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学校日和  作者: めろん
65/102

第65回 鬼日和

優しい風がそよぐ屋上にやって来た四人。


今日もいい天気です。


「ふあ…平和だねぇ」


欠伸をしながらミントが言った。


「平和だなァ」


伸びをしてミントに同意するポトフ。


「うむ。平和」


コクンと頷くプリン。


「平和だねー」


プリンの髪の毛をいじくりながらココアが言った。


「というか暇だねぇ」


ミントが言うと


「暇だなァ」


「うむ。暇」


「暇だねー」


先程のように同意する三人。


「てなワケで、なんかやんない?」


そこでミントが提案した。


「なんかってー?」


小首を傾げるココア。


「ん〜…プリンは何かしたいものある?」


ミントが尋ねると


「お昼寝」


プリンが即答した。


「うん☆知ってた」


ミントはプリンがそう答えることを予め知っていたようだ。


「ポトフはー?」


そんな二人をよそに、ココアがポトフに尋ねた。


「…俺は」


ポトフはゆっくりとココアの方を向くと


「ココアちゃんとラヴラヴ―…」


ココアの顔に手を伸ば―…


スパァン!!


…―せなかった。


ココアの平手打ちによって横に吹っ飛ぶポトフ。


「触るな汚らわしい」


吹っ飛んだポトフに、ココアがそう吐き捨てた。


「あれれ?キャラが違うぞ?」


打たれて赤くなった右頬を押さえながら立ち上がるポトフ。


「うーん…どうしよっかココア?」


ミントが言うと


「そうだねー…」


ココアも首を捻り出した。


「うーん…」


真剣に考えるミント。


「えーと…」


真剣に考えるココア。


「ヤー!」


ココアに結われた三編みをほどくプリン。


「あっはっはっ!似合ってたのに」


「だっ黙れ!!」


ポトフとプリンがそんな会話をしていると


「…あ!」


と、ココアが声をあげて


「"鬼ごっこ"しよーよ!」


って言った。


「「鬼ごっこ?!」」


思わず聞き返すミントとポトフ。


「うん!何も用意しなくていいし、これが一番楽な遊びでしょ?」


にこっと笑いながらココアが言った。


「そう…だね!じゃーじゃんけんだよっ!」


頷きながらミントが言うと


「…鬼ごっこかァ…!!」


嬉しそうに顔を輝かせるポトフと


「ぶう…走るの苦手」


頬を膨らませるプリン。


「いくよー!じゃーんけーん…」


ココアの掛け声と共に


ぽいっ


と四人が手を出した。


ミント→パー


プリン→パー


ココア→パー


ポトフ→グー


結果→ポトフの一人負け。


「うわ一発負け」


思わず声を出してしまったミント。


「ポトフじゃんけん弱いんだねー?」


ポトフを見ながらココアが言った。


「くっ…何故だ…」


悔しそうに自分がグーを出した方の手首を反対の手で掴むポトフ。


「よわよわ」


そんなポトフを見てプリンが言った。


「喧嘩売ってんのか枕?」


キッとプリンを睨みつけるポトフ。


「ま、まーまー…じゃ!一億数えてね!!」


困ったように笑いながらココアが言った。


「一億?!」


透かさず突っ込むミント。


「はァい♪」


笑顔で答えるポトフ。


「いいの?!通常の百倍以上だよ!?」


更に突っ込むミント。


「さて、逃げるか。テレポート」


プリンはそう言うと


ピュッ


その場から離脱した。


「ズルくないそれ!?」


しっかり突っ込むミント。


「ほら私達も早く逃げるよミントー?」


屋上の出入口に移動したココアが振り向きながら言った。


「…もう…どうでもいいや…」


ミントはそう言って深く溜め息をつくと


「うんっ」


ココアと共に屋上から出ていった。










「九千九百九十九万九千九百九十九…」


一人になってからしばらくして


「一億っ!!」


ってポトフが叫んだ。


「…疲れたァ…」


そう言って肩を落とすポトフ。


「まさか鬼ごっこがこんな過酷な遊戯だったとは…」


普通はそんなに数えません。


「さてと…」


ポトフは呼吸を調えると


「…俺の鼻と足を嘗めんなよォ♪」


ニヤリと笑って一目散に駆け出した。









「そう言えば、ポトフってめっちゃ足速いんだっけ」


走りながらミントが思い出したように言った。


「へ?そうなのー?」


ココアが聞き返すと


「うん…五十メートルを五秒で走っちゃうくらい」


先日の体力測定の記録を思い出すミント。


「十メートル一秒?!」


思わず突っ込むココア。


「じゃあ…一億ぐらいで丁度よかったねー?」


肩をすくめながらココアが言うと


「いや多すぎだと思うよ?」


手をブンブン横に振りながらミントが言った。


「そうかな…ってきゃあ!?」


どてっ


「ココア?!」


突然ココアが転んだので慌てるミント。


「なんでこんなところに葡萄の皮があるのよー?!」


起き上がったココアが、足元にあった葡萄の皮を摘み上げながら言った。


「ええ?!そんなので転んだの!?」


思わず突っ込んでしまうミントでした。









「ぷわ…ねむねむ」


欠伸をしながら近くにあった木に寄りかかるプリン。


「眠ィのか?」


そんな様子を見てポトフが言った。


「うむ。」


コクンと頷くプリン。


「じゃあ寝ればいいじゃねェか?」


小首を傾げながらポトフが言った。


「…貴様に言われなくてもそうす―…」


そこまで言った後で


「!?」


ポトフが隣にいることにようやく気が付いたプリン。


プリンがバッとポトフの方を向くと同時に


「死にさらせェェェ!!」


って叫びながらプリンの脇腹を蹴り飛ばした。


随分と激しいタッチですね。


「ぴぐっ!?」


その勢いで横に吹っ飛ぶプリン。


「あっはっはっ!これでテメェが鬼だ!!」


ポトフが笑いながら言うと


「…"鬼"」


プリンはゆらりと立ち上がった。


「…それは邪悪と恐怖を象徴する存在」


そう言いながら服についた汚れを払うプリン。


「…?」


プリンのどこか異様な雰囲気に小首を傾げるポトフ。


「…頭には角、口には牙を有し、指には鋭い爪が生えている」


そんなの気にも留めずに続けるプリン。


「だ…だからなんだよ?」


身の危険を感じたポトフが一歩下がりながら尋ねると


「…そして産まれ持った怪力とその無慈悲さ故に」


プリンはゆっくりと顔を上げ


「…"鬼"は人に災いをもたらす」


ゾワッ…


「っ?!」


その場にいただけで失神を起こしてしまうくらいの凄まじい殺気を放った。


「…俺の安眠を妨げたのはお前か?」


地獄の底から響くような声でポトフに尋ねるプリン。


「久々の暗黒モード?!」


ポトフが逃げ出すや否や


「微風」


詠唱ひとつもせずに風魔法を放った。









「うー…いったーい…」


血が滲んできた膝を見ながらココアが言った。


「回復魔法は?」


心配そうにミントが尋ねると


「私それ苦手ー」


残念そうに首を横に振るココア。


「そっか…オレも出来ないし…」


情けなさそうに肩を落とすミント。


「ポトフがいればな―…」


ミントが言いかけると


「ぎゃああああああ?!」


ポトフが絶叫しながらこちらに向かって走ってきた。


「噂をすれば?!」


「ポトフ!!」


回復役の登場に目を輝かせるミントとココア。


「逃げろココアちゃん!!ミント!!」


そんな二人に顔を青くしたポトフが叫んだ。


「!? でもポトフ、ココアが怪我してるっ!!」


ミントが言うと


「何っ!?」


ココアの方を向くポトフ。


「っ…!!」


ココアの傷を見て、これでは走れないと判断したポトフは


ひょいっ


「きゃあ?!」


と、ココアをお姫様だっこした。


「ちょっとポトフ?!降ろし―…」


顔を赤らめながらココアが言いかけると


シュパンっ


という効果音と共に


「クックックッ…」


邪悪に笑うプリンが、三人の目の前に現れた。


「「!?」」


ミントとココアが驚いていると


「愚かだな…数が増えれば攻撃が当たり易くなるというのに」


プリンは邪悪に口角を吊り上げ


「微風」


って言った。


ちゅど――――――――ん


爆発的な激しい効果音と共に


「うわああああああ?!」


とても微風とは言えないプリンの"微風"によって後方に吹っ飛ぶミント。


「「ミント!!」」


なんとか避けきったポトフと彼に守られたココアが声を張る。


「…な…んで"微風"がこんなに強力なのさ…?!」


風属性が弱点なので、かなりのダメージを受けたミントがよろよろと起き上がりながら言った。


「これが"微風"の本来の力だ。…だが、白い俺はまだ風魔法を使いこなせていない」


すると、失笑しながらプリンが言った。


「白い…俺…?」


聞き返すミント。


「そう…そして俺は黒…言うなれば」


プリンは真っ直ぐミントの目を見て


「ゴマプリンだ!!」


って言った。


「ゴマプリン?!」


思わず元気に突っ込むミント。


「突っ込んでる場合じゃないよー!?」


「逃げるぞミントォ!!」


「はっ!!うんっ!!」


こうして三人は脱兎のごとく駆け出した。


「クック」


そんな三人を見て


「この俺から逃げ切れると思っているのか?」


ゴマプリンが邪悪に微笑んだ。


こうして四人の"鬼ごっこ"から"ごっこ"が消え去りましたとさ。

めでたし。めでたし。


「「ひとつもめでたくねえよ?!」」


「微風」



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