

「…お前も傭兵か?」

ここは、ある筋の者たちなら誰もが知っている、ならず者と同時に不法傭兵の集う酒場でもあるからである。

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