戦陣
「キリューん…」
宿屋に置いてけぼりをくらったキリューさん。
「全く、誰のお陰でココまで来れたと思ってんダ!」
お前が言うか?そのセリフを?
「なんか魔力が密集していて怪しい場所があると思ったら…」
「ドンピシャだったぜ!」
言うや否や、魔力を纏わせた斬撃と打撃をマクナの周囲にいる村男たちにぶちかました。
「マクナ!」
そしてマクナに駆け寄った時ーー
「ッ!?」
マクナはムゲンに対して容赦無く魔力弾を放った。
「ふむ…」
「ほう…」
二人の男が一つの卓上ゲームを囲んでいる。
「…ところでブレイドお前の弟子というのは中々の傑物じゃな」
酒を盃に入れて少し飲むと一手。
「むむむ…そういうあんたのところの孫兄弟も戦闘センスが凄いってーの」
また一手。
「そりゃ光栄じゃが…あいつら、今頃どこで何をしているのかのぉ…」
「さすがに村には着いただろ。まぁ…マクナと会えたかどうかは別として」
嬉々としたようすで話すブレイド。
「不安ではないのか?」
するとブレイドは弟子そっくりのニヤリとした笑みを浮かべた。
「あいつらならどんな場所、時間、状況でも突破できるさ…はい、詰みな」
「おぅ…」
「え?何?!ツンデレ!?」
なんとかサイドステップで避けたムゲン。
ツッコミをマクナに入れるが…
「・・・」
反応は無い。
タクウが遠慮がちにーーおそらく魔術関連の知識に自信が無かったので事もあるだろうがーー呟くようにムゲンに言った。
「ムゲン。ありゃーー」
ムゲンはマクナの周辺の地面に電撃魔法を放ちながらタクウの言葉の後を継いだ。
「『洗脳魔法』か!」
そのまま言い終わるやいなやマクナに突っ込んで行く。
そしてそれを妨害するべく、敵達はムゲン達の前に立ち塞がる。
「おっし!俺たちに任せろ!その間にマクナちゃんを!」
「ムゲン!頼んだよ!」
吠えながら村男達に振るわれていく槍と鉄爪。
「悪りぃ!」
一直線に電撃のサークル内のマクナに突っ込んで行く。
当然反撃して近づけまいとさせるマクナが大量の火炎弾をムゲンに撃つ。
しかしーー
「師匠、許してくれよ!『転移魔法』!」
と、一気にマクナの数センチ前にテレポートする事によって、余裕で突破した。
そしてマクナに掴み掛かり、魔力を込める。
「魔法式、解析開始!」
洗脳魔法を解除するにはまず、どのような洗脳をどのような魔法で掛けられているかを知らなければならない。その為の解析であるわけだが…
「えぇぃ!あの赤い髪のガキから仕留めろぉ!」
一際大きな声で奥の方で隠れていた村長が指示を出す。
その指示が何を指し示すのか分かった彼らは一斉にムゲンに突撃しようとする。
しかし、辺りからは光の網が表れ、彼らを拘束してゆく。
「『拘束魔法』!!兄さん!出番だよ!」
「応ッ!!」
網の中の村男&村長に対すると、ゆっくりと息を吐き、腰を落とし、両腕を後ろに引く。
「心体流、第一奥義ーー『撃砕双拳』ッッ!!」
次の瞬間、洞窟に轟音が轟いたーー!
「で?何か言うことは?兄さん」
あたり一面の瓦礫。空には綺麗な夕焼け。
「…やり過ぎちまった☆」
一瞬の沈黙の後、ガンバのドロップキックがタクウの鳩尾に華麗に決まった。
「何をやってんだ馬鹿兄!」
「すまん…と、とりあえず瓦礫を掘り返してみよう!」
「こんなんで生き残ってる奴なんているわけ無いだろ!」
ガンバはそう言った。しかしーー
「ここにいるぞ」
「うぇぇぇ!?!?」
ガンバの真後ろには意識を失ったマクナを担ぎ上げている埃まみれのムゲンがいた。





