とりま、ダンジョンには松明とマップを。
暗い洞窟。
僅かな灯りは魔法によるものだろう。
そこに彼らはいた。
「あっちかー?」
「うん、そっちー」
「ふぅ、でも本当に居るのかね?俺たちの力になってくれるヤツなんて」
ムゲン達は、とある洞窟に訪れていた。
そして、この洞窟に訪れたワケを知るには、少々時間を遡ることになる。
『聞こえるか?』
「うお、びっくりした・・・って、どうしたんだよ、爺さん」
タクウとガンバが仲間になった直後、ムゲン達は森から旅立った。
そして森を出た辺りで兄弟の祖父からテレパシーが届いた。
『お主はわしが見てきた様々な奴らの中でもトップクラスの才能がある』
「はぁ」
「孫達の前でそれを言うか」
「き、きっと僕らもトップクラスの才能があるよ兄さん・・・」
狼狽える孫達を無視・・・したのかどうかはさておき彼は話を続ける。
『それを見込んで、お主に提案がある・・・【精霊の洞窟】という場所を知っておるか?』
「あー、聞いた事あるかも」
聞いた事あるかもでは無く、彼は確実に聞いている。
それも師匠のブレイドから。
ブレイドは各地を旅する剣士だ。そして、その道中の話をムゲンにちょくちょく話していた。
その話の中に今彼が話した精霊の洞窟の話があったのだ。そして、芋づる式に関連する記憶を思い出した。
「なんでも、『可能性がある者に力を貸す精霊がいる』とか」
「ほえー、そんな洞窟があるのか」
「つまり、これからの旅に備えてそこの妖精から力を借りろと?」
どうやら孫達も祖父がそんな事を知っていたとは初耳の様だ。
『うむ、その通りじゃ』
「でもさ、風呂入った時にも話したけどたかだか行方不明になった幼馴染を捜すだけだぜ?そんなに大げさなモノの力を借りなくてもいいだろ」
ムゲンが最もな問いを発した。
『・・・』
沈黙。
「ったく、答えられねぇなら提案するなっての」
呆れ顔でムゲンが答える。
「で、でもお爺ちゃんの言ってることって間違ってたこと無いから・・・その」
遠慮がちに意見を言っていたガンバを、暫く見つめると、溜息一つの後に話し出した。
「OK。行ってやるよ、その洞窟。全部終わったらお土産に精霊の干物でも持ってってやるから待ってろよ!」
啖呵を切ると、ムゲンは盗賊兄弟が持ってきた地図を広げ精霊の洞窟の場所を探し出した。
と、いうことがあった訳だが。
「なんだこの洞窟!ただの迷路じゃねーか!」
「うるせー!ただでさえ反響して小さい声でも喧しいのに、デケェ声出すなァッ!!」
『二人とも黙って!!』
ガンバだけテレパシー魔法を使っている点で、彼らの知能の優劣はお察しだろう。
しかし、今はそんなことはどうでもいいわけで。
「いい加減ゴールが見えてきてもいいと思うんだが」
ムゲンたちはもう何回目かも分からない曲がり角を曲がろうとしていた。
「そう言ってると見えてくるってパターンだろ!」
タクウが一気に曲がり角を曲がる。
だが。
「うわー」
さらに複雑な迷路が目の前には立ち塞がっていた。
その直後、タクウとムゲンが、近くの岩を蹴り飛ばした。
八つ当たりである。やめてやれ。
「・・・よし」
「やるか・・・」
二人とも、血管を浮かせていた。
武器を構え、弓なりに体をしならせる。
そして・・・
「覚えてろよ、建築家ァァァァ!!!」
「こんのクソッタレ迷路がァァァァ!!!」
暴言をさながら飛竜の咆哮の如く叫びながら、全力全開で迷路を全壊させたのであった。
続く。





