第93回 裏山日和
おはよォございまァす♪
今回のお話のナレーターを任せられたポトフでェす♪
またの名をイケメ─…
「ぐー。」
ガサガサ
…にゃろう…俺が爽やかに皆様に挨拶してっ時に…
はい。この寝ながら歩いてる馬鹿みてェな馬鹿は馬鹿です。
「うーん…ないね〜?」
ガサガサ
「…その前に、キノコって普通何処に生えてんのミントー?」
「あ、えっと、木の根本とかに生えてたりするんじゃないかな?」
んな馬鹿はほっといて、こちらはミントとココアちゃんV
二人とも食いたいほど超可愛いです♪
「…ちょっとポトフー?真面目に探してんのー?」
「へ?…あ…もっもちろん!!」
危ねェ…本来の目的を忘れるとこだったぜ…
…おっと…そう言や状況説明しなくちゃな…
コホン…只今俺たちは、学校の裏山で、クロ先生が取ってこいと言ったキノコを探している最中です。
なんでも、次の実験に使うとか使わないとかで…
「ってか、ペーズリー柄のキノコなんか本当にあんのかな〜?」
ミントの言う通り、俺たちは"ペーズリー柄のキノコ"を探しています。
…勾玉模様のキノコって…
「ぐー。」
ガサガサ
馬鹿はほっときましょう。
「ええー!?樹属性のミントも知らないキノコなのー?!」
ミントの発言に可愛らしく驚くココアちゃん。
「いや"樹属性の"って…確かに植物は好きだけど、別にそんな詳しいワケじゃないデスよって言いマスか、その前にキノコは植物ではないと思われマスよ?」
ミントはそう言った後
「あ!そう言えばポトフって鼻が利くよね!?」
って言いながら俺に可愛い顔を向けました。
「…ごめんなミント?俺、ペーズリー柄のキノコの匂い知らねェんだ…」
そもそもそんなキノコが存在してるコト自体今日初めて知りました。
「そっか…」
!!
はわわ…ホントにごめんなミントっ!?
「ぐー。」
ガサガサ
馬鹿はほっときましょう。
「…木の根本ねー?」
そう言いながら、屈んで木の根本に目を向けるココアちゃん。
・・・。
「やっぱりないよー?…って…」
こ…ココアちゃん純白─…
「こんのド変態があ!!」
ドゴォ!!
「ぐはァ?!」
ココアちゃんの渾身の回し蹴りを腹に喰らった俺は、後方に吹っ飛びました。
…短いスカートでそんな動きをしてはいけまセン♪
「ぐー。」
ガサガ─…
馬鹿はほっときましょう。
・・・。
「…れ?音が消え─…?」
足音が消えたので、俺が枕の方を見ると
「一体何考えてんのプリン?!」
「大丈夫ー?!」
枕も消えていました。
そして、ミントとココアちゃんが必死で何かを引っ張り上げようとしています。
・・・。
…まさか…
ガサガサガサ
「馬鹿かテメェは?!!」
俺が思った通り、前方確認しないで寝ながら歩いていた枕は、目の前の崖に気付かずに足を踏み外したようです。
「ぐー。」
しかもこの馬鹿、まだ呑気に眠っております。
「「永眠させたろかテメェ?!」」
俺とミントとココアちゃんの突っ込みが見事にハモりました。
ガラッ…
「「え」」
わァお!
突っ込みの拍子に崖の先っぽが崩れたみたいです♪
…詰まり
「プリンとトゥゲザあああ!!!?」
「ふざけんなァァァ?!」
「いやー!!死ぬー!!」
俺たちも崖にまっ逆さまになりました♪
「ぐー。」
コノヤロウ☆
「いつまで寝てんだテメェ?!早く起きろォ!!」
そして俺を助けろォ!!
綺麗に頭から真っ直ぐ落下している枕に俺が叫ぶと
ぱちん
「むぅ…煩い」
ヤツは目を覚ましました。
…"煩い"?
「状況分かってんのか?!起こしてやっただけでもありがたいと思え!!」
俺がもう一度叫ぶと
「む?僕、落ちてる」
妙に冷静に状況把握しやがった。
「そうなのー!!早くなんとかしてよプリンー?!」
ばっちりスカートを押さえて落下しているココアちゃんが叫びました。
「む?テレポートは元いる場所が固定されていないと使えないと前にも教えただろう?」
使えねェ!!
「いやー!!じゃあ私たち死んじゃうのー?!」
「ココアちゃんは何があっても俺が守るぜ!!」
俺かっけェ!!
「じゃあ早くなんとかしなさいよー?!」
「ごめん無理!!」
「ぶう…使えない奴だな」
テメェに言われたくねェよ?!
「…古より来る琥珀」
ぶわんっ
…お?
いつの間にか薔薇の鞭でうまく岩にぶら下がっていたミントが琥珀色に輝いて─…
「σ(シグマ)!!」
『ひっさびさなんだなぁ〜♪』
!!
あれはミントの召喚獣の…なんか鷹と獅子が混ざったヤツ!!
『って、わわ?!いきなり崖なんだなぁ〜?!』
バッサバッサバッサ
?!
アイツ飛べんのか!?
「早く!みんなを助けるよ!!」
ミントかっけェ!!
『りょ〜かいなんだなぁ〜♪』
召喚獣は了解すると、ミントを背中に乗せました。
「みんな捕まって!!」
ミントは声を張りながら
ヒュッ
熟練の腕で巧みに薔薇の鞭を操り、ココアちゃんと枕を早々と召喚獣の背中に避難させました。
「ありがとうミント!」
「ホントありがとーミント!!死ぬかと思ったー!」
・・・。
あれ?俺は?
『定員オーバーなんだなぁ〜♪』
「「ばいばーい」」
「ふざけんなァァァ?!」
死ぬのか俺!?ホントに死んじゃうのか俺ェ?!
ってか何笑顔で手ェ振ってんのココアちゃんと枕?!
そんなコトを俺が思っていると
「マッドホイップ!!」
『『ジェララララ!!』』
ミントが救いの手(鞭)を差し延べてくれました。
ぱくん☆
「…ウン。アリガトミント…」
マッドホイップのお口の中は、ベッタベタのネットネトで、それはもォ、もんの凄い臭かったです。
最悪の口内環境から出してもらった後、俺は命を助けてくれたミントに、別にローズホイップでも良くね?とは言えませんでした。