因果応報木馬
朝。それは良いものである。
人々は各々の目的の為に目覚め、鳥達は賛美歌の如く囀り、心地よい朝日は生きとし生けるもの全てを等しく照らす。
そう、このウスイベム村でもーー
「…なんぞコレ」
ムゲン。それは不良気味の少年である。しかも、昨日の深夜に両親に会いに行き、様々な点で説教を朝まで食らっており、最っ高に不機嫌である。
そんな彼を村の人々はなんとも言えない目で見、鳥達は常日頃から彼の頭に糞を落としたいと思っている…はずは無いであろう。多分。そして彼からすれば『心地よい朝日?何言ってんの?太陽なんてただの惑星でしょ?』
まだ彼は太陽の強さを知らない。
「おい、『なんぞコレ』つってんだろ」
…指摘があったので本題に戻ろう。
ムゲンのいる場所はウスイベム村の中心部のちょっとした広場。そしてその広場のど真ん中にあるのはーー
『この三角木馬しゅごいのぉぉぉぉらめぇぇぇ!』
という文言が書かれた看板を首から提げたまま三角木馬に全裸で乗せられているマクナの養父と養母 (養母の方は一応下着を着せられている)であった。
「誰がこんなことをしたんだろう…」
笑いを堪えながらガンバがムゲンに問いかける。
ムゲンの脳内に即座に浮かんだ人物はーー
「十中八九、うちの師匠の仕業だろうなぁ…」
案の定であった。
「いやー、お前の師匠ってすげぇな!」
タクウがゲタゲタ笑いながらムゲンの肩をポンポン叩く。これが嫌味の1つならムゲンも何か言い返せただろうが、タクウの場合は嫌味なしである。そのため、
「はぁ、どうも…」
と、返すのがムゲンの精一杯だった。
『マクナ、いい?』
この声は誰だったっけ?
『貴女には多くの、大きな力が備わっているわ』
透き通った、凛々しい声。
『その力をどうか、貴女の為、世界の為、そしてーー』
顔が見えない。見えなかったけれどもーー
『貴女の大切な人の為に使いなさい』
微笑んでいたという事だけは分かった。
「…っ」
午後の優しい木漏れ日が窓から入ってくる。
ウスイベムの養父の屋敷の自分の部屋。
狭い、狭い、その部屋のベッドに私は寝かされていた。





