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学校日和  作者: めろん
80/102

第80回 喜日和

「…ちょっと」


は…はい!なんでしょうかココアちゃん?


「私って何?」


や…やだな…ココアちゃんはこの物語のヒロイン的な存在に決まっているではないですか?


「出番少ないんだけど?」


なっ何を仰いますかっ!?現に今こうして記念すべき第80回の冒頭部を華やかに飾っているではないですか!


「?! もう始まって―…!?…おはようございますココアですV」


てな具合にココアちゃんが食堂で何者かと会話していると、そこに晴れやかな笑顔のミントがやって来ました。


「? おはよーミント」


やけに上機嫌なミントに小首を傾げながら挨拶するココア。


「おはようココア♪今日もいい天気だねぇ♪」


挨拶をしたココアに爽やかに挨拶を返すミント。


「…雨降ってるよー?」


そんなミントに的確な指摘をするココア。


もう梅雨時期ですものね。


「気のせい気のせい♪」


ミントはそう言いながらカウンターに移動し


「殺人メニューのコーラ編下さ〜い♪」


食堂のおばちゃんに注文をした。


「っ!? 兄ちゃん…それはこの魔法学校唯一の食堂"まじかる☆れすとらん"の裏メニューと知っての注文かい?!」


それを聞いて驚いたように聞き返すおばちゃん。


「はい♪」


コクンと頷くミント。


「…甘く見てると痛い目みるよ?」


にやりと笑いながらおばちゃんが言うと


「コーラは甘くて最高の飲み物だと思いますっていうかもう神だと思います」


ミントがさらりと言った。


「そ…そうだ…ね?」


おばちゃんは取り敢えず頷くと


「はいよ!」


ドキャ――――――――ン


小太りな体のどこにそんな力があったのか、コーラが入った山のように大量なビンをカウンターに出した。


「ってどっから出したのー?!」


破壊的な音を立てて現れた破壊的なコーラの数に圧倒されるココア。


常人なら見ただけで吐き気すら覚える殺人的な量のメニュー。


それが"殺人メニュー"なのである。


ちなみに残さず綺麗に食べきるとご褒美が貰えます。


「はい百円」


コトッ


カウンターに百円玉を置くミント。


「その量でまさかのお手頃価格?!」


破格の値段に驚くココア。


殺人メニューは殺人的に安いのでした。


「あはは 分かってるだろうね?」


百円を受け取ったおばちゃんがにやりと笑いながら言うと


「はい♪"残したら百万"ですよね?」


にこっと笑いながらミントが言った。


「学食にそんなものがあっていいのー?!」


破格の値段に驚くココア。


殺人メニューを残してしまうと、並の学生には多分払えない殺人的な額を要求されるのでした。


「よいしょ」


ひょい


「いやその効果音はおかしくない?!」


華奢な腕で山のようなコーラを軽々と持ち上げたミントに驚くココア。


「時間は百秒だよ」


そんなミントにおばちゃんが言った。


「どんだけ短いの?!ってかツッコミはミントの仕事でしょー!?」


あまりの短さと役割分担に突っ込みを入れるココア。


殺人メニューは殺人的なスピードを要するのでした。


「ココア、此処いい?」


「あ…え…あ…どうぞ」


「ありがと♪」


ドキャ――――――――ン


ミントはそう言いながらココアの向かい側に座った。


しかし、殺人的な量のコーラによって、ミントの顔は見えなくなった。


「み…ミント…ホントに大丈夫なのー?」


目の前の大量のコーラを見て、顔を青くしながらココアが尋ねると


「大丈夫♪百本ぐらいしかないよ♪」


この上なく幸せそうにミントが言った。


「ひゃ…百本て…」


大丈夫じゃねえだろとか思うココア。


「じゃあ始めるよ」


おばちゃんはそう言うと


ピーーーーーーーーーーっ


とホイッスルを鳴らした。


と同時に


ズゴ―――――――っ!!


「「何事おおおお?!」」


目の前で起きている光景に思わず叫び声をあげるココアとおばちゃん。


ミントは、それはもう完全に物理的な法則というモノを無視して、己の胃に殺人的な量のコーラを滝のように叩き込んだのでした。


「…ぷうっ♪」


開始からジャスト十秒、ミントは百本のコーラを飲み終えた。


「す…凄い…」


あまりの凄さに開いた口が塞がらないココア。


「神だね!!あんたはコーラの神だね!!ありがたやぁありがたやぁ!!」


あまりの凄さに壊れるおばちゃん。


「あ〜美味しかったぁ♪」


今にも昇天しそうなくらい幸せそうにミントが言った。


「…一体どんな良いことがあったのー?」


幸せそうなミントにココアが尋ねると


「オレ無属性魔法が使えるようになったんだ♪♪♪」


更に幸せそうにミントが言った。


「え!?本当!?おめでとーミントー!!」


それを聞いてぱあっと顔を明るくするココア。


「ありがとうココア♪」


ミントは、にこっと笑いながらココアにお礼を言った後に


「あのぉ、約束のご褒美下さ〜い♪」


っておばちゃんに言った。


「あ…ああ!」


おばちゃんは思い出したように頷くと


「はいよ!」


ドキャ――――――――ン


再びカウンターに山のようなコーラを出した。


「どうも♪」


「嫌がらせ以上の何物でもないじゃない?!」


殺人メニューのご褒美は、殺人メニューのおかわりなのでした。


「腹減ったァ〜」


「む。おはようミントとココア」


そこにポトフとプリンがやって来た。


「「あ。おはようポトフにプリン」」


同時に挨拶するミントとココア。


「あっはっはっ!おはよォミント♪」


ポトフはミントに爽やかに挨拶した後


「…おはよォココアちゃんV」


ココアに白い薔薇の花束を差し出した。


「おどれの血で真っ赤に染めあげてから渡せや?」


「ココアちゃん?!」


キャラを変えてお返事したココアに驚くポトフ。


「わー…!凄い量!」


山のようなコーラを見てぽかんと口を開けるプリン。


「殺人メニューっていうんだよ」


そんなプリンにミントが言った。


「「殺人メニュー?」」


小首を傾げるプリンとポトフ。


「うん♪この食堂の裏メニューで、いろんな種類があるんだよ?」


いろんな種類があると聞いたポトフとプリンは


「殺人メニューの骨付き肉編下さァい♪」


「僕はプリン編を頼む」


早速自分が大好きな種類の殺人メニューをおばちゃんに注文した。


「兄ちゃん達…折角ハンサムでかっこいいのに太るよ?」


おばちゃんが言うと


「「ノープログレム」」


プリンは枕を抱え直しながら、ポトフは羽織っていたローブを肩に引っ掛けながら応えた。


これは、彼らが本気になったサイン。


まじかる☆れすとらんの殺人メニューがこの日に廃止されたことは、言うまでもありませんね。


「…まあこのままだと大幅な赤字になるしね?」


「暴飲暴食はよくないよー?」


「うむ。やはりプリンは美味しいな」


「すみませェん♪おかわり下さァいV」



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