60話 フラグ?へし折るよそんな物。
パーティーと言っても立食パーティーで、学生達は各々食事をしたり、ダンスを踊ったり、談笑したり…他には「ハァハァハァハァ。」…ちょっと待て、何でパーティーで息を荒上げる必要があるんだ?
「ぐへへ…普段とは違う女の子と男の子達、そしてパーティーによる特殊シチュエーションイベントを見れるなんて…ああ、ネタが膨らむぐへへへ。……ジュルリ…おっとヨダレが。」
…えっと、確か『ニゲル先輩』でしたよね?この人も挙動不審と言えば挙動不審ですが…あそこにいる人よりどっちかって言ったら欲望に忠実過ぎるって感じ……かなり質悪そう。あそこにいる人は、ただただ何かに怯えているみたいだ。
「…温かい飲み物でも渡しましょうかね?」
「それが良いかも。ああ言う時って、冷や汗が出まくって逆に体温下がるし。下がらないにしても、温かい飲み物を飲むと人はホッとするしね。」
「…ルナさんやけに詳しいですが、そう言った経験があるんですか?」
「ううん。お父さんが、入試前に教えてくれたんだ。『俺はアガリ症だったからこう言うのは詳しいんだ。…メイのお陰で多少は治ったがな。』とも言ってたけど。」
ルナパパさん…まだ会ったことないけど、中々苦労人なんだな。
「それじゃあ、あの方に飲み物を届けに行ってきますね。」
「うん、行ってらっしゃい。因みに、僕オススメのホットドリンクはブラックコーヒーだよ!」
「参考までに聞いておきますね。」
ルナさんって、幼い見た目に似合わずブラックコーヒー飲めるんだよなぁ。ちょっと意外。
結局温かい飲み物はミルクティーになった。ココアにしようとも思ったんだが、流石に男の子に勧めるのはあれだろう。
「あの、大丈夫ですか?良ければ温かい飲み物でも飲みますか?」
両手でカップを持って、その人に飲み物を差し出した。(片手より両手の方が誠意が伝わるし、カップも安定しますしね。)
「へ?…あ、ああ、ありがとうございます。」
勧めといてすみませんが、早くマグカップを受け取ってくださいよ。今更ですが女子の目線が背中に突き刺さってきた…。
ガシッ
「へ?」
何してんのこの人。何で私の両手を包み込むようにして掴んでるんですか。私の手がなかったら、この人が両手でカップを持っている状態。でも、まだ私の手はそこにある。…テンパり過ぎてて、自分が何をしているのか分かっていないのかコノヤロウ!
「ゴクゴク…」
そして、さも当然のようにそのまま飲むなぁぁあ!私の腕疲れるし、視線が突き刺さるんだよ!
「ゴクゴク…ぷはぁ。」
「あの、飲み終わったんなら離してもらえませんか?」
「え?……わぁぁあ、ご、ごめんなさい!」
ふぅ、やっと離してくれたよ。この人握力結構強くて、手が痛かったんだよねぇ。
「それでは、私はコレで失礼します。」
「あ、あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「…私、名前を名乗らない人には名前をお教えしないようにしてるので…。」
早くこの視線で死にそうな場から立ち去りたいのよ。逃げさせてよもう。
「〜っ、ヴェール・アルモニア・フルゴルです!貴女の名前を教えてください!」
大声を出さないでくださいよ、目立つじゃないですか!
「…夜風・ヴェヒター・琴波です。…では、さようなら。」
「『そう言ってこの二人は出合い、物語が始まっていくのであった。』…〜っ!キタァァア!イッテ!」
「人の弟とその同級生で妄想しなよ、ニゲル。せめて妄想は口に出さないで、殴るわよ?」
「レーヴェよ、ひとつ言わせてくれ。…既に殴ってるわ!?」
「良いじゃない。結果がどうであれ結局殴るのだから。」
「結局殴るのかよ!?」
「琴波って、恋愛事にはとことん鈍感よねぇ。」
「モグモグ…モグモグ…本当にね!」
内容は聞き取れないけど、なんか失礼な事言われた気がするなぁ。




