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知らない間に攻略対象になってました  作者: 秋原かざや


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11/17

これが皇帝の強制イベント……ですか!?

 ……あれ? ここ……どこっすか?

 暗いし……あれ? がちゃがちゃ音がする……両腕が上にあげられて……え? 鎖で縛られている?


 あ、あの……これって、どういうことっすか……えーっと……うん。

 えっと、朝から自分、思い出してみましょう。


 そう、今日はとてつもなく、気持ちのいい朝だった。

 いつもは、家から車で学校に向かうのですが、本当に気持ちのいい空だったので、るんるんで一人で電車に乗って学校に行ったんだった。

 そろそろ、一人で電車で学校に行きたいと、無理やり説得して、出かけて行って。


 もうすぐ学校だーーと達成感に浸っていたところで……。


 ――あっ……。


 完璧に思い出しました。

 自分、後ろから知らん男に捕まって、変なハンカチ香がされて……。


「自分、攫われてるんですけどぉーーーー!!」

「うん、正解!」


 あ、その声って……。


「さーやちゃんっ!!」

「いやあ、物の見事に攫われちゃってるね。早く気づいてよかった。まだ朝だしね。強制イベント思い出した、私に感謝してね?」

 よっこいしょっと、開いていた窓から、さーやちゃんは入ってきました。すげえ。

「それと、雄哉くん。今、上半身裸だから」

「わーお。本当だ……しかも肉付きいいっすね」

 そういえば、今、パルクールと曲芸育ててるところだから、筋肉良い感じになってきてます。

 こういう体をいじめる運動って、意外と楽しいんだよね。

「なるほど、ステータス、すっごい良い感じに育ててるんだね。失敗したら、メタボになるんだよ」

「いやそれ、今、いる?」

 いや、そこを突っ込むときじゃない。自分、気づきました。

「すみません……まずは、コレ……外してくれませんか?」

「ああ、そうだったね。えっと…………あ、鍵ないや」

「ええええええっ!!!」

「そういえば、ここのイベント、やってきた人が鍵を見つけて持ってきて、好感度が100になるんだよね」

「待って、マジで待って……!! 100になったら、例のヤバいモードに入るんすよね!!」

「まあ、4人全員100にしなければ、ギリ大丈夫だから、まだ大丈夫。えっと鍵は……あれ、どこだったっけ?」

「え、詰みました? 自分、ヤバいことになってます?」

「あ、今、ここ脱出しないと、四人そろって、ここに来ちゃうよね」

「えっと……物凄くピンチじゃないですかっ!!」

「うん、そう。ここで君が助けられると、助けた人との好感度が一気に100になるんだよね。あのモードに入るにはこのイベントを使うと楽なんだけどね」

「いいから、早く助けてっ!!」


 がしゃん。

 ……えっ……?

 えっと、さーやちゃん、今、何をしました?

「あ、風の魔法で、鎖切りました」

「はい? な、何言って……」

「けど、急がないと100になるイベント発生しちゃいますよ」

「そうだったっ!!」

 はっと自分、思い出しました!! イベント……!! いや、これ、どういうことっ!?


「強制イベントだね! ここで好感度を100にしていくやつ。普通は好感度が一番高い人が助けに来てくれるんですが……雄哉くんは、四人全員、均等に上げてるから、四人来ちゃうね?」

「いやあああ!!!」

 今、大ピンチじゃないですかっ、自分っーーー!!!

「というわけで、助けに来たわけですよ、私。まだここで、面白い雄哉くんを終わらせるのは、勿体ないと思いまして」

「そっちですか!?」

 さーやは、ぐいっと雄哉の手を握って、近くの本棚の本を抜き取った。


 がこんっ!!

 床が開いた!!


「はい、そこに入って!! この本はここに置いておけばいいか。入口はこうして……閉める!」

 がこんと、床が閉じて真っ暗になった……と思ったら、光が灯った。あ、さーやちゃん、携帯持ってたんだ。さっすがーー!!

「ほら、さっさと、先に行くよ! あの四人、能力高いから、裏技とかすごいから、早めに逃げないと捕まるよ」

「そんな情報、知りたくなかったっ!!」

 って、なんで、さーやちゃん、このクソ面倒なダンジョン(だよ、マジで!!)を迷いなく、ガンガン進んでいきます。すげーよ、さーやちゃん!!

「そ、外に出られたーー!!!」

「まだだよ。早く家に帰って、でないと見つかる」

「り、了解……」

「……ふう、何とかなってよかった。昨日言い忘れてさ……目覚め悪いなって」

「それっすか…………嬉しいような悲しいようなトホホなような」

 さーやは、可愛い笑顔で雄哉へと笑いかけてくれた。ものすごく可愛いっ!!!

「ああ、このまま僕だけの楽園エデンに沈めて、永遠の時を刻みたい……」

「はいはい。早く帰んないと好感度100……」

「それじゃ、また明日!!」

 しぴゅーーっと、雄哉は自分の屋敷に逃げていった。見事だった。


「あれは……逃げ足のスキルも取り始めたんだね。必要か、逃げるなら……」

 そう呟いて、さーやは、残念なイケメン雄哉を見送ったのだった。

 



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