バトル&ドラゴンズ
「あれれ〜おかし〜な・・・」
ムゲン・シンの目の前には巨龍。
背後には絶壁。
「キリューさん!?なんか色々と話がちが・・・って!?」
次の瞬間、爆炎が襲い掛かったーー!
そもそも、話が良すぎた。
人間よりも遥かに高位な種族である精霊が何も条件無しに協力などしてくれる訳が無かったのだ。
洞窟でキリューと話が終わった瞬間、彼らは洞窟の外の平原に強制的にワープさせられていきなり、
「あ、でもコイツ倒せるくらいのチカラは持ってないとね。キリュリュ」
と言うやいなや、よりによって最高位の飛龍、『キングドラゴン』を召喚しやがったのたった。
「クソッ!死ぬかと思ったぜ!」
爆炎から飛び出したムゲンは剣の先から雷を幾つか龍の足元に放つ。
しかし、軽々とバックステップで躱される。
「この野郎ォォ!」
タクウの鉄爪に魔力の光が宿る。
そして、龍の背中に飛び乗った!
「オッラァァァァ!!」
叩きつけるように鉄爪を振り下ろすタクウ。
そして、轟く爆音。
「兄さん!やったかい?」
「おい、そのセリフはフラーー」
ムゲンのセリフを遮るように飛龍の咆哮が響く。
「なんだあの甲殻・・・馬鹿みてぇにかてーぞ!!」
すぐ近くに着地したタクウが自分の鉄爪をムゲン達に見せながら楽しそうにしている。
タクウの鉄爪は刃こぼれしていた。
「殴り甲斐がありそうだぜ!ムゲン!!!」
「お前はとことん戦闘バカだな…っと、話してる場合じゃなかったな!」
飛龍は暫く旋回していたが、突如ムゲン達に突っ込んできた!
「逃げろーッ!」
「キリュ・・・今回の人間達は中々やるなァ」
高みの見物を決め込むキリュー。
ムゲン達は龍の攻撃を躱すと、少しずつではあるが、確実に急所に攻撃を叩き込んでいく。
「・・・ホント、人間達のこういうところは尊敬するヨ」
いつも人間という生き物は、短い時間の中で精一杯の努力を少しずつ行っていく。
彼らに言わせれば、『塵も積もれば山となる』と言うらしいが、塵が積もって本当に報われるのはごくごく僅かな人間だけだ。
その『ごくごく僅か』な人間であると彼らは何を根拠に信じているのだろうか?
「わけがわからないヨ〜」
「オイ、ガンバ!俺たちの中では知能指数高そうな、お前の目から見てコイツはどうだ?!」
飛龍の攻撃をいなしながらガンバに尋ねるムゲン。
「うーん、まだ自信は無いけど・・・」
答えながら飛龍の振り下ろされた爪をすんでのところで躱す。
しかし、そのままの勢いで尻尾を後ろのタクウに叩きつける・・・が。
「んなこと知るか!自信を持てよっ!!」
見事に尻尾を抱えたタクウの叱咤が飛ぶ。
身体強化魔法を使用したのだ。
そのままハンマー投げのごとく振り回す。
「無難に他のドラゴン相手の時みたいに、甲殻と甲殻の隙間に高火力の攻撃を叩き込むのが一番だ!」
これはドラゴンが相手の時の鉄則である。
ドラゴンの甲殻は堅く、属性なども中々通さない。
しかし、甲殻の隙間ならば柔らかい筋肉が露出している。
とどのつまり、常識である。
「そんなことくらい、分かってる…ぜッッッ!!!!!」
ドラゴンを投げ飛ばすタクウ。しかし飛龍は即座に体制を整えると、再び空に飛翔する。
「なんだよ、あのチートドラゴン。名前がクソダセェのによォ・・・」
「そうか?シンプルで結構好きだぞ、あの名前」
キングドラゴン。直訳して『王竜』。
そして、再び咆哮が空から轟く。
「く、来るっ!?」
慌てるガンバ・・・と、対照的に。
「・・・さて、そろそろ逆転か?ムゲンの大将?」
「だな、王様は王様らしく踏ん反り返ってろよって怒鳴りつけてやろうぜ。それとその呼び方やめれ」
二人は嗤ったーー!





