第92回 猫日和
おはよーございまーす。
今回はこの私、ココアがナレーターを務めさせて頂きますのでよろしくお願いしまーす♪
ガヤガヤ
おっとノイズが…
只今食堂前の大掲示板の前は、このように大勢の人で大変賑わっています。
何故ならそれは─…
「おはようココア」
あ。ミントたちがやって来ました。
「おはよーみんなー」
私は、やって来た三人に面倒だからまとめて挨拶しました。
「うむ。おはよう」
「あっはっはっ!おはよォココアちゃんV」
とまぁ、一通り挨拶し終わると
「…で、これは一体何の騒ぎなの?」
ミントが人混みを見て、首を傾げながら私に尋ねてきました。
やっと本題ですね。
「うん なんかねー?近々学校でダンスパーティーが開かれるみたいなのー」
その質問に、私はそう答えました。
そう。大掲示板には、近々学校で開催されるダンスパーティーについての張り紙が貼ってあるのでした。
…魔法学校でダンスパーティーって…
…あんまり深く考えない方がいいですネ。
「「学校でダンスパーティー?!」」
私の答えを聞いて、明らかに面倒臭そうな顔をするミントとプリンと、困ったと顔を曇らせるポトフ。
…"困った"?
なんでそんな顔をするのか私が首を傾げると
「…ダンスパーティーってコトは…レディとペアで踊るんだよなァ…?」
・・・。
ちっちゃい声でなんかほざきやがった。
「…やっべェ…どォしよう俺?」
…成程ねー?
相手がいっぱいいすぎて選べないと?
何様デスカ?
「ってか、こんなアクティビティーな学校でダンスパーティーなんかやんの?」
「ぶぅ…面倒」
その隣でミントとプリンがご尤もなコトを呟いた瞬間
「「プリンく〜ん!!」」
「「ポトフく〜ん!!」」
…わーお ポトフの言う通りぃー…
プリンとポトフはあっと言う間に女の子たちに囲まれてしまいました。
「ぴわ?!」
「わォ!?」
・・・。
前から思ってたんだけど、なんでこの二人が女の子たちに人気があるんだろ?
いつも枕抱えてるのとか、眼帯つけてるタラシには、普通近付きたいと思わないよねー?
「あはは 相変わらずモテモテだね〜」
「ホントにね」
女の子たちに囲まれたプリンとポトフを見ながらミントが言った言葉に同意する私。
「やっぱ顔が良いと大変なんだね〜?」
・・・。
成程。顔か。顔がすべてなのか女子。
「…ミントも呑気に笑ってる場合ー?」
その時、ある気配に気付いた私がミントにそう言った直後
「? へ─…」
「ミントきゅ〜んっ!!」
「─…チロル?!」
がばぁ!!
どこからともなくチロルが飛び出してきて、ミントの右腕に抱きつきました。
「キャハ☆もちろんアタイと一緒に踊ってくれるよねミントきゅんっ?」
「ええっ?!」
…てな感じでラヴラヴし始めた二人よりも私が気になったのは…
「…チロルちゃん…」
「「…隊長…もはやこれまでかと…」」
ずーっと後ろの方で負け犬オーラを垂れ流しているムサ苦しい集団の方。
あの集団は、私の目の前でミントとラヴラヴしてるチロルのファンクラブ軍団。
私から見ても美人でスタイル抜群なチロルには、ファンクラブというものが存在しているのでした。
「くそぅ…添え物のクセに…っ!!」
・・・。
…男の嫉妬は見苦しいぜぃ旦那ー?
「お前らぁ!!今日をもってファンクラブは解散だ!うわ〜ん!!」
「「うわ〜ん!!」」
あらあら。泣いて帰ってっちゃったよ。
罪な男だねーミントー?
「…一緒に踊ってくれないの?」
あらら?こっちの交渉はうまくいってないみたいですね。
「…ミントきゅん…アタイのコト…嫌いなの?」
おーっと!ここでチロルの上目使い+涙目攻撃!
「なななな何言ってんのさチロル?!そそっんなワケないに決まってるじゃないデスカ?!!」
効果覿面!!
チロルの涙を見て、ミントは極度に焦り出しました!
「本当!?じゃあ…」
「あっあはははははは!!もっもちろんさ!!しゃるうぃーだんす?!」
「! シュアー!!大好きミントきゅんッV」
・・・。
これは意図的なのか天然なのか…
…それにしても、なんでミントはあんなに涙に弱いんだろ?
キーンコーンカーンコーン
あ。予鈴だ。
「あ!今から体育だったわ!」
チロルは思い出したようにミントの腕から体を離すと
「じゃ、またねミントきゅんV」
ちゅっV
「?!」
ヒュウ。ヒトの目の前でミントのほっぺにちゅーしやがったぜこの女。
そのおかげでミントくんは真っ赤っかだぜぃ?
「えへへ♪バイバーイV」
そして、ほんのり顔を赤くしたチロルは走り去っていきました。
「…お熱いねー?」
「…」
あらら。固まっちゃった。
「ぷう…助かった…」
「はァ〜…ホントどうしよ…?」
あ。プリンとポトフも解放されたようですね。
「? ミント?」
「熱でもあんのかァ?顔赤いぞォ?」
二人が心配そうにミントの顔を覗き込むと
「に゛ゃー!!」
ポカポカポカポカポカポカ
「ぴわ?!」
「ぐは?!」
屈んだ二人の顔面にミントの猫パンチがヒットしました。
「みっミントっ!?」
「どォしたんだ一体─…」
壊れたミントに会話を試みる二人ですが
「に゛ゃーに゛ゃー!!」
ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカ
無駄でした。
「みっミン─…」
「ちょ…これ結構痛─…」
「に゛ゃーに゛ゃーに゛ゃーに゛ゃーに゛ゃー!!」
ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカ
「「痛───っ!!?」」
どうやらあの猫パンチは、効果音以上の威力があるようですね。
…まぁ、ダンスパーティーの相手が決まったんだから良いコトです。
「早く魔法学行くよー?」
「おおおゥ!!まっ枕!!テレポートだ!!」
「に゛ゃー!!」
「てててテレポート!!」
こうして無事に…でもないけど…私たちは魔法学の教室に着きました。
・・・。
…て、そう言えば私は誰と踊ろう?