表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校日和  作者: めろん
75/102

第75回 地下日和

キーンコーンカーンコーン


「ポートフー?」


ミントが机に突っ伏しているポトフの肩を揺すると


「くァ…れ?もォ終わったのか?」


欠伸をしながら尋ねるポトフ。


「はは…夕食行こう?」


ミントが笑いながら言うと


「おゥ!…って起きろ枕ァ?」


ポトフは返事をすると、彼の隣に座って枕に突っ伏した状態で熟睡しているプリンの肩を揺すった。


「ぷわ…終わったのか?」


欠伸をしながら質問するプリン。


「…あはは…」


動作がほとんど同じ二人を見て呆れたように笑うミント。


「ねーみんな!今日は私がご馳走するよー!」


そこへココアがやって来ました。


「! ココアちゃん!?」


レディにお金を払わせるわけにはいかないと立ち上がるポトフ。


「大丈夫だよー♪こんなに賞金あるんだから♪」


そんなポトフに賞金が入った袋を見せ付けるココア。


「あそっか!優勝おめでとうココア!!」


それを見て、思い出したようにミントがお祝いすると


「ありがとーミントー♪」


にこっと笑って応えるココア。


「チロルとアロエを病院送りにしたんだって?」


ミントが微笑んだまま尋ねると


「そうそう!雑魚相手に手加減するの忘れちゃってさー?」


やれやれと肩をすくめるココア。


((雑魚相手?!))


ココアの言葉に三人が驚いていると


「ってそだ!」


ココアはパンッと手を叩き


「なんかセルせんせーが呼んでたよー?」


三人に言った。


「「へ?」」










薄暗い魔物学の教室の前で


「…来たか」


後ろを向いたまま口を開くセル先生。


「「っ!?」」


すでに怒っている先生の声に驚くミントとポトフ。


「…何故俺がお前らを呼んだか分かるか?」


後ろを向いたまま続けるセル先生。


「「え…ええっ…と?」」


ミントとポトフが首を傾げた瞬間


「分からないのか」


ナイフのような鋭い声でセル先生が言った。


「「はっはいっ!!ごめんなさい!!」」


透かさず謝るミントとポトフ。


すると


「俺の教室を破壊したのはお前らだよな?」


どす黒いオーラを放出させながらゆっくりと体の向きを変えるセル先生。


「「!!!!」」


その言葉で昨日の夜のことを瞬時に思い出すミントとポトフ。


「いいいえ!!こっこれは違うんです!!ね!ポトフ!?」


両手をブンブン振りながらミントが言うと


「そそっそうなんです!!こっこれには深ァいワケが…ほっほらっ!枕もなんか言えよっ?」


冷や汗を掻きながらポトフが続き


「ねむねむ」


最後にプリンが言った。


「「うわァお!!?」」


予想外の言葉に驚くミントとポトフ。


「…選ばせてやる」


そんな三人にノーリアクションで杖を向け


「永遠に眠りたいか?それとも永遠に起きたいか?」


どすを利かせながら質問するセル先生。


「や…やだなァ…それじゃどっちみち―…」


ポトフが渇いたように笑いながら応えると


「では質問を変える」


「っ!?」


セル先生はポトフの首に杖を当て


「今すぐ死にたいか?苦しんで死にたいか?」


地の底から湧き出たような声で質問した。


((いやまったく変わってないデスよ?!))


あまりの怖さに震え上がるミントとポトフ。


「あ!セルくんまーたそんなコトやってるの?」


「「!」」


「! クロ…」


すると、そこへ紫髪のクー先生がやって来た。


クー先生の登場に、ミントとポトフが助かったと目を輝かせていると


「もー…殺しちゃったら隠すのが大変でしょう?」


腰に手を当てながらクー先生が言った。


((何言ってるんですかクー先生?!))


心の中で突っ込むミントとポトフ。


「原形がなくなるまで破壊すればいいだろう?」


さらりと答えるセル先生。


((何言ってるんですかセル先生?!))


心の中で突っ込むミントとポトフ。


「ダーメ!罪は生きたまま償わなくちゃ!…ね?」


クー先生が邪悪に微笑みながらミント達に顔を向けると


「…だな」


セル先生も同意したように三人に顔を向けた。


「「え―…」」


ミントとポトフが首を傾げかけた瞬間


「「罪には罰を」」


邪悪な声で先生達が言った。


「ぐー。」










「…学校の掃除…って…どんだけ広いと思ってんだよ!?」


モップを持ったミントが夜の静かな校舎に向かって叫んだ。


「あっはっはっ…まず七階建ての上に地下三階まであるからな?」


箒を担いだポトフが言うと


「テンフロア!!」


頭を抱えてよく分からないリアクションをするミント。


「でもって各階に部屋が六じゅ―…」


ポトフが続けると


「わー!!聞こえない!!何も聞こえない!!」


両手で耳を塞ぐミント。


「ぐー。」


すると、白い雑巾を頭に乗せたプリンのいびきが聞こえてきた。


「ゲットアップ!!!!」


シュバッと素早く枕を奪い取るミント。


「枕っ!!」


ガバッと素早く飛び起きるプリン。


(…ミントが枕取ってもゴマ化しねェのは何故だ?)


とか思いながら


「あっはっはっ…地下から行ってみるか?」


ポトフが言った。


「うう…これもすべて…」


ミントはギギギと機械のようにプリンの方を向き


「む?…あ」


(ゴマプリンめ…!!)


小首を傾げたせいで頭の上の雑巾が落ちてしまったプリンを見ながら、怒りに震えるミントくんでした。










地下三階のある一室にやって来た三人。


「地下三階なんて初めて来たな…何の部屋だろ?」


明かりをつけながらミントが言うと


「地下三階は確か全部倉庫になってるはずだ」


雑巾を頭の上に乗せているプリンがさらりと答えた。


「倉庫?」


何故乗せる?とか思いながらポトフが聞き返すと


「うむ。だからいろいろ置いてある」


コクンと頷きながらプリンが答えた。


「生肉とか!?」


その答えを聞いて目を輝かせながらポトフが尋ねると


「む… も…もしかしたらあるかもしれないな?」


プリンが答えた。


(あはは…随分優しくなったなぁプリン?)


とか思いながら


「…じゃ、早速―…」


ミントが掃除を開始しようとしたところ


カササッ


ミントの足下に、楕円形で暗黒色をした触角が長い昆虫が現れた。


「っ!!?」


声にならない悲鳴をあげてプリンの後ろに隠れるミント。


「む?」


突然後ろに回り込んだミントに小首を傾げるプリン。


よって雑巾が落ちてしまった。


「む…」


そう言ってプリンが雑巾に手を伸ばした瞬間


カササッ


「っヤー!!」


絶叫してポトフの後ろに隠れるプリン。


「? どしたァ?」


自分の後ろに隠れたプリンとミントにポトフが小首を傾げると


カササッ


楕円形で暗黒色をした触角が長い昆虫がポトフに向かってやって来た。


「…お?」


それにポトフが気が付いた瞬間


「「ゴキブリぃ!!」」


ミントとプリンが叫んだ。


カササッ


その叫び声を聞いて、ポトフを迂回してプリン達の足下に向かう楕円形で暗黒色をした触角が長い昆虫。


「ヤー!!ヤー!!」


「くくく来るなあ!?」


真っ青になって飛び退くプリンとミント。


「? そんなん…」


ポトフはそんな二人を見て小首を傾げながら


「にんべん」


光魔法を唱えた。


ジュッ


ポトフの魔法によって一瞬で消滅する楕円形で暗黒色をした触角が長い昆虫。


「…楽勝だろ?」


肩をすくめながらポトフが言うと


「す…すごい…」


目を見張るプリン。


すると


「…いや…やめろ…!!」


後退りをしながらミントが言った。


彼は酷く怯えている。


「「?」」


しかし、彼の目の前には何もいない。


彼は、先程のショックで忘れていたトラウマの扉が開いたようだ。


≫≫≫


「ゲヘヘ…これで何回めかしらミント?」


邪悪に笑いながらじりじりとミントに歩み寄るミントママ。


「ごっごめんなさい!!ほんとうにもうしないからっ!!」


泣きながら許しを乞うミント。


彼の両手はロープで上にあげられており、両足も動かないようにロープで縛りあげてある。


「おいジャンヌ!!もうその辺で―…」


身動きの取れないミントを庇うようにミントパパが立ち塞がると


「駄目よシャーン…ウチが食に厳しいこと知ってるでしょう?」


邪悪に笑いながらミントママが言った。


「いや知らないケド」


「兎に角!!目を瞑りなさいミント?」


小首を傾げたミントパパを退かすと、ミントママはフライパンを取り出した。


「え…?ど…どうし―…」


ミントが聞き返すと


「見ない方が幸せよ?」


ミントママはフライパンにスプーンを突っ込んでそれを持ち上げた。


「?! やっやめて!!やめてよう!!」


おおきなスプーンに乗った具を見て真っ青になるミント。


そこには楕円形で暗黒色をした触角が長い昆虫やニョキニョキ動く幼虫が…


「よせジャンヌ!!」


「ゲヘヘ♪あーん?」


「やめてええええ!!!」


≫≫≫


「ちゃんとピーマン食べるからあああああ!!!!」


再び一歩下がって、頭を抱えて屈み込みながら叫ぶミント。


「「ミント?!」」


突然のミントの叫び声にプリンとポトフが驚いていると


ヒュン


「「!?」」


ミントが消えた。


突然の出来事に目を見張る二人。


「!」


そして、何かに気が付いたポトフは


ガシッ


「!?」


とプリンの腕を掴むと


「追うぞ枕!!」


「ぴわ?!」


彼と共にミントが消えた場所に駆け込んだ。


ヒュン


すると、二人の姿も消えてしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ