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知らない間に攻略対象になってました  作者: 秋原かざや


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10/17

皇帝の秘密の校庭で会いましょう?

 今、まさに……自分の目の前に……あのあの、自分を一撃で心を盗んでいった、可愛い……。


「眼鏡ポニテちゃんっ!!」

「まあ、そうですね。いやあ、ほんと実物みたら、へんてこさが満載ですね。あの砂吐きキラキラ台詞はどこに行っちゃいました?」


 眼鏡ポニテちゃん、今、なんて言いました?

 流石にそんな台詞は、自分、言えませんよ。


「あー、一応、自分は雄哉なんですけど、雄哉じゃないです……」

「うん、本物なら、もっと四人とフラグ立てまくって、あっという間に鳥かごエンディングに持って行っちゃうだろうし」


 ……なんですか、その『鳥かごエンディング』って……物凄く怖いんですけど!!


「颯爽とあっまーいマスクとあっまーーーーいセリフで、がんがん好感度あげてく人だからね。好感度あげるのに雄哉くんほどピッタリな人はいないよ」

「そんなの聞きたくなかったぁーー!!」


 おーのぉーーと悲しんでいると、眼鏡ポニテちゃんは、ぽんぽんと肩を叩いて励ましてくれた。

 あ、きゅんとしちゃう。


「もしかして、好きなキャラ……誰一人いない? 瑠璃ちゃんとか蒼くんとか、意外と可愛いよ?」

「男は無理っす。自分、ごくふつーーの男ですし。瑠璃ちゃんは、手作り攻撃が怖いっす……」

「……そういえば、惚れ薬とか仕込んでたわ」

「やっぱり食べなくてよかったあああああ!!!」

 いや、そうじゃなくって、もしかして……。


「眼鏡ポニテちゃん、もとい、僕の心のオアシスちゃんは……あのゲーム、クリアしたんっすか」

「もちのろんですよ!! クリア後に出来る各キャラになって攻略とか、ファンディスクも、スチルコンプも全部やりました!! 特に雄哉くんは、私の推し・・です」

 ……ずきゅん。


「今すぐ君を抱きしめて、僕だけの楽園エデンへと導き、幸福の彼方へと連れていきたい」


「あ、ちゃんと砂吐き台詞、言えるじゃないですか! そそそ、それですよ!! 萌え!!」

「なら、君の為にささやかな詩を囁こうか、君のその可愛らしい耳元で……」


 って、自分、何言ってるんですか!! なに、耳元で囁こうとしてるんですかっ!!


「あ、なーる。雄哉くんが好きな相手に、オートモードで発生するんだ。おもしろ……」

 と言いながら、眼鏡ポニテちゃんは、ふむふむと分析している。

 いや、そうじゃなくって!!


「そそそ、そういえば、前世持ちって、本当ですか?」

「うん、前世は、ふつーのOLですね。ゲーム大好きな彼氏と付き合ってたよ」

 それは聞きたくありませんでした。くっ……相手は彼氏持ちかよ。くっそーーーマジか。

 うう、泣いちゃう。いや、泣いている。

「よしよし」

「せめて、お名前聞いてもいいっすか? そして、このゲームの攻略方法、教えて欲しいっす。できれば四人とは付き合わない方法で……」

「私の名前? 実はモブみたいだから名前ないんだよね。んーと、表示では、『柊さーや』になってるね。きっとプレイ時の名前がそのまんま名前になってるっぽい」

 眼鏡ポニテちゃん、もとい、さーやちゃん。名前が可愛い……。

「僕の心の聖書バイブルに、しかと刻んだよ……」

「ホントに、私のこと、好みなんだね。すごいねー。でも……」

「いわないで、ホント、自分、挫けそうです……」

 可愛そうな雄哉に、さーやは言う。

「まずは、今、どのくらい好感度上げてるか確認しようよ。そのいつも付けてるウォッチで見ることが出来るから」

「マジで!!」

 ぴっと、さーやに言われて、起動させる。

「おーのぉおおお!?」

「うっわーー、なんで全部『???』なんだろ? まあ、私にはなんか、見えるから教えてあげるけど、今、70近く稼いでいるよ。ちなみに最高は200。200になったら、鳥かごエンディングに自動的に入って」

「入って?」

「好きなキャラを別荘に閉じ込めて、うーんと愛し合っちゃいます。エロく」

「まったあああああ!! 待って、今、何て言いました!?」

「別荘に閉じ込める? それとも」

「エロくって、なんすかっ!? 全年齢ゲームっすよね、これ!!」

「うん、普通はね。けど、限定解除したら、伝奇で楽しい18禁モードに入ります。まあ、これは後で話すとして、まだ好感度そんなに上がってないから大丈夫。四人の好感度を100に上げなければ、そんなモードには入らないので、安心してね」

「怖いんですけど、それええええ!!!」

 なんて、恐ろしいゲームなんだ……。

「まあ、とにかく、今は、4人と避けまくって、好感度あげなければ大丈夫だと思うよ。えっと、がんばって?」

「ううう、励ましてくださーい。時々、こうして励ましてくださーい。自分、もお、挫けそうなんですけど……好感度が『???』なのも変なのに……」

「どうどう。でも、へんてこな雄哉さん見るの楽しいから、頑張ってほしいな。今の雄哉くんが突き進むエンディングってどれになるんだろうね?」

「ごくふつーーーのエンディングがいいっす、もう、平穏がいいっす…………」

 けれど、お陰で、いろいろ知ることが出来た。

 うん、光が見えたのは、とても良いことだ。


「頑張って、だれともくっつかないエンディング目指すぞーー!!」

「おーー!!!」

 そういって、雄哉は意気揚々と校庭を後にする。


「あ、すっかり忘れてた。逃げまくったら、強制イベント出るんだったっけ……大丈夫かな?」

 さーやがそんな不穏なことを呟いていたとは、当の雄哉は知らなかったのであった。

 



大丈夫です。これはコメディなので、18禁にはなりません。ご安心を。ただ、雄哉くんが可哀そうになるだけです(笑)。

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