皇帝、覚醒……しません!?
というわけで、自分、風邪から復活っ!!
翌朝、すっきり、起きれたし、頭痛もなくなりました。鼻も喉も咳も出ないし………なんか、便利?
やはりそこは、ビバ! ゲーム世界!! なんだろうか?
とにかく、これからは、ヤバいモードに入らないよう、蒼には近寄らないようにしないと……!!!
っと、思った矢先に。
どんっ!!
誰かにぶつかった。
「ああ、すまない。よそ見をして……!!!!!」
「あ……皇帝、くん……」
って、蒼の顔色がすこぶる悪い。
「どうした? 顔色が悪い……もしかしたら、変なところを打ってしまったか?」
思わず、自分、労わるような言葉を投げかけています。
って、これ、放っておけるかよ……もう!!
「ねえ、皇帝くん。ちょっと話してもいいかな?」
「あ、ああ……」
「僕は……選ばれた人間なんだって」
もしかして、あの覚醒イベントに関連する話……なんだろうか?
「皇帝くんなら、そんな風に言われても、平気そうだよね」
「まあ、慣れているからな。けど……」
そこで言葉を区切って、真剣な眼差しで続ける。
「たまに逃げ出したくなる時はある」
「ふふ、皇帝くんは、ずっと逃げ出してるもんね?」
「お前らの所為だぞ」
その言葉に蒼は笑う。
「そんなに、嫌なの、それ?」
「……最近は、正直……どうでもよくなってきてる、と思う」
「えっ……?」
なんだか、自然にそんな言葉が出てしまった。
「お前達の向けられる好意は、まあ、それほど……悪くはないとな。けど……それに現を抜かすつもりはない。俺にはやるべきことがある」
……って、あれ? そういえば、そんなことがあったような……。
と、そこで頭に鋭い痛みが走る。……またかよ!!
「目的の為なら、辛くても苦しくても前に進まなくてはならないときもあるんだ。俺はそのときがきたら、きっと……お前達を切り捨てても、それを……選ぶかもしれない」
なにいってるんですか、自分。えっ……あれ? どういうことっすか?
「お前のやりたいことを、すればいい」
って、自分、自動的になんか喋ってるんですけど!! これって、また強制イベントってやつですか?
と、そのときだった。
グルルルル…………。
獣の唸り声。視線の先には黒い影が、狼のような獣のような影が、自分達に襲い掛かろうとしていた。
咄嗟に受け身を取ろうとした矢先。
キィイイイン!!
何かが抜かれ、その刃で、その影を、獣を切り裂いた。
蒼が美しい日本刀を持って、そこに立っていた。
ああと、自分は理解した。
蒼は、この影と戦うために、その刀を手に入れたのだと。
「大丈夫、皇帝くん!! 怪我はない?」
「ああ、大丈夫……うわっ!?」
急に蒼が自分に抱き付いてきた。
「よかった、皇帝くんが殺されるかと思ったら、自然に体が動いちゃって。この刀、ずっと引き抜けなかったんだ。けど、引き抜けて、あの影を倒せた。よかった、よかったよ」
ずきり……。
なんだか、蒼が羨ましいと感じた。
胸の痛み? それともずきずきと痛む頭の痛み?
ただひとつ、言えることは。
自分はなにひとつ、『目覚めなかった』という、現実を思い知らされたことだった。
ぴこん。
『薮内蒼との好感度が100になりました。これより、伝奇編に入ります』。




