こんなにハードだなんて、皇帝、知りませんでした
そういえば、以前、言い寄られるのは女の子が良いって、自分言ってしまいましたが。
前言撤回していいですか? いいですよね?
だってですね?
自分、見てしまったんですよ。
教室の扉の裏で、構えてる縦ロールのこと、見つけちゃったんです。
怖くて入れませんでした。
目なんか血走ってて、今か今かと待ち構えてるんです。
その手には、よくわかんないプレゼントと……非常に読みたくないピンク色した封筒入りの、ええ、花柄の手紙がありましたね。
駄目、でした……。
その、皇帝になって……初めて、早退して帰りました。
それで、こっそり、遠回しに先生を通じて、手紙とプレゼントは学業の邪魔になるから、止めて欲しいと伝えたんです。
どうなったと思います?
今度は……帰れなくなりました。
ええ、逆パターンですね。驚きましたよ、本当に。
仕方ないので、ヘリを呼んで、窓から帰りました。
あれはないわー。
なんていうか、怖いです。マジ、女の子、怖い……。
縦ロールだけなら、まあ、そうでもないかもしれないんですが、それに……大和撫子ちゃん。
あのこがね、その、幽霊みたいな顔で、必死になって、自分のこと、縦ロールに負けないようにってアピールしてるんです。こっちは流石に豪華なものじゃないんですよ。
……たぶん、手作りっていうんですか?
怖いじゃないですかっ!!
高価なモノも怖いけど、それ以上に何が入ってるか分からない。
―――手作り。
自分から言わせてもらうと、あれ、核弾頭並の怖さです。
あれもらったら、もう、なし崩しに大変なことになりそうです。
必死にもなります。
ええ、舐めてました、このゲーム。
こんなにハードだなんて、聞いてねえよ、こんちくしょーっ!!
こんなんじゃ、自分の生命の危機を感じたので、ちょっと病弱な振りして、二人に極秘ってことで、今は保健室で授業受けてます。
ただそれでも、同じ校舎だし、保健室にいつあの二人が入ってくるかわからないので、マジ、怖いです。
そろそろ危険だなって、背筋に悪寒を感じてます。
自分、転校していいですか?
思わず、両親に相談したら、逆に怒られました。
何も問題ないなら、ちゃんと卒業するまで通いなさい、の一点張り。
……父上、母上……自分を、そんなに地獄に追い込みたいのですか……。
そういうわけで、転校は……無理でした。
ある意味、詰んでます。
こうなったら、彼女らと接触せずに暮らそうと思います。
ええ。これは、ちょっぴりワルな感じですが。
サボっていいですか?
主に誰もいないところで。




