57話 ドレスはある種の勝負服。
流石に文化祭の最後の後夜祭の日だけはトレーニング+手合わせ勘弁してください、と泣きながら部長と副部長に土下座したら、どうにかその日だけは免除されることになった。(部長達が少し引いていたみたいだけど、気にしたら負けと言うのを既に知っているのであえてその視線をスルーした。)
「…わお、学校の敷地内にパーティー会場があるとかスゲェなこの学校。」
ドレスは、結局物作り部に手直して貰いました。電話でその事を告げると、ユリアさんが地味に駄々を捏ねたけど、どうにかこうにか言葉巧みに丸め込んで納得させるのが面倒でした。(ふふ、もうユリアさんの好きそうなふわふわのヒラヒラなデザインにはさせませんよ!つか、流石に年齢的にふわふわのヒラヒラはキツい。)
「…にしても、何かスカート部分のの丈が短いような気がするんだが…。」
実家から(と言うか、母様とユリアさんから)送られてきたのは、踝ぐらいの丈の肩だしベアトップドレス(脱着可能な袖付き。)だったのに、物作り部の手直しから返ってきたときには既に膝丈ぐらいになっていた。…何故に?(しかも丈の関係か、スカート部分がふんわりと広がっていた…何と言う事!いや、こっちの方がドレスっぽいけとさ!)
母様が持っているドレスがベアトップ系しかなくて、その中でも露出が控えめなヤツを選んできてもらったのに、何で胸元がこんなにもガッツリ出ているようなデザインになっているのだ?余計に露出度か上がって恥ずかしいじゃないですか!
「細かいことなら気にしないんだけど、これ全然細かくないよね?デザインは好きなんだけど、何かこのドレス手直しした後の方が露出度高いよね?結婚前の女の子が、こんな格好しても良いもんなんだろうか…。クッソ、責任者出てこいゴラァ!(小声)」
パーティー会場にある更衣室(個室使用なのに、確実にコレは一畳分のスペースあるよな…。)で、このドレスを着るかどうか悶々と約十分(独り言を挟みつつ)悩みに悩んだ末、妥協として念のために持ってきたストールを羽織って、足はともかく胸元だけでも隠すことで私の精神が落ち着いた。
「あ、悶々として忘れていたけど、髪型どうしようかな?…もう色々面倒だし、何か疲れたから髪は降ろしていよう。」
ドレスに着替えてストールを羽織り、せめて悩みすぎて掻き回してボサボサになった髪を梳くために個室の更衣室から出てきたら、バッタリとリアマ嬢に会った。
「あら、誰かと思えば夜風じゃない。…何でストールなんて羽織っているのよ。パーティーは屋内だから空調整っているわよ?」
「リアマ嬢、お久しぶりです。えと、何て言うか…リアマ嬢は際どいお姿ですね。このストールは諸事情で…あまり突っ込まないで下さい。」
リアマ嬢は、普段は降ろしている燃えるような赤髪をアップに結い上げていて、深紅のホルダーネックタイプのドレス(背中がガッツリ開いているし、スリット深いなぁオイ。)を着ていた。お胸は相変わらず残念…ケフンケフン。
「そうかしら?これでも多少は自重した方なんだけど…。まあ、この格好のせいで何か問題が起きたら自力で何とかしますわ。」
「左様で…。過剰防衛にならないように気を付けてください。」
リアマ嬢がそんな事を言うと、何か説得力がある代わりにマジでやりそうだから怖いね!ファイスカ家を敵に回すもんじゃないな!!(勘違いだけど、一回ファイスカ家を敵に回したことがある私なら、その辛さが分かるぜ。…思い出したら胃と頭が痛くなってきた…。)
「ところで、夜風は髪型どうしますの?…まさか、このまま降ろした状態で行くなんて事はありませんわよね?」
「へ、このままで行くわけないじゃないですか。髪梳くぐらいしま「やっぱり降ろして行く気でしたのね!?…仕方ないですわね、私が髪をセットして差し上げます。」えー、リアマ嬢のお手を煩わせるくらいなら良いですよ。」
「えー…じゃありませんわ!髪を整えることは服装を整えるのと同じ、嗜みの一つですのよ!?…夜風は髪の質が無駄によろしいのですから、ちゃんとしなさいな。」
無駄にって強調したな、リアマ嬢。…髪質が良いと言われても、真面目にシャンプーとコンディショナーをしているだけなんだがなぁ。
リアマ嬢に髪をセット(いじられたとも言う)された結果、私の髪型はハーフアップ(横の髪を使ったポニーテールみたいな髪型。)になりました。
…この髪型って、真っ正面から見たら降ろしているのと大差なくないか?え、コレも気にしちゃ負けなの?




