ヒロイン?いいえ、疫病神です。
「なぁ、待ってくれよー!」
「あはは!こっちこっちー!!」
村の外れ。夜の闇の中のさらに暗い闇に少年と少女が踊るように歩いていた。
「うん、ここら辺でいーよ」
そこは村の門の近くの広場。
「なんでだよ」
「…誰にも聞かれたくないからね」
何故か、マクナは少し寂しそうな顔で答えた。
「…どうした?」
「…私はあの村で主に『とある予知』をさせられていたの」
決意の表情を表したマクナに対してムゲンは
(また面倒な事をやらせるつもりかよ)
と、呆れていたがーー
「私がさせられていた予知はーー『全世界が堕天使に支配される予知』」
「はいはい、そーですかそーですか…って、はい?」
スケールの規模が想定よりデカすぎるのだった。
「マクナの予知は滅茶苦茶当たるからなぁー。それにその堕天使の噂はちょくちょく聞いてたし」
なんとかマクナをはぐらかして、師匠に相談しに来てみれば、そんな事言って笑っていやがる。
「はぁぁぁぁ…もう察したわーどうせそいつを倒せとかいうんだろー?しねーしねーしねー」
大切な事なので三回言いました。
「だってなぁ、こんな事皆に知れてみろ。この世界屈指の実力者のオレが言うんだ。しっちゃかめっちゃかになるぞー。かといってこのまま隠し続けて最終的に堕天使の侵攻がこの島に迫れば…」
「『あんたは世界的な剣の達人かつ冒険者なのにどうしてこの事を教えてくれなかったんだ』と責められるだろーな。ざまぁみやがれ…っつーか、師匠かその堕天使ぶちのめせばいいだろ!!」
ごもっともな意見だ。しかし…
「無理だ、流石にあそこ迄の連中はキツイ」
即答だった。
「師匠が無理ならオレも無理じゃん」
「いや、お前なら行けると思う」
「…なんで?」
すると、フッと笑い…
「カンだ!!!!」
ドヤ顔でこう締めくくったのだった。
朝方。ムゲンの家にて。
「ンッン〜…」
鼻歌交じりに再び旅支度を整えるムゲン。
彼自身の師匠ですら倒せない敵を倒しに行くとは思えない態度だった。
「いいノカ?あいつらに話さなくテ?」
ポフンと気の抜けた音と共に現れたキリューがムゲンに問いかける。
あいつら…タクウや、ガンバ。そしてマクナ。
「いーよ、いーよ。どーせめんど臭い事話すだけだし」
苦笑い気味に話し終えると、袋を抱え、ドアを開け放ったーー!
「よぅ!ムゲン!!」
「おはよう、調子はどうだい?」
はい、待ち伏せされました。
「…いや、薄々察してたけれども」
やれやれといった表情のムゲン。
「あはは〜!」
が、しかし。
「!?」
その声を聞いた瞬間、凍りついた。
「私も行く行くー!」
そう、この女子小学生特有のテンションの持ち主。
「どーしてマクナがいるんだよぉぉ!!!」
マクナであった。





