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学校日和  作者: めろん
78/102

第78回 掃除日和

ひとつのランプによってぼんやりと照らされた地下三階の倉庫。


ヒュンッ


「うわ!?」


「おわ?!」


「ぴわ!?」


ドっシーン


その空間から、突如三人の少年が現れて落下した。


「っう〜…なんでワープすると必ず無意味に落下するのかな?」


ひよこさん帽子を被っている頭を摩りながら起き上がった彼はミント。


「…痛い」


腰に手を当てながら枕が汚れなかったか確認している彼はプリン。


「あっはっはっ!今回はミントが下に居なくて残念―…」


最後に起き上がった右目に眼帯をつけた彼、ポトフが笑いながらそう言っていると


「朝顔」


ミントが言って


くんくんっ


いつの間に出したのか、プリンとポトフに薔薇の鞭を巻き付け


ぐわんっ!!


「「っ!?」」


それを天井の突き出ている柱に引っ掛け、プリンとポトフを逆釣りにした。


「…ったくどうしたのさ?最初からだけど特に最近はかなりおかしいよ?」


鞭を引っ張って二人の目線を自分の目線の高さに合わせるミント。


それを何気無く片手でやってのけているのだから、彼は結構な力持ちである。


「ミン…なんで逆釣りに…?!」


「…くらくらするぅう…」


逆釣りにされて、早くも頭に血が登り始めた二人。


そんな二人を


「プレス」


ギュウウウウゥウウゥウゥ


「ぐはァ?!」


「くらりねっと!?」


無慈悲にも更なる圧力を加えるミント。


「…オレが何されても怒らないと思ったら大間違いだからね?」


ミントが静かに言った。


「ほ…ホントごめん…ってミント…」


「…僕…も…悪乗りして…ご…めん…ミント…」


目をくるくる回しながら謝るポトフとプリン。


「"ごめん"で済むと思ってんの?」


怒りが篭った声でミントが言うと


「悪ィ」


「めんご」


って二人が言った。


「ストラングジュレイト」


ミントがさらりと言った。


ミシミシミシミシミシ!!


「「すすすすすみませんでしたああああ!!!!」」


更にきつく締め付けられた二人の体は鈍い悲鳴をあげた。


そして、プリンはこの日、初めてヒトに敬語を使いました。


ミシ…


「…もうあんなコトしないって約束出来る?」


圧迫するのを止めたミントが溜め息をつきながら尋ねると


「もももちろんです!!」


「うううむ!!約束!!」


ブンブン頷く二人。


「本当に?」


ミントが訝しげな目で見ると


「「本当!!」」


二人が叫んだ。


それを聞いて


「あっそ」


ぱっ


と持っていた鞭を離すミント。


「「!?」」


すると、二人は当然のごとく


ごしゃあ!!


重力に従って、一番重い頭から落下した。


「っ!!っ!!」


声にならない悲鳴をあげて悶え苦しむプリン。


「顔!!俺の顔がァ!!」


イケメンに傷がああ!!と極度に焦るポトフ。


「いつまで寝てんの?早く掃除終わらせるよ?」


そんなポトフがウザかったのか、ミントが冷たく言い放った。


「「イエッサァ!!」」


素早く立ち上がって敬礼する二人でした。










「ふぅ…ふぅ…」


「はァ…はァ…」


五階まで掃除を終え、六階の調理室で座り込むプリンとポトフ。


「あはは やっと半分終わったね〜」


ここまでの彼らの原動力はミントへの恐怖。


「…ぷわ…ねむねむ…」


すでに零時を回っていた上に疲労が加わり、眠そうに欠伸をするプリン。


「くァ…少し休もうぜミント?」


プリンの欠伸が移ったポトフがミントの方を向きながら言うと


ピシィンピシィン


「鞭の存在意義、知ってる?」


ミントは薔薇の鞭をしならせながら口を開いた。


「「!!」」


プリンとポトフがギョッとしていると


「仕事をしない人を無理矢理働かせる為の道具なんだよ?」


にこっと笑いながらミントが言った。


「「お掃除大好き!!」」


プリンとポトフは再び掃除を始めました。


「本当?じゃあ此処も二人任せるね?」


「「…は〜い…」」


ミントは鬼であった。










コケコッコー


朝の訪れを、一羽の鶏がやかましく知らせた。


「…徹夜…初めてした…」


顔色が極度に悪いプリンがふらふらしながら言った。


「あ…あっはっはっ…今日は休みだから安心しろ枕ァ…」


箒に寄りかかりながらポトフが言うと


「よしっ♪終〜わり!」


チリトリを持ち上げながらミントが言った。


「「本当?!」」


ミントの言葉に目を輝かせるプリンとポトフ。


「うん♪これで罰は終わりだよ」


にこっと笑って頷くミント。


彼がこんなに元気なのは、二人が掃除している間にしっかり休んでいたからである。


「…終わった…終わったぞ枕…!!」


ポトフが涙ぐみながらプリンに言うと


「うむ…朝日が眩しいな…!」


プリンは爽やかに微笑んで返した。


「あっはっはっ!」


「ふふふ」


ポトフとプリンは笑い合い


ぼてっぼてっ


「!」


そして同時に倒れた。


「…寝ちゃったの?」


ミントがポトフの頭をつつきながら言うと


「ぐー。」


「すかーっ」


プリンとポトフのいびきが聞こえてきた。


「…ふふっ♪お疲れ様」


ミントはそう言うと


「朝顔」


くんくんっ


鞭で寝ている二人を巻き付けてそれを背負い、寮の方へと戻ってゆきました。


「…うぅ…まぐろ…やっ…やめてミント…っ!!」


「…ちょっ…やめっ…かつお?…やめろミント!!」


「…二人してどんな夢見てんのさ?」


二人の夢見は悪いようですね。


「…ってか魔法使えばよかったじゃんね?」


「「!!!!!!!?」」


ミントの時限爆弾発言に


「ぐ…ぐー。」


「す…すかーっ」


目が覚めてしまったプリンとポトフは、聞かなかったことにする為にわざとらしいいびきを掻き始めましたとさ。

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