目覚め
薄暗い屋敷の廊下を歩く。
寝間着のままだけれど、さしたる問題でも無い…というか、ムゲンとさほど年の変わらない彼女にはまだ女性としての色々なナニカが備わってないのであった。
「おお!マクナ、目を覚ましたか!」
養父の声が聞こえた。嬉しそうな声が。
「うん、心配かけてごめんなさい、お父さん」
「やっほー!ムゲーン!」
底抜けに明るいこの声…まさか…
「おまっ、ちょっ!」
たった今さっき師匠から『マクナ意識戻ったってよ!それと、後あの木馬片付けといて』という一方的な念話魔法を受けたばかりだってのに!
でも、この後のこいつの一言で、そんなのはどうでもよくなったよ。
駆け寄ってきたマクナの言った言葉はーー
「…ありがとう」
たったそれだけ。でも、それでも嬉しかったんだ。
「おう、終わったか」
片付けを終わらせた帰り際、師匠と出くわした。
「アレを運んでる時の俺たちの心境を考えたか?ん?」
悪態を突くも、
「どうせ『俺もマクナちゃんと一緒に…ハァハァ』とか考えてたんだろ?」
はるか上手の返しをされた。
「そんなわけねーだろ!アホ!馬鹿!師匠!」
「ハッハッハッ!そうそう、後で村の集会所に来いよ、色々とあるから」
「よう、ムゲンっ!!」
村の集会所。大量の料理。
「うん、ここのご飯も美味しいね!」
ガンバと沢山の村人達。
「おう、勇者様の登場だァァァァァァ!」
飛び膝蹴りで乱入するムゲン。
「竜の肉も偶にはいいな!これを持ってくる商人最近減ってきててよー」
愚痴りながら料理をパクつくタクウ。
そしてーー
「あははっ、皆んなカオスだねー」
クスクス笑いながらちゃっかり楽しんでいるマクナ達の姿があった。
夜、ちょっとした宴が終わった後。
「ムッゲッンッ!」
「よー、マクナー!」
少年と少女の密会…的な何かが始まっていた。





