56話 モノは考えよう。
祭りと言えば、露店で売っている食べ物を食べ歩くのが良いですよね。祭りじゃなくても食べ歩きって楽しいですけど、何か祭りの時だと…何故かいつもの食べ歩きより美味しく感じるんだよな。
「あ〜、この唐揚げ美味しい…幸せ。…うむ、先輩の分まで食べたいけど、それでキレられたら面倒そうだから止めよ。」
昨日からぼちぼち棒術部の方にも客が来るようになって、「あ、もうお昼だ。」「イリス部長が助っ人から戻って来たのもあって、地味に人(と言うか部長のファン)が来はじめたのに…お昼どうします?」「部長はまだ色々お客様に教えてるから、アタシ達のどっちかで買い出しに行くか!」「決めるのどうしましょう…普通にじゃんけんで良いですか?」「おうよ!」みたいな会話で、カルム先輩とじゃんけんした結果私が負けたからお昼の買い出しになったけど…よく考えたら、買い出し役って前向きに考えなくても役得じゃないかな?露店の出来立てな食べ物は食べれるし、買い出した物もある程度なら摘まみ食いしてもバレないし、自分好みの食べ物を買えるし、先輩からお代として貰ったお金も…いや、コレは止めとこう。私、絶対追い追いこの事について後悔するから。
「何か暗い気分になったなぁ…モグモグ。…ん、何だろうこの小さい行列は?」
ここは…家庭科部(料理したりお菓子を作ったり裁縫したり、家庭科の授業の実技だけをする部活。)のスペースか。
あ、ポスターがある。えー何々…『外はカリッ、中はジューシーな絶品焼き鳥!それが今なら一本九十円!
味は、塩胡椒、塩ダレ、甘辛ダレからお選びいただけます。』
…若者(大学生が混じっていたとしても言い分けるのが面倒なので、括って若者と呼ぼう。どうせ精神年齢の合計は私の方が上だし。)よ、何で焼き鳥を選んだんだ。いや、この焼き鳥旨そうだけど、選択が酒の肴って…結構アレだぞ?いや、こう言ったお摘まみが美味しいのは認めるよ。だけど店番してるの十代の人だよね?十代の子がコレを売るの?…ま、あり得ない話じゃないから良いか。深く考えると頭痛くなるからコレくらいにしておこう。
「…何か味気になるから、何本か買おう。」
行列自体はそんなに並んでなかったので、すんなりと焼き鳥は買えた。(塩胡椒を三本、塩ダレを三本、甘辛ダレを三本の計八百十円分。)
「鶏のもも肉しか種類がなかったな…ネギまやつくねや鶏皮とか結構私好きなんだけど。」
まあ、この三つは焼き加減や下準備が面倒だし、鶏皮は串に刺すのが難しいからなぁ。これ以上贅沢は言わないでおこう。
では、早速一口頂きますか。
「はむ…モグモグモグモグ。」
えっと…コレは、塩胡椒味か。
塩胡椒は、美味しいんだけど…可もなく不可もなくって感じかな。シンプルに素材の味が伝わってくる。
続いて、何気に部員の人たちが期待を込めた感がある塩ダレ味。
…おお、確かにコレは旨い。ほんのり入っているレモン汁がサッパリとして、ピリッと粗びき黒胡椒が良いアクセントになってる。むむ、タレのレシピが凄く気になる!
甘辛ダレ…甘辛って言うか、市販されているお惣菜の焼き鳥のタレ味だよね?タレの名称が分からなかったから、適当に甘辛ダレって言っているだけだよね。
味は、言うまでもなくアノ味でした。この甘辛い感じの味も好きなんだけど、塩胡椒と同じく可もなく不可もなくだな。インパクトがない代わりに、安定の美味しさってか。
「甘辛ダレのヤツはマヨネーズと相性良さそうだから、焼き鳥丼やサンドイッチ系を作ったら儲かるかもなぁ。モグモグ。…っと、そろそろ戻らないと先輩達に怒られるな。」
結局、あの後戻ったら先輩達に遅いと怒られて、文化祭が終わるまで基礎トレーニングが1.5倍+イリス部長とカルム先輩の手合わせを一回ずつやる事になった。…今の状態でもかなりギリギリなのに、これ以上トレーニング内容を上乗せされたら…真面目に筋肉痛と疲労で死ぬんじゃないかな、私。
…肉体的に死なないにしても、精神的に(目が)死ぬんじゃないかな。




