表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校日和  作者: めろん
9/102

第9回 医務室日和

四限目の魔法学の授業が終わり、昼食の時間となりました。


「うー…痛たたた…」


食堂に入り着くと、ミントがお腹を押さえながら言った。


「ミント?」


ミントの隣に座っていたプリンが小首を傾げる。


彼は昼食の時にも枕を持っているようだ。


「大丈夫ー?お腹痛いのー?」


プリンの隣に座ったココアが言った。


「う…うん…」


ミントが言った。


「なんか変なものでも食べたー?」


ココアが尋ねた。


「食べてな…………あ」


ミントがはっとした。


「何今の"あ"は!?」


ココアが突っ込んだ。


「な、なんでもな痛たたた!!」


ミントが蹲った。


「大変大変っ!」


プリンが焦った。


「ミントミントっ!ひっひっふー!」


「痛たたた!!出そう出そう!!何か出そう!!」


ミントがあえぎながら言った。


「ひっふっふー!」


「出そう出そう!!オレの体から出てはいけないハズのモノが何か出そう!!」


「落ち着いてよ二人ともー!」


ココアがテンションのおかしい二人をなだめた。


「こういう時は…」


「うむ?ふっふっひー?」


心配そうにミントを気にしながらココアを向くプリン。


「医務室に行くべきだよー!!」









長い階段を下りて、ミントを支えた二人は医務室の扉の前に到着した。


「わー…初めて来たなー」


ココアが呟いた。


「ぷっぷくぴー!」


「あー分かった分かった!じゃあ入るよー?」


プリンを制すると、ココアは扉をノックした。


コンコン


・・・



・・・・・・



返事が無い。


「あ、あれ?誰もいないのかな…?」


ココアが呟いた。


『そうよ!!誰もいないから早く帰んなさいよ!!』


医務室の中から声がした。


・・・



・・・・・・



「ええ!?今おもっきし返事したじゃん!?」


ココアが突っ込んだ。


『……………………チッ』


舌打ちが聞こえると、医務室の扉が開いた。


「…そんなにアタイとデートしたいの?!」


そこには黄色い髪の毛を高いところでひとつに縛り、白衣を着た女の子が腕をくんで立っていた。


「「…」」


呆気にとられる三人。


「たく…アタイって罪な美少女ね…こんなにアタイを可愛く産んだママを心底恨むわ」


手鏡で自分の顔を見ながら溜め息をつく女の子。


「今日もこうして…三人もアタイをテイクアウトしに―…」


「?」


女の子がココアを見て顔を青くした。


「な、何よ?」


ココアが言った。


「…数々の男を魅了してきたアタイだけど…同性は初めてだわ…!!」


女の子が言った。


「ちょっ!?何言ってる―…」


「ゴメ!!でもアタイ…同性はアウトオブ眼中だからっ!!」


手をつきだしてココアの言葉を遮った。


「…だから!!私達、ミントを休ませに着たんだけど!???」


流石にイライラしながらココアが言った。


「?ミント?」


女の子が首を傾げた。


「この子だよ。お腹が痛いみたいなのー」


ココアがミントを向きながら言った。


「チッ…病人かよ…」


女の子が呟いた。


「…ねえ?先生はいないの?」


ココアが尋ねた。


「あ?…ああ…先生は今ゴーアブロート出張中よ」


女の子が返す。


「だからーミスおサルさん寮のアタイ…"チロル"がお留守番してるのよーほっほっほっ!!」


女の子、チロルが高笑いしながら言った。


「…自室で休ませよっか」


「うむ。その方がいいな」


ココアとプリンが言った。


「ちょっ!?待ちなさいよ!!アタイにかかれば看病なんて、ちょちょいのちょいよ!!」


ガッ!!


そう言うと、チロルがミントを奪い取った。


「いい!?アタイは保険委員長なの!!だからコイツはアタイに任せてあんたらは早く授業に行きなさいよ!!」


バシンッ


ほぼ追い出したに近い感じで医務室を出た二人。


「あぅえわわっ…ミント〜…」


心配そうに医務室を見つめるプリン。


「…仕方ないよー…授業行こ?」


ココアがプリンを押しながら教室に向かって行った。







「さ!何?」


チロルが言った。


「…は?」


ミントがお腹を押さえながら聞き返した。


「だからぁ…どこが痛いの!?歯!?目!?喉!?頭!?腹!?ケツ!?それとも存在?!存在が痛いのあんた!?」


チロルが言った。


「…腹」


ミントが答えた。


「そう?じゃあ…」


チロルが立ち上がった。


「…?」


苦しそうにミントがチロルを見た。


「…歯ぁくいしばりなさい?」


そう言うと、チロルが呼び出し魔法でバカデカい鎌を出現させた。


「!?」


ミントがぎょっとする。


「今すぐ楽にしてやるわ」


「ふざけんな?!な、何する気だ君は?!」


ミントが聞いた。


「処刑」


チロルが答えた。


「ふざけんな?!なんで腹痛いだけで処刑されなきゃいけないんだよ?!」


ミントが叫んだ。


「死ねばもう痛くないわよ?」


チロルが微笑んだ。


「どこの悪魔だ!??」


ミントが突っ込んだ。


「失礼ね!アタイはどこからどう見ても"白衣のエンジェル"じゃない!!」


「いーや違うね!!君は白衣と言う名の仮面を被った悪魔だ!!」


ミントが言った。


「…しょうがないわね…」


チロルが杖で中に円を描くと大鎌が消えた。


「…はあ…痛たた…」


ひとまず胸を撫で下ろすミント。そして思い出したようにお腹を押さえた。


ぽんっ


「!?」


今度はチロルの前に黒い布がかかった巨大な長方形の物体が現れた。


「今度は何?!」


ミントが言った。


「断頭台」


そう言って、チロルが布を取り去ると断頭台…つまりギロチンが現れた。


「ふっざけんな!!!?」


思わずミントが飛び上がった。


「ってかどっから呼び出したそれ!?」


ミントが突っ込んだ。


「アタイの部屋?」


チロルが言った。


「…はあ」


ミントが溜め息をつくと、椅子から立ち上がった。


「?どしたの?」


チロルが尋ねた。


「…自分の部屋に帰る」


ミントが扉に向かいながら言った。


「ち、ちょっと?!ウエイトウエイト待ちなさいよ!お腹痛いんでしょ!?」


チロルが慌てながら言った。


「此処にいても治んないだろ?つうか死ぬ」


ミントが後ろを向いたまま言った。


「なっ!?ちょっと!?アタイをなめないでよ!?」


チロルが言った。


「ふざけんなよ。オレは腹が痛いんだ」


扉を開けるミント。


「まっ待ちなさいって言ってるでしょ!?」


チロルがミントの腕を掴んだ。


「アタイは…白衣の天使なのよ!?」


「白衣の閻魔だろ」


ミントが突き放した。


「…待ってよ…」


チロルが震える声で言ったのでぎょっとするミント。


「な…泣いてるっ?!」


ミントが振り向きながら言った。


「…アタイがあんたを…テイクケアするんだからぁ!!」


チロルが涙きながら言った。


「わ、わかったよ!!行かないから!」


涙に弱いミントくん。そう言いながら扉を閉めた。


「ひんっ……じゃあ…ゴートゥーベッド…」


チロルがミントをベッドに促した。


「…うん」


言う通りにするミント。


「ぐすっ……検温…」


チロルが体温計を差し出した。

それを受け取るミント。


「…ぐすっ…」


しゃくり上げるチロル。


「…」


困った顔をするミント。


「…ねえ?」


ミントが口を開くと、チロルが小さく反応した。


「な…泣かないでチロル?」


ミントが困ったように微笑みながらベッドの脇に置いてあったティッシュ箱を差し出した。


「!」


チロルが驚いた。

?…何故ハンカチじゃないかって?

それは、ミントがハンカチを常備していないからですよ。


「…さっきは…酷いコト言ってごめんね?」


ミントが謝った。


「…許して…欲しい?」


チロルが尋ねた。


「う…うん!」


ミントが答えると


「…じゃあ」


チロルがティッシュで涙を拭きながら呟いた。


「…ちゅーしていい?」



・・・



・・・・・・



「…は?」


ミントが聞き返した。


「アタイ…ミントきゅんに恋しちゃった…みたいな…?」


チロルが言った。


「はあああああああ?!」


ミントが真っ赤になりながらチロルから飛び退いた。


「フォーリンラブって…まさにこのコトなのね!!」


チロルが恥じらいながら言った。


「は!?え!?ふっふざけんなよ!?」


ミントが動揺しながら言った。


「やぁん!照れたミントきゅんも格好良い〜!!」


チロルが両手を顔に当てながら言った。


「有り得ないぐらいハートビートしてる…ああ!!アタイ今、モノホンの恋しちゃってるー!!!!!!」


チロルが叫んだ。


「ミントきゅん…アタイの愛をキャッチしてー!!」


ミントに抱きつこうとするチロル。


「かかか看病してくれるんじゃなかったの?!」


ミントがそれを鮮やかにかわしながら言った。


「あぁん!ミントきゅんとなら何処までもっ!!」


「ふっざけんなああああああああああああああ?!」


ミントが医務室から飛び出した。


「待ってぇ!!アタイのミントきゅ〜んっ!!!!」


ミントを追い掛けるようにチロルも医務室から飛び出した。


「"ミントきゅん"って言うなあああああああ!!!」


お腹が痛いのもすっかり忘れて、渾身の力でチロルから逃げるミント。


「やぁん!じゃあ…ダーリンっ☆」


「ふっざけんなああああああああああああああ!!」


廊下は走らないようにしましょうネ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ