僕のお兄ちゃんはボール遊びが好きです。
休日のある日。
僕は明後日のテストに控え、図書館から家に帰ろうとしていた。しかしさすが夏。家まで帰り道にかかる時間50分が地獄のように思えて来るほどの暑さであった。
その暑さに家までの道なりにある公園で休んでいく、と脳内会議で即決するほどだった。
長いこといってなかったその公園は意外と近くにあった。その公園はこの地区内では小規模にも関わらずストバスコート、テニスコート、トラックが設置されており、その近くに冷房、暖房完備の休憩所が設置してあるため、人気の公園なのだ。
休憩所の中で涼んでいると隣に設置してあるテニスコートから聞き覚えのある声が二つ聞こえてきた。
「ちょっ!隆也!どこ打ってんだよww」
「そう言ったってっ……あぁ!」
「ホームランwwwww……っじゃなくて、あっちって休憩所じゃん!?」
「げっ……。」
その声と共にポーンと飛んできたのはテニスボールだった。そのボールは跳ね返り僕の手の中に収まる。それを見たのかさっきの声の人達が声をかけてきた。
「すみませーん。そのボールこっちに投げてくれませんかー?」
「ほんとにすみませんー。」
そしてその声の主を僕は知っていた。
「はぁ……。お兄ちゃん、浩司君、僕じゃなかったら怒られるかもよー。」
そう、声の主はお兄ちゃんである鈴木隆也とお兄ちゃんの友達である花田浩司君だったのだ。
「なぁーんだ。千佳かよー。」
「あ、千佳だったのか。ありがと」
「……浩司君合格。お兄ちゃんは浩司君を見習ったら?」
浩司君はテニス部所属のエース様だ。
僕との関係はは同じクラスで隣の席、という関係。プラスでお兄ちゃんと友達と言うこともあったので、今では大の仲良しなのだ。……まぁ、それ以外にも、個人的な諸事情があるのだが……。
「それにしても浩司君達は何してたの?」
「「テニス」」
「浩司君はともかくお兄ちゃんは違うでしょ。どうみてもラリー続いて無かったし。」
「う゛……。」
「ま、遊びたかっただけだしな。」
「フォローしろよ!」
そうして話しているとお兄ちゃん達のコートのレンタル時間が終わったようで一緒に帰ることになった。……のだが
「あ、バスケしてぇ。」
という兄の一言によってストバスコートによることになってしまった。
まぁ、僕は見ているだけだったので、コートにあるフェンスに寄りかかりながら今日の日記に書く内容を考えていた。
『お兄ちゃんは浩司君と相変わらず仲がいい。少し羨ましく感じるくらい。テニスは苦手らしい。バスケは…ぁ、シュートはいったし得意…かな?
でもやっぱりお兄ちゃんは………
……ボール遊びが好き。』