521話 内容を知ってるとね…。
それから暫くヴァンさんと談笑してから、私達は学園へ帰ることにした。個人的にはヴァンさんとのお話は楽しい方に分類されるのですが…如何せん、時間がヤバくてね。洞窟内だから時間感覚狂うし。
ヴァンさんの家からあのドアまでのちょっとした距離を歩きながら、私は少し疑問に思ったことを聞いてみた。
「なんで、ヴァンさんの家の近くにドアを設置しなかったんですか?そっちの方が歩かなくても良いから楽なのに。」
「あ〜…アイツが使っている風の結界の影響があって、ある程度離してドアを設置しねぇと…たまぁに、予期せぬ所に飛ぶんだよなぁ。」
エレメント・ドラゴンが張る結界は、それほど強力って事かな?…どこに飛ぶんだとは、聞いたところできっととんでもない所だろうから、聞かないでおこうそうしよう。
「あ〜、設置ミスで良く魔界とかドラゴンの巣とか未開の秘境とかに行ったなぁ。」
「…何て言う所に行くんですか貴方は…。」
そして、何で言うんですか。いや確かに気になってはいましたけどね?…いかん、何だか頭が痛くなってきた。
魔界とは読んで字のごとく、魔人族が住んでいる、私達で言ったら地下世界の事だ。(…何で地下に住んでいるかは、色々察してほしい。一言私から言えるのは、昔だから仕方ないと思うけど…見た目と雰囲気だけの差別良くないですよー。)
父様が家に連れてきていた、三つ頭のケルベロスっぽいのも魔界の生物だ。…因みに、魔物は魔人族とはあんまり関係なかったり。魔力を蓄えている野生動物が、一般的な魔物と呼ばれている生物に該当します。例外はいますけどね。
「って事は、魔人族のお知り合いも居るんですか?」
「居るが…それが何だ?」
「いえ、やっぱりかと思っただけですよ。」
本当、アルベロ先生って自業自得で不可抗力ですが凄い人種と関わってますよね…。
「…夜風は、アルベロの事を良く見てるな。」
「良く見ているも何も…アルベロ先生の性格上、普通な人間関係を築ける訳ないよなぁって思っているだけですよ。アルベロ先生と関わりを持っている人達って、大抵一癖も二癖も三癖もありますから…ま、私が人の事言えた口ではないんですけどね。」
前世とか魔力とか魔力とか魔力とか魔力とか…って、私が抱えている問題って殆んど魔力なんだよね…あはは、イアデルさんマジ許さないぞ〜。
「…そう言ったら、私も一癖も二癖も三癖もあるのか?」
「でしょうね。二癖三癖とは言いませんが、一癖ぐらいは。何せ、ヴィオーラ先生はアルベロ先生と長年一緒に居るのにいまだに恋心を抱いているぐらいですからねぇ…変わり者と言えば変わり者ですよ。」
「む、アルベロだってな、これでも良い所があってだな…ん?…っっ!!ちょっ、夜風!?」
急にヴィオーラ先生の頬が、リンゴの様に真っ赤になった。ま、一応確信犯ですけど…分かりやすい反応してくれると、もっと苛めたくなるのは何ででしょうね〜?冗談ですけど。
「だってヴィオーラ先生のやり方じゃ、この朴念仁のアルベロ先生には分かりづらいだろうなぁっと思って。」
「だ、だからってっ…!!」
「あ〜、カメリア。俺「きゃぁぁぁぁあ!!い、今言わなくて良い!!て言うか言わないでくれ!!」あぁ?何でだよ。」
「こ、心の準備が…た、ただでさえ、今日は色々あったのに…これ以上は、私のキャパが越えるから…い、一週間待ってくれ。」
…アルベロ先生が伝えようとしていた内容を知る身としても、返事は暫く待ってあげた方がヴィオーラ先生の為だと思います。色んな意味で、今のヴィオーラ先生の心理状態では受け止めきれるモンでもないですし。
乙女な顔をしているヴィオーラ先生には悪いが、私は心の中でそんな事を考えた。…ヴィオーラ先生、アルベロ先生にフラれた反動で病まないよね?てか、十中八九私に被害が来るだろうから病まないでくださいっ!!
とかなんとか思う辺り、私も自意識過剰なのかな?




