皇帝は食べたい……ごくり。
えー、現実逃避してもいいですよね?
もう、自分、落ち込みました。
せっかく、あの四人から逃げられると思ったのに……許嫁が恋人連れて、婚約破棄ってなんですか!!
くっそおおおお!!!
もう、もう、自分、あったまに来ました。
これはもう……やけ食いするしかなかろうがっ!!!
まずは、護衛の連中を置いていきました。まいたとも言う。
おお、やれた。え、やれちゃったよ、自分。ちょっと自分の能力すげー思いました。
頑張って、パルクール習得して置いてよかった。うん。
次に事前にお金を用意しておきました。
ん、数万あればいいよねって、適当に。
あ、数万じゃなくて、数千円でよかった。
けど、あの家には、一万円札しかなかったので、これでいいや。うん。
それと、多目的トイレにこっそり潜入し、変装しました。
黒のウィッグにサングラス。本当はマスクもしたいところだったけど、それしたら、本当にマジで変質者だったので、マスクは外しています。
おおお、別人になった!! 完璧っす!! にまにまが収まらないっす!!
後は…………コンビニに行くだけ!!
遠巻きちゃん達は、絶対に行くなとか、怖い所だとか言ってたけど……ああああ、今の自分にとって、ここは、心のオアシス。なんて、素晴らしい桃源郷!!!
えっと、今後の癒しのことも考えて、適当に籠に突っ込んで……よしっ!!
そして、最後は……。
「すみません、そのチキンも一つ追加で」
「はい、チキンも一つ追加ですね! 8567円になります」
いやっふーーーーわんだほーーーー!!!!
神様、今日の行いに感謝しますっ!!!!
近くにあった公園で、さっそく、戦利品の一つである、あああ、とても美味しそうなこのチキンを……。
……じーーー。
この至高なチキンをっ!!!
……じじじーーーーー。
「なんだ、お前も食べたいのか?」
「うん、美味しそう」
ちっちゃな子に強請られた。まあいい。他にも戦利品が……。
「いいなー、僕も欲しい!」
「私も、私もーー!!」
なんだよ、この飢えた子供達はっ!! けどまあ、また買ってくればいいことだし。
「ほら、食べたいんだろ。分けて食え」
「わーーーいっ!!」
もちろん、後で買い直したさ。マジで数万円、持ってきてよかった。
「ぱくっ……ふ、ふううううーーーーマジで美味いっーーーー!!!」
ごめん、マジで泣いちゃった。幸せな時でも涙って出るんだね。
はあ、幸せだよ。
ついでに隣に眼鏡のあの子もお願いします。
けど……この戦利品があれば、しばらくは戦えそう。
それはともかく、神様、ありがとおおおおおお!!!
「チキンが……うまいいいいいーーーー!!」
そんな自分の肩を子供達がぽんと叩いてきました。え、待って。なんで、そんな同情した目で自分を見るんすか?
「お兄ちゃん、苦労してるんだね……」
言わないで、その言葉、自分の心を抉って来るからっ!! マジで!!!




