第68回 学園祭日和
「わー!可愛い!」
目を輝かせるプリン。
その先には
「…ありがとプリン…」
クリーム色の帽子を被ったミントくんがいました。
「ふふふ ひよこさん」
ミントくんが被っているクリーム色の帽子は、ツバの部分が濃いオレンジ色になっていて、ツバの付け根の両端に黒点が打ってある。
詰まり、ひよこさん帽子。
ちなみにこの帽子は、前回プリンがミントにプレゼントした代物です。
「うん…そうね…」
可愛らしい帽子を被せられてNotご満悦なミントくん。
「あっはっはっ!可愛いぞミントォV」
可愛らしいミントくんを見らてVeryご満悦なポトフくん。
「…ポトフはオレをどうしたいのかな?」
そんなポトフくんを見て、ミントがテーブルに置いてあった眼帯を摘み上げながら言った。
「凄くねェそれ!?今年の新作だぜ?!」
その眼帯を見て、目を輝かせながらポトフが言った。
ちなみにこの眼帯は、前回ポトフがミントにプレゼントした代物です。
「いや新作とか言われても…それと見た目全然違わないけど?」
(って言うかオレ眼帯なんか使わないんだけど?)
直接言いたいけれど絶対口にしてはいけない事を思いながら、ポトフがつけている眼帯と今自分が持っている眼帯とを見比べながらミントが言うと
「いやいやこれよりスッゲェかぶれにくい上にずり落ちにくいんだぜ!?」
力を込めて眼帯を語るポトフくん。
「…ちゃんと機能性見極めて買ってるんだねポトフ…?」
ミントがそう言いながら、手に持っている眼帯の使い道を必死に考えていると
コンコン
部屋の窓の外に、一羽のフクロウがやって来た。
「む?フクロウさん」
パカッ
プリンが窓を開けると
『ホー』
窓辺に停まったフクロウが、プリンに片足を差し出した。
「ふふふ ありがとう」
プリンが差し出された片足にくくりつけられていた巻紙を受け取ると
『ホー』
フクロウは再び大空へと飛び立った。
「…手紙なんて珍しいねぇ?」
窓を閉めたプリンにミントが言うと
「…学年だより」
巻紙を開きながらプリンが言った。
「学年だより?」
小首を傾げるミント。
「うむ。"学園祭"について書いてある」
そう言いながら、プリンはミントに学年だよりを手渡した。
「…"貴方は学園祭でどんな事をしてみたいですか?法律にギリギリ触れない程度までなら何をやってもOKなんで、皆さんのアイディアを大募集しちゃいます!!もしアイディアが書けたら、クー先生まで届けて下さい!ご応募待ってまーす!!"…だって」
学年だよりを受け取ったミントがそれを読みあげた。
「…どんな設定だよ?」
無茶苦茶な学校に無意味な疑問を投げ掛けるポトフくん。
「学園祭なんかやるんだねぇ〜?」
学年だよりを折り畳みながらミントが言うと
「ミント、学園祭って何をする?」
小首を傾げながらプリンが尋ねた。
「ん〜…クラスで劇とかやるのがベタだよね」
少し考えてから答えるミント。
「劇かァ…!!なら俺は、麗しき白馬の王子様役だよな!あっはっはっ!」
それを聞いて、朗らかに笑いながらポトフが言うと
「…面倒。僕は寝てる」
欠伸をしながらプリンが言った。
「じゃあ劇は"眠れる森の美女"で決定だね☆」
にこっと笑いながら言ったミントの提案に
「「前言撤回」」
顔色を悪くするプリンとポトフ。
「あははっ♪何やるんだろね〜学園祭?」
そんな二人を見て、楽しそうに笑いながらミントが言った。
「うむ。ミントは決める気は無いのだな」
プリンが尋ねると
「あったり前じゃん面倒臭い♪」
ってミントが言った。
そんなこんなで学園祭当日
「わは〜!賑やかだねぇ〜?」
よく晴れた空の下に、クリーム色の帽子を被った(被せられた)ミントがやって来ました。
グランドには、すでに多くの生徒の皆さんが集まっています。
「あ!おはよーミント!…ってあれ?一人?」
人混みの中から彼を見付けたので、元気に手を振りながら挨拶するココア。
「おはようココア。ちなみにプリンとポトフは持ってかれたよ」
ココアの質問に、肩をすくめながらミントが言った。
「持ってかれたー?」
ココアが小首を傾げると
「「きゃーきゃーvV」」
二人の背後から、女子たちの黄色い声が聞こえてきました。
「…成程」
即座に状況を把握するココア。
「あはは…ところで、今日の学園祭って何やるの?」
呆れたように笑いながらミントがココアに尋ねると
「あ、えっとねー、今からクー先生が発表するみたいなのー!」
朝礼台を指差しながらココアが言った。
「へ〜」
ミントは頷きながら
(…学園祭って普通準備とか必要じゃないのか?)
とか思っていた。
『おはようみんな〜!今日は待ちに待った体…違う…学園祭だよぉ〜!!』
すると、朝礼台の上に紫髪のクー先生が立った。
「待ちに待ってたのに間違っちゃったねー?」
無表情でココアが言うと
「うん…そこは流してあげようココア?」
無表情でミントが返した。
『学年だより出したのに、昨日まで案が一個も来なかったから、正直みんなにはがっかりです!!』
元気に続けるクー先生。
「はっきり言っちゃったねー?」
ココアが言うと
「つうか誰もいなかったんだ?」
ミントが返した。
『でも!!今日の朝!私の郵便受けに一通の手紙が!!』
じゃーん!と封筒を皆に見せびらかしながらクー先生が言った。
「と言うことは、今日の朝まで何やるか決まってなかったんだねー?」
ココアが言うと
「計画性というものが無いのかこの学校は?」
呆れたようにミントが言った。
『その手紙にはこう書いてありました!!"なんかもう全校でサバイバルバトルとかしたらいんじゃね?"と!!』
手紙を見ながらクー先生が言った。
「随分投げ遣りだねー?」
ココアが言うと
「って言うか今…」
ミントが溜め息をついた。
『この上なく面白そうですよね!!てなワケで、今から学園祭行事として"危険が森☆もりサバイバルバトル!!"を開催したいと思います!!』
目を輝かせながら高らかに宣言するクー先生。
「なんなのその恥ずかしいタイトルはー?」
ココアが小首を傾げると
「…と言うか…」
ミントが予想通りの展開にがっくりと肩を落とした。
「あっはっはっ!穏やかじゃねェなァこの学校は!」
その時、女の子達から解放されたポトフが朗らかに笑いながらミントの隣にやって来た。
「貴様が言えた事ではないがな」
疲れた様子でその隣に現れる女の子達から解放されたプリン。
「ァんだと?」
ポトフがプリンを睨むと
「ぷわ…ねむねむ」
プリンは眠たそうに欠伸をした。
「あはは…確かに言う通りだね」
そんな二人を見て、疲れたように笑いながらミントが言った。
「どっちのー?」
ココアが尋ねると
「どっちも」
ってミントが言った。
『しかも賞金つき!!優勝者には漏れ無く百万円の賞金が贈呈されます!!』
ノリノリでアナウンスを続けるクー先生。
「コーラ一万本…!!」
目を輝かせるミント。
「生肉食い放題…!!」
目を輝かせるポトフ。
「…それだけか?」
不満そうに枕を抱え直すプリン。
「感じ悪いよプリンー?」
無表情で突っ込みを入れるココア。
『優勝者は一名のみ!!皆さんには最後の一人になるまで戦って頂きます!!』
ズビシッと生徒達を指差しながらクー先生が言った。
「…本当に穏やかじゃないね?」
再び溜め息をつくミント。
『では!お約束の森にワープしてもらいますね!!』
クー先生がそう言うと
「「!」」
突然皆さんの足元が輝きだした。
『ルールは簡単!!棄権不可!!それ以外は何も無し!!逃げ切るもよし!!相手を完膚無きまでに叩きのめすもよし!!はたまた友を裏切るもよし!!』
「「おい?!」」
聞き捨てならないクー先生の発言に皆さんが突っ込みを入れると
『優勝者は一人だけなんですよ?当たり前じゃないですか!!友情なんてそんなもんです!!』
クー先生がまたもや聞き捨てならない発言をした。
「「本当に教師ですか貴女は?!」」
再び突っ込みを入れる皆さん。
「どっちかって言うと狂師だよね」
ミントが失笑しながら言うと
「わー!ミント上手ー!」
パチパチと拍手しながらココアが言った。
『最期に一言!!』
クー先生が言うと
「「漢字おかしいだろ?!縁起でもねえよ?!」」
息の合った突っ込みを入れる皆さん。
『殺人は犯罪です☆』
ウインクしながらクー先生が言った。
「「んん?!何故今敢えてそんな一般常識を!?」」
皆さんの突っ込みを掻き消すように
『グッド☆ラック』
親指を下に向けながらクー先生が言うと、その場から皆さんの姿が消えた。
全員無事にお約束の森にワープ出来たようですね。
こうして、楽しい楽しい学園祭が始まりました。