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知らない間に攻略対象になってました  作者: 秋原かざや


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8/17

皇帝は食べたい……ごくり。

 えー、現実逃避してもいいですよね?

 もう、自分、落ち込みました。

 せっかく、あの四人から逃げられると思ったのに……許嫁が恋人連れて、婚約破棄ってなんですか!!

 くっそおおおお!!!

 もう、もう、自分、あったまに来ました。

 これはもう……やけ食いするしかなかろうがっ!!!


 まずは、護衛の連中を置いていきました。まいたとも言う。

 おお、やれた。え、やれちゃったよ、自分。ちょっと自分の能力すげー思いました。

 頑張って、パルクール習得して置いてよかった。うん。


 次に事前にお金を用意しておきました。

 ん、数万あればいいよねって、適当に。

 あ、数万じゃなくて、数千円でよかった。

 けど、あの家には、一万円札しかなかったので、これでいいや。うん。


 それと、多目的トイレにこっそり潜入し、変装しました。

 黒のウィッグにサングラス。本当はマスクもしたいところだったけど、それしたら、本当にマジで変質者だったので、マスクは外しています。

 おおお、別人になった!! 完璧っす!! にまにまが収まらないっす!!


 後は…………コンビニに行くだけ!!

 遠巻きちゃん達は、絶対に行くなとか、怖い所だとか言ってたけど……ああああ、今の自分にとって、ここは、心のオアシス。なんて、素晴らしい桃源郷!!!

 えっと、今後の癒しのことも考えて、適当に籠に突っ込んで……よしっ!!

 そして、最後は……。


「すみません、そのチキンも一つ追加で」

「はい、チキンも一つ追加ですね! 8567円になります」


 いやっふーーーーわんだほーーーー!!!!

 神様、今日の行いに感謝しますっ!!!!


 近くにあった公園で、さっそく、戦利品の一つである、あああ、とても美味しそうなこのチキンを……。


 ……じーーー。


 この至高なチキンをっ!!!


 ……じじじーーーーー。


「なんだ、お前も食べたいのか?」

「うん、美味しそう」

 ちっちゃな子に強請られた。まあいい。他にも戦利品が……。

「いいなー、僕も欲しい!」

「私も、私もーー!!」


 なんだよ、この飢えた子供達はっ!! けどまあ、また買ってくればいいことだし。


「ほら、食べたいんだろ。分けて食え」

「わーーーいっ!!」


 もちろん、後で買い直したさ。マジで数万円、持ってきてよかった。


「ぱくっ……ふ、ふううううーーーーマジで美味いっーーーー!!!」

 ごめん、マジで泣いちゃった。幸せな時でも涙って出るんだね。

 はあ、幸せだよ。

 ついでに隣に眼鏡のあの子もお願いします。

 けど……この戦利品があれば、しばらくは戦えそう。


 それはともかく、神様、ありがとおおおおおお!!!

「チキンが……うまいいいいいーーーー!!」

 そんな自分の肩を子供達がぽんと叩いてきました。え、待って。なんで、そんな同情した目で自分を見るんすか?

「お兄ちゃん、苦労してるんだね……」

 言わないで、その言葉、自分の心を抉って来るからっ!! マジで!!!

 


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