2話 猫、可愛いよね。
サブタイに、深い意味はありません。
少し趣味に走りました。
あぁ……自分が生み出した(?)とは言え、どうすんだコレ。
『ミー、ミー』
ジー。
………可愛いなぁ…じゃないっ!!可愛くなんてない!!いや、可愛い!!……落ち着こう、私。
いや、私ガッツリ猫派だけどさ?自分が描いた絵だとこう…素直に愛でれないじゃん。ナルシストぽくって。
しっかしこの猫モドキ……めっちゃ私に懐いとる。アレか、私が産み出したから私が『親』ってか。……良く分からん。
『ミー、ミー。ミャオーン。』
私が悶々と思い悩んでいると言うのに、猫モドキにはそれが微塵も伝わっていないのか、ゴロゴロ…コテンなど、何やらとっても可愛らしい行動をしている。
………。
ダアッ!!可愛いなチクショー!
え、自画自賛?もう知るか!可愛いもんは可愛いんだ!!可愛いは正義っ!!こんだけ我慢したんだから、お腹とかもふってしても良いよな!?もふって!私、一応親(?)なんだし!!
よし!
目標、猫モドキのお腹。目標を目視にて確定、位置把握完了。これより、行動へ移行。
んじゃ、適当にオペレーター風に脳内アナウンスをしたところで、いざ……猫モドキのお腹へ、ダーイブ!!
ゴツン
一瞬の間もなく響く鈍い音と共に、額に広がる痛み。
「……イッテー」
そしてそこには猫モドキの姿はなく、机に頭を思いっきりぶつけて悶える私しか居なかった。
……ああ、端から見たら今の私って、『机(正確には、机に置いたスケッチブック)に頭突きして悶える変な奴(“ママorお母さん、アレなにしてる人?”“シッ、アレを見ちゃいけません!!”の事をされる類いの人)』なんだろうか……アハハ……スゲーどうでも良いけど。
にしてもさ、ちょっとぐらいもふってさせろよ、ケチ。ああ、絶対あの猫モドキのお腹モッフモフなのに…肉球だって、絶対プニプニの筈なのに……はぁ……。
先程説明し忘れたが、私が作った(創った?)モノに共通する事がある。それは、『少しでも“私”が触れると、直ぐに消滅してしまう。』と言うことだ。さっきは、私の額が猫モドキの毛に触れたために、猫モドキが消滅したのだ。
先ほど『懐いた』と表現したのは、猫モドキが、物凄い勢いで私をキラキラとした眼差しで見ていたから。そりゃもう、キラキラと。決して、自ら体を寄せて触れようとはしていない。
「あぁ、デコ痛い。」
痛みから復活したはいいが、軽くたんこぶ出来た。そこが地味に痛い。そして、少しだけ精神的に回復しきれていない気がする……んだよ、創ったの私なのに、当の本人は触れないってか。
「(世の中理不尽と思ってきたけど、コレは本当に理不尽)……はぁ。」
何か、落ち込んできた。やっぱり、精神的に回復しきれていないかもしれないなぁ…。
溜め息を付きまくりながら、スケッチブック(なんか、スケッチブックって長いな…もう、スケブで良いか)を机の引き出しに仕舞った。
まあ、こんなトンデモ能力が、ノーリスクで使えるわけないのわかってるけどさ〜。猫好きには、少し…いや、かなりキツい。特に、私以外は触れるって辺りがキツい。
「はぁ…」
「溜め息ばっか付いてると、幸せ逃げるよ、コトハお嬢。」
「あ、ユリナさん。」
背後から声がしたと思ったら、後ろにユリナさんが居た。…入ってきたの分からなかった…。
「朝ごはんの準備出来たから、呼びに来たけど…何かあったの?」
「いえ、ナンデモナイデス。」
「なんで片言なのさ…」
「ノリです。あんまり意味はないですよ?…因みに、どこら辺から見てました?」
「コトハお嬢が溜め息付きまくってた辺りから…かな。」
それじゃあ、頭突きの件は見てないと。だったらギリギリセーフ…だな。何がセーフか知らないけど。
「んで、何で机のに頭突きしてたの?」
結局見てたんかーい!!
「当たり前だよ☆」
「ユリナさん…その“☆”止めて下さい。何かとてつもなくイラッとします。」
「うん。私も、私自身にイラッとした。」
ならするなよ!?
琴波が完璧にツッコミに…年(6歳)不相応のツッコミに…
なんと言うことだ…