表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校日和  作者: めろん
64/102

第64回 測定日和

空が綺麗に晴れたから、今日も一日頑張っていきましょう。


「ぷわ…ねむねむ」


欠伸をしながらグランドにやって来たプリン。


「今日の体育は何すんだァ?」


その隣でポトフがミントに尋ねると


「体力測定だよ」


伸びをしながらミントが答えた。


「!」


それを聞いたポトフは


「…あっはっはっ!勝負だ枕ァ!!」


ってズビシッとプリンを指さした。


「ぐー。」


「「…」」


しかし、プリンは眠っていた。


「おーい始めっぞ〜?」


橙色の髪をしたエル先生の合図で体力測定開始☆


一種目め、五十メートル走


「あっはっはっ!これは楽勝だな!!」


スタート地点に立ったポトフが、隣にいるプリンに向かって言った。


「…」


特に反応せずに枕を抱え直すプリン。


「あはは…二人ともほどほどに頑張ってー」


そんな二人の後ろでミントが言った。


「位置についてえ…よーい…」


ゴール地点に立っているエル先生はそう言って


ドンッ!!


ピストルを鳴らした。


それと同時に走り出すポトフと


ピュッ


シュパンッ


それと同時にゴール地点に現れるプリン。


「よっしゃ0.01秒!!世界新記録じゃアラモード!!」


エル先生が興奮しながら言った。


「「すげええええ!?」」


目を丸くする男子生徒の皆さん。


「…照れる」


枕で顔を隠すプリン。


「"照れる"じゃねェェェェェェェェェェェ!!!!」


すると、ポトフが怒鳴りながらゴールした。


「おお!!5秒ジャストじゃフラント!!」


「「すげええええ!?」」


二種目め、ハンドボール投げ


「ゼェ…ゼェ…」


「だ、大丈夫ポトフ?」


怒鳴りながら走ったせいか、息切れを起こしているポトフの背中を心配そうに摩るミント。


「は、はいプリンさん」


そんな二人の隣で、猫耳少年のサラダがプリンにハンドボールを差し出した。


「うむ。ありがとう」


抑揚の無い声でお礼を言いながらボールを受け取るプリン。


「こ…これは魔法使えねェだろ―…」


息切れが治まってきたポトフが顔を上げると


「とー」


プリンが抑揚の無い声を出しながらハンドボールを投げた。


「とーってうをい?!!」


ガンガン飛距離を伸ばしてゆくボールに驚くポトフ。


キラーン


そしてボールは星になった。


「「おおーぅ…!!」」


なんか感動する男子生徒の皆さん。


「素晴らしいぞアラモード!!お前の肩の力は素晴らしすぎて測定不能だ!!」


またもや興奮しながらプリンを誉め称えるエル先生。


「…照れる」


枕で顔を隠すプリン。


「う…嘘だろ…?!」


ポトフが驚愕している隣で


「あはは…さっきプリン小声で"ハンドルマター"って言ってたよ?」


ってミントが言った。


「実力で勝負しやがれテメェ?!」


三種目め、握力測定


「…今度こそ魔法は使えねェな?」


イライラしながらポトフが言うと


「ミント」


プリンがミントを呼んだ。


「ん?」


ミントが振り向くと


「…これ持ってて」


ぽすっとプリンがミントに枕を手渡した。


「うん…ってええ!!?」


頷いてから状況を把握して驚くミント。


「ま…枕を預けたってコトは…」


ミントが呟くと


((やっと本気モード?!))


とか思う男子生徒の皆さん。


皆が期待の目でプリンを見つめるなか


「たー」


プリンはまたもや抑揚の無い声を出しながら握力測定器を力いっぱい握った。


すると


ボカンッ!!


という爆発音と共に壊れる測定器。


「「すげええええ!?」」


目を見開く男子生徒の皆さん。


「最高じゃアラモード!!しかし機械を壊すほどの握力は残念ながら測定不能だ!!」


張り切ってプリンを誉めまくるエル先生。


「ありがとう」


プリンはミントから枕を返してもらってから


「…照れる」


いつも通り枕で顔を隠した。


「い…今のは…実力…?」


唖然とするポトフの隣で


「あ…あはは…いっつも枕持ってるからじゃないかな?」


ってミントが言った。


四種目め、上体起こし


「もォ負けらんねェぞ…!!」


マットの上に横になったポトフが言うと


「あはは…多分勝てると思うよポトフ?」


ポトフの足を押さえているミントが言った。


「はェ?」


ポトフが小首を傾げると


「時間は三十秒じゃ!!よーい…」


エル先生がそう言って


ピーっ!!


とホイッスルを鳴らした。


「ぐー。」


それと同時にプリンのいびきが聞こえてきた。


「「寝たああああ?!」」


透かさず突っ込みを入れる男子生徒の皆さん。


「…あはは…プリンは横になるとすぐ寝ちゃうんだよね」


呆れたように笑いながらミントが言った。


五種目め、反復横跳び


「こ…今度こそ…」


なんか疲れてきたポトフがプリンの方を向くと


「何?棄権する?」


「うむ。面倒」


プリンはエル先生に棄権の申し出をしていた。


「ふざけんなァァァ?!」


六種目め、立ち幅跳び


「ぐー。」


測定する為のマットの上で爆睡するプリン。


「ねェアイツ踏ん付けていい?!てかむしろ殺していい?!」


「おおお落ち着いてポトフーっ!?」


結論。

どうやらプリンはポトフを相手にする気はまったく無いようだ。


「喧嘩売ってんのか畜生ォ?!!!」


頭を抱えながら叫ぶポトフ。


「ついでに競技を受ける気も無いよね」


呆れたように笑うミント。


「ぷわ…ねむねむ」


欠伸をするプリン。


「"ねむねむ"じゃねェェェェェェェェェェェェ!!」


ポトフが激しく突っ込むと


「だから落ち着きなよポトフ…?」


困ったように笑いながらミントが言った。


「これが落ち着いて…こんなヤツに三種目も負けたんだぞ俺は?!」


髪の毛をぐしゃぐしゃにするポトフ。


「あ…あはは…何言ってんのさ?」


そんなポトフを見て


「プリンが真面目にやったのは握力だけだよ?」


ってミントが言った。


((いや そこが一番問題なんだと思うが))


とか思う男子生徒の皆さん。


「クソっ…納得いかねェ…!!」


悪態をつくポトフ。


((これで納得出来たら貴方は素晴らしい人間だヨ))


とか思う男子生徒の皆さん。


そんなこんなで、とうとう最終種目になりました。


「最後は魔力勝負じゃ!!自分の中で最強思う魔法を相手にかましたれ!!」


気合い十分にエル先生が言った。


「おっしゃァ!!勝負だ枕ァ!!」


それを聞いて再び燃え上がるポトフ。


「…む?」


プリンは小首を傾げながらも、ポトフと同様にステージに上がった。


「いいか?これは一発勝負じゃ。魔法は一発しか撃てへんで?」


エル先生がステージに上がった二人を見ながら慎重に言った。


「りょーォかいィ♪」


油断なくプリンを睨みつけながら答えるポトフ。


「…」


無言で冷ややかにポトフを見返すプリン。


ピーっ!!


エル先生のホイッスルが鳴った。


「キラキラァ!!」


それと同時にポトフがプリンをズビシッと指さしながら叫んだ。


「なんか可愛い?!」


ポトフの魔法名に思わず突っ込みを入れるミント。


ドッカ――――――ン!!


しかし魔法名とは裏腹に、白熱した巨大な柱状の激しい光がプリンを襲った。


「「っ…!!」」


眩しすぎる光と、それと同時に巻き起こった砂煙に思わず腕で目を庇う皆さん。


すると


「…随分物騒な魔法だな」


「「!!」」


モクモクと立ち込める砂煙の中からプリンの声が聞こえてきた。


「そんな馬鹿な―…」


それに驚いたポトフがプリンの方を向くと


『『あ゛ー』』


ゾンビのような大量の魔物が、スクラムを組んでプリンの事を守っていた。


「キモーーーーーっ?!」


一瞬にして全身に鳥肌が立つポトフ。


「ま…魔物がプリンを守ってる?!」


ステージの下でミントが言うと


「…洗脳魔法"ブレインウォッシュ"。指定した範囲内の生物を僕の意のままに操ることが出来る」


不敵に笑いながらプリンが言った。


((…えげつねぇ…))


とか思いながら青ざめる男子生徒の皆さん。


「…行け」


プリンが静かに言うと


『『あ゛ー』』


ゾンビ達は一斉にポトフに向かってがに股で走り出した。


「ぎゃああああああ?!」


身の毛も弥立つようなおぞましい光景にポトフが悲鳴を上げると


ピタッ


とゾンビ達の動きが止まった。


「「?」」


皆さんが疑問符を出すと共に


『『…ぽ』』


ゾンビ達は、ポトフを見て頬を紅潮させた。


「「惚れられたあ!?」」


仰天する皆さんと


「ふっざけんなァァ?!」


逃げ出すポトフ。


『『あ゛ーV』』


ポトフを追い掛けるゾンビ達。


「…勝者、アラモード」


ステージから走り去っていったポトフとそれを追い掛けて行くゾンビ達を見て、顔を青くしたエル先生が言った。


((…確かにあれは最強魔法だな…))


とか思う男子生徒の皆さんでした。


結論2。

プリンの方が強い。


『『あ゛ーV』』


「寄るなァァァァァ?!」


どんどん小さくなってゆくポトフとゾンビ達。


「ねぇ…今もプリンが操ってるの?」


ステージから降りてきたプリンにミントが尋ねると


「もう解いた」


ぷるぷると首を横に振りながらプリンが言った。


「「…モテ男くんは辛いねぇ?」」


とか言いながら、内心ご満悦の皆さんでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ