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学校日和  作者: めろん
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第94回 初耳日和

「良い天気だね〜ココア」


「良い天気だねーミント」


蒼く晴れわたった空を見上げながら、のほほんとコーラを飲むミントと、のほほんとココアを飲むココア。


「「ポトフく〜ん!!」」


「「プリンく〜ん!!」」


「ぴわわっ…」


「えェっとォ…」


そんな彼らの後ろには、女の子たちに迫られて困っているプリンくんとポトフくんがおりました。


「またやってるねココア」


「またやってるねミント」


完全に他人事のようにその状況をのほほんと見るミントとココア。


「「私と踊って〜V」」


エキサイトしながらプリンとポトフにダンスのお相手を申し込む女の子たち。


「嫌ですわ…寝言は寝てから仰って?」


そんな女の子たちの後ろから、突然聞き慣れないお嬢様口調の声が聞こえてきたので


「「?」」


その場にいた皆さんは、一斉にその棘のある声に振り向いた。


振り向いた先には、フリフリの赤いドレスを着て、フワフワがついた扇子を持った、ユルユルカールの紫色の髪の毛の女の子が立っていた。


「!?」


いかにもお嬢様という雰囲気をかもしだしているその女の子を見て、驚いたように眠たそうな目を見開くプリン。


「…プリンのダンスのお相手は、このわたくしに決まっているでしょう?ねぇプリン?」


静まり返ったその場で、その美しい顔を強気に微笑ませながら少女は言った。


「「だ…誰よ貴方?」」


プリンとポトフを囲んでいる女の子たちが尋ねると


「あら…これは失礼致しましたわ わたくしは"ムース"…」


少女・ムースはフワフワのついた扇子をパチンと閉じ


「プリンの婚約者ですわ」


膝を折ってお嬢様らしい挨拶をした。



・・・



・・・・・・



「婚?」


プリンを見るミント。


「約?」


プリンを見るココア。


「者?」


プリンを見るポトフ。


見事な連携プレイである。


「な…何故ムースが此処にいる?」


皆さんに見つめられているなか、プリンが口を開くと


「あら?聞いてませんの?お義父(とう)様に呼ばれて参りましたの」


小首を傾げながらムースが言った。


「「ええええええ?!」」


知られざる事実に驚く皆さんでした。













「プリン!!お父さん会いたかったよ〜!!」


中庭に現れたプリンを見た途端、中庭に立っていたプリンパパは両腕を広げながらプリンに駆け寄った。


「…学校まで押し掛けて何の用だ?」


そんなプリンパパを睨みつけながらプリンが尋ねた。


「はわ?!ぷっプリン!?どうしたんだそんなツンツンして?!」


最愛の息子に冷たい態度をとられてウルトラショックを受けるプリンパパ。


「僕、お父さん嫌い」


ツーン


それに追い撃ちをかけるかのように、ツーンとそっぽを向くプリン。


「ええっ?!お父さんは、プリンがお父さんみたいに格好良いから、学校でダンスパーティーがあると聞いて、プリンがレディたちに迫られているんじゃないかと心配でムースちゃんを呼んで来たのに?!」


超大好きな息子の超冷たい一言にグレートショックを受けるプリンパパ。


「お…お義父様?御自分で格好良いとか仰られるのはどうかと…」


そんなプリンパパをなだめようとするムースだが


「ツーン」


「うわあん!!」


プリンの冷たい態度に、ついにプリンパパは泣き出してしまった。


「まっ…まさか枕に婚約者がいたなんて…」


そんな様子を茂みに隠れて見ていたポトフが呟くと


「流石社長の息子ってカンジー?」


その隣でココアが言った。


「あはは…だからプリンは今までずっと女子からのデートのお誘いを全部断ってたんだね」


そのまた隣でミントが納得したように呟くと


「なっ!?アイツ全部断ってたのかァ?!」


ポトフは驚いたようにミントに聞き返した。


「うん」


それにミントがコクンと頷くと


「プリンはどっかの誰かさんみたいにタラシじゃないってコトだねー?」


ツーンとした態度でココアが言った。


「こ…ココアちゃん…」


手厳しいことを言われてしまったポトフがしょげていると


「うふふ まぁそうでしたの?プリンはあの方と違って一途なのですね」


ミントの隣でプリンパパを見ながらプリンママが言った。


「あはは そうみたいです―…ね?!」


いつからそこにいたんだお前?!と言うように、プリンママからバッと距離をとる三人。


「うふふ あら、申し遅れましたわね」


プリンママはにこやかに笑いながら立ち上がり


「うふふ 私はプリンの母の―…」


ポトフを見た途端に固まった。


「?」


ポトフが小首を傾げると


「うふふ あ…あなた…」


プリンママは驚いたように笑いながら


「うふふ も…もしかして…ババロア?!」


って言った。


「へ?いや俺はポト―…」


「うふふ あなた!!」


プリンママは、ポトフが訂正しようとするのも聞かないで


「うふふ ババロアが生きてましたわ!!」


嬉しそうにプリンパパにそう言った。


プリンママは常に笑っているようだ。


「な…に…?!」


その言葉に驚いたようにこちらを向くプリンパパ。


「…!!」


そしてポトフを見て目を見開いた。


「え?え?」


焦るポトフを


「いっ生きていたのかババロア〜!!こんなに格好良くなって〜!!」


がばぁ!!


「はいィ?!」


プリンパパは涙ながらに抱き締めた。


「ちょ…ちょっと待って下さい!?彼はババロアじゃなくてポトフですよ?!」


そんなポトフを助けるためにミントがそう言うと


「そっそうだ!!何を勘違いしている?!」


プリンはポトフを抱き締めているプリンパパを慌てて引き剥がした。


「…お義父様?彼は一体…?」


プリンパパが抱きつくほどの人物でありながら、初めて聞く名前に、ムースが小首を傾げながら尋ねると


「はっはっはっ!そう言えば教えてなかったな!」


プリンパパは笑いながらポトフの肩を優しく叩くと


「彼はババロア=アラモード!!プリンの双子の弟だ!!」


って言った。



・・・



・・・・・・



・・・・・・・・・



「「ええええええ?!」」


本日二度目の知られざる事実に驚くミントとプリンとココアとポトフでした。

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