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学校日和  作者: めろん
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第76回 異世界日和

「ん…?」


ミントが目を覚ますと、自分に馬乗りしているポトフが目に飛込んできました。


「どんな状況?!」


早速ミントが目の前の状況に突っ込みを入れると


「…俺…ずっと言ってきたけど…」


ポトフは得意の甘い声で


「大好きだぜミント…V」


って言いながらミントのネクタイを緩め始めました。


「待て待て待て待て待て何考えてんのポトフ?!!」


慌ててポトフの手を掴んで彼の動きを止めるミント。


「あっはっは…分かりきったコト聞くなよミント?」


柔らかく微笑みながら応えるポトフ。


「いいえ!!オレには貴方の考えがサッパリ分かりません!!」


透かさず言い返すミント。


「大丈夫…俺に任せろ?」


「何が大丈夫なんでしょうか?!そしてオレは貴方に何を任せれば良いと言うのでしょうか!?」


てな具合にミントとポトフが攻防を繰り広げていると


「ぴわ!?」


何もない空間から突然プリンが現れ


どしんっ!!


「ぐはァ?!」


プリンはミントに馬乗りしているポトフの上に見事に落ちた。


「…痛い」


ポトフの背中にぶつけてしまったおでこを押さえながら状態を起こすプリン。


「ありがとうプリン!!」


この隙に素早くポトフの下から逃げるミント。


「…む?」


おでこを押さえながら小首を傾げるプリン。


「て…テメェ…」


ポトフはガタガタ震えながら


「さっさと降りろ枕!!」


自分の背中に乗っかっているプリンに向かって怒鳴った。


「! わー!お馬さん!」


今の自分の状況を見て目を輝かせるプリン。


「その歳で動物に"さん"つけるのやめろ?!」


突っ込みどころが若干ずれているポトフくん。


「ふふふ 走れーっ」


プリンが右腕を挙げながら楽しそうに言うと


「上等だァ!!振り落としてやる!!」


って言って、ポトフは四足で走り出した。


「…」


そんなアホ二人をよそに


(此処は何処だろう?)


辺りをぐるりと見回しながらミントが首を捻った。


先程まで地下倉庫にいた彼らは、いつの間にか少し狭い部屋にいるのでした。


(…誰の部屋?)


ミントがそう思った瞬間


バァンっ!!


「「!?」」


勢いよくドアが開き


「兄さん?!今何時だと思って―…」


茶髪の少年が現れて固まった。


「・・・」


茶髪の少年はミントとプリンとポトフをよく見たあとで


「・・・どっ」


声を発した。


「ど?」


「ど…」


「どー」


三人が聞き返すと


「泥棒おおおおおお!!」


茶髪の少年が叫んだ。


「「ええええええ?!」」


少年の言葉に仰天するミントとポトフ。


「…煩い…」


両手で耳を塞ぐプリン。


「警察!!警察に電話しなきゃ!!」


慌ててポケットから携帯電話を取り出す少年。


「「?」」


携帯電話を見て小首を傾げる三人。


「ええと確か110?あれ?119?あれ!?123?!」


そんな三人を気にも留めずに慌てふためく少年。


すると


「ヒトの部屋で何してるの雲?」


少年の後ろに、茶髪のお兄さんが現れた。


「! 兄さん!!泥棒!!なんかやかましい髪色した泥棒がいるんだよ!!」


雲と呼ばれた少年が慌てた様子でお兄さんに言うと


「やかましい?!」


ショックを受けるミント。


「うっさい黙れ!!」


そんなミントに向かって怒鳴る雲。


「…酷いや…」


凹むミント。


「ミントの悪口許さない…!!」


すると、プリンは立ち上がって雲に右手を向けた。


「や…やんのか泥棒!?」


プリンの気迫に若干怯みながらファイティングポーズをとる雲。


その時


「おにィさん!!」


目を輝かせながらポトフが言った。


「「…へ?」」


一斉にポトフを見る三人。


「あ。や♪久しぶりポトフくん」


にこっと笑って応えるお兄さん。


「え…えええ!?こっこいつらと知り合いなの兄さん?!」


頭を抱えながら雲が尋ねると


「うん まあそんなもんだね」


微笑んだまま頷くお兄さん。


「えええ!?兄さん最近変な人と交わりすぎ―…」


驚いた雲がそこまで言うと


「良い子はもう寝る時間だよ雲?」


微笑んだままお兄さんが言った。


「はあ?!俺もう十五歳―…」


雲が言い返すと


「良い子はもう寝る時間だよ雲?」


微笑んだまま繰り返すお兄さん。


「おやすみなさぁい♪」


雲は、お兄さんの笑顔の裏に潜んだ殺気に気が付き、速やかに自分の部屋に戻っていった。


「うん おやすみ」


雲が言うことを利くと、お兄さんの笑顔から殺気が消えました。


「「…」」


呆気にとられるミントとプリン。


パタン


「…突然どうしたのポトフくん?」


ドアを静かに閉めながらお兄さんが尋ねました。


「い…いやァ…ちょっとした事故で」


後頭部に右手を当てながらポトフが答えると


「そっか」


お兄さんは即座に納得し、壁に空いた小さな虫食い穴に栓をした。


「「…?」」


その行動にミントとプリンが小首を傾げていると


「ポトフくんのお友達?」


にこっと笑いながらお兄さんが二人に尋ねた。


「は…はい…ミントです」


「僕はプリンだ」


その問いにミントとプリンが答えると


「僕はソラ よろしくね」


お兄さんは微笑みを絶やさずに


「ようこそ異世界へ」


と言いました。

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