518話 考え過ぎで頭痛してきた…。
竜人族の起源をうっかり知ってしまって…とってもアレな気分になりました。…ああ、種族は変わりたくないけど…でも魔力がなぁ…う、うぅ…て言うか、それ以前に血を飲みたくないです…。
「し、暫く考えさせてください。」
「まぁ、そんな焦る内容でもないからねぇ、良いわよ~。そう言えば~、さっきから玄関の前でウロウロしながら立ち聞きしようとしているいる子ってお知り合い?」
…え?…さっきヴァンさん、玄関前でウロウロしながら立ち聞きしようとしているる子って言った?…え、え?
「いや、多分ドアをリンクさせたまんまにしてたから迷い込んだんじゃね?」
「言われてみれば…アルベロ先生も影の精霊も、ドアの電源みたいなのは入れたけど、それを切る様な感じは見覚えがないですが…。」
「いや、ウチはそう言うんは頼まれん限り個人でせんし。」
影の精霊が私の肩の上で、『いやいや、それはないわ~』と言った感じの顔とジェスチャーをしながら、私の言葉を否定した。…うわぁ、何だか影の精霊のその顔メッチャ腹立つ…殴りたいけど、我慢我慢。
「あらあら~。ダメじゃない~、ちゃんと転移扉のリンク切っとかないと。一応ここの場所は特秘事項らしいし~。」
「え、それって大丈夫何なんですか?その話をまとめると…て言うか、まとめるまでもなく確実に、そこに私達ではない第三者が居るって事ですよね?…さっきの話、聞かれていたらやばくないですか?」
ヴァンさん思いっきり竜人族の起源のお話しちゃったから、ヴァンさんが風のエレメント・ドラゴンって分かっちゃうよね?
「あ、それは大丈夫よ〜。風の結界を張って、外部からこの部屋の音を聞こうとしても、意味のない音の羅列にしか聞こえないようになってるの〜。」
「詳しく説明するとやね!!」
シュタリと私の肩から膝の上に現れた影の精霊は、相変わらず色々疑問に思うようなどこからか取り出したかは分からないフリップ(?)を使って説明し始めた。
「この人の風の結界は、結界を張った対象が発した『言葉』を、結界の、このうっすい中で母音子音レベルの『声』や『音』に分解して、外部にちょろっとだけ出しとるんや。」
母音や子音レベルに分解って…要するに、超複雑なアナグラムになっているって事なのだろうか…頑張れば解読出来たりして…。
「いや、全部筒抜けって訳じゃねぇって。さっき影のヤツも言っただろ、ちょっとだけって。つまり、重要なポイントは勿論、かなりどうでも良いあの茶番ですら、外部には変な音の集合体って訳だ。」
「あ、なるほど。」
て言うか茶番って…私も確かにそう思いますけど、そこは言わないでくださいよ…。
「因みに、お外に居る人は聞き耳を立てとる訳やないみたいやね。部屋の中は窺っとるみたいやけど。もう、あの姐さん先生ってば…これは本格的にお昼のメロドラマみたいになってきたな!ウチ、ドキドキしてきたで!!」
「姐さん先生って?」
「ほら、よう先生と一緒に居る、男の子より女の子に人気な姐さん先生や。」
ああ、ヴィオーラ先生の事か。
「あら、昼ドラみたいなあのドロドロした人間関係になっていくのかしら〜?楽しみね〜。」
ああ、ヴァンさんって昼ドラ的な恋バナが好きなんだっけ…てか、ヴィオーラ先生に感じた嫌な予感が当たったのかよ…当たってほしくなかったな。(てか、訳も分からない様なドアに入る勇気があるならアルベロ先生に告白しろよヴィオーラ先生…。)
「いやいや、ヴァンさん。そんな感じな人ではありませんよ、多分。ちょっと恋に盲目で、変なところ行動派な人ってだけですから。」
「それもそれで問題じゃね?」
ごめんなさい、ヴィオーラ先生。私にはフォローのしようがありません…だって、フォローを入れときながら私もアルベロ先生と同意見なんですから…。




