第63回 洞窟日和
仄暗い洞窟で、ラビちゃん捜し開始。
「わは〜…結構暗いね?」
先の方に広がる闇を見ながらミントが言った。
「あっはっはっ!俺が側にいるから安心しろよミントォ♪」
朗らかに笑うポトフ。
「う〜ん 抱きつかれると歩きにくいんだけどな?」
ミントはポトフに後ろからしっかりと抱きつかれているのでした。
「まさに一心同体ってヤツ?離さねェぞミントV」
ポトフが笑いながら言うと
「取り敢えず心はひとつじゃないよね」
ってミントが言った。
「…あれ?」
そう言って、ピタッと立ち止まるミント。
「? どしたァ?」
ポトフが小首を傾げると
「プリンは?」
キョロキョロと辺りを見回しながらミントが言った。
「はェ?枕ならココに―…寝ながら歩いてたのにいねェ?!」
先程まで隣を歩いていたプリンがいなくなっていたので驚くポトフ。
「もっもしかしてはぐれちゃったのかな!?」
心配そうに顔を曇らせるミント。
「ってコトは今俺ミント独り占めしてる?!」
嬉しそうに顔を赤らめるポトフ。
「何ほんのり顔赤らめてんのさポトフ?!」
ミントが透かさず突っ込むと
「…お?」
ポトフが右を向いた。
「? どしたのさ?」
小首を傾げるミント。
「これは…枕臭…?」
ポトフがぽつりと呟いた。
「枕臭?」
更に小首を傾げるミント。
「こっちだ!!」
そんな事気にせずに、ポトフはミントを引っ張っていった。
「あ。枕ってプリンのコトか」
「ぐー。」
テクテクテクテク
こちらは洞窟の中を寝ながら歩くプリンくん。
「ぐー。」
しかし、仄暗い洞窟の中は危険がいっぱい!
ごんっ
ほらね。
「ぴわ?!」
プリンくんは、天井から突き出した岩におでこをぶつけてしまいました。
「…痛い」
痛みを抑える為におでこを押さえるプリンくん。
「? 何処だ此処は?」
プリンはそう言うと
「む?ミント?」
キョロキョロと辺りを見回し始めました。
「お邪魔ンゴー?」
今度はマンゴーですか。
お友達は、ちゃんとお名前で呼んであげましょうね。
「…誰もいない…」
自分の周りに誰もいない事が分かったプリンくん。
「うう…暗い…」
プリンくんは枕をギュッと抱き締めて、再び歩き始めました。
ごんっ
「…痛い」
「…」
突然ポトフの動きがピタッと止まった。
「どしたのポトフ?」
ミントが尋ねると
「…腹減ったァ…」
お腹を押さえながらポトフが言った。
「ええ?!さっきお昼ごはん食べたじゃん!?」
困ったように突っ込むミント。
「ミント…それは二時間も前の話だろォ?」
溜め息をつきながらポトフが言った。
「君は一日何食食べるのさ?」
冷ややかに聞き返すミント。
「あ゛〜肉ゥ〜生肉ゥ〜」
トボトボと再び歩き出したポトフが、うわ言のように今食べたい物の名前を言った。
「だからせめて焼こうよポトフ!?」
ミントが透かさず突っ込むと
「腐肉ゥ〜」
再びうわ言を言うポトフ。
「状況悪化してる!?」
更に突っ込むミント。
「鹿肉ゥ〜」
「美味しいのそれ?!」
「果肉ゥ〜」
「いきなりフルーティー?!」
「筋肉ゥ〜」
「もう意味分かんないよポトフ?!」
ポトフのうわ言にツッコミを入れ続けるミント。
そんな会話?をしながらも、二人はトボトボとプリンに近付いてゆくのでした。
「ミントー?お邪魔ラソンー?」
こちらは再び迷子の迷子のプリンくん。
今度はマラソンですか。
「ぶう…何処にもいない」
頬をぷーと膨らませながらも歩き続けるプリンくん。
「ミントー?お邪魔ントヒ―…」
ガッ
「ぴわ?!」
ポトフの呪いか、先程の発言を止めるかのように、プリンは岩につまづいてしまいました。
「わー」
しかも、そこは傾斜が急な下り坂。
プリンくんは抑揚のない悲鳴をあげながらコロコロと転がり落ちてゆきました。
ドシ―――――――――ン
プリンくんは壁に激突して無事に止まる事が出来ました。
「ぇぐ…っ」
訂正します。
無事ではないようですね。
くいくい
ローブの裾を引っ張られたので
「…む?」
プリンがそちらを向くと
『まふ〜』
「!」
赤い長い耳をした、丸くてちっこいモフモフした生物が
『まふまふ〜』
『まふ〜♪』
いっぱいいた。
「わー…!」
それを見て、目をキラッキラに輝かせるプリン。
『まふまふ?』
『まっふっふ〜♪』
プリンの目の前でじゃれ合う不思議生物。
「ウサギさんがいっぱい!」
キラッキラに目を輝かせるプリン。
『『まふ〜♪♪♪』』
ピョンピョン跳び跳ねる不思議生物。
「なんか今凄い音しなかった?」
すると、プリンの後ろから声が聞こえてきた。
「! この声は…!」
プリンが振り向くと
「肉かァ?!」
「…いや違うと思う―…」
ポトフとミントが現れた。
「ミント!」
片方だけ呼ぶプリン。
「あ!プリン!!…と」
ミントがプリンの方を見て
『『まふ〜』』
「何こいつら?!」
不思議生物に突っ込みを入れるミント。
「む?ウサギさん」
小首を傾げて答えるプリン。
「兎肉ゥ!!」
目を輝かせるポトフ。
『『まふ〜?!』』
驚いて飛び退く不思議生物。
「…"まふ〜"?」
首を傾げるミント。
「まふー」
コクンと頷くプリン。
「ラビちゃんじゃん!!」
ミントが言うと
「「まふー?!」」
驚いて聞き返すプリンとポトフ。
「何移ってんの君ら?!」
透かさず突っ込むミント。
『『まふー』』
前足に力を入れるラビちゃんズ。
「! 逃げる気?!捕まえるよ二人ともっ!!」
ミントが言うと
「「まふー!!」」
そう言って構えるプリンとポトフ。
すると
『『まふー!!』』
ピョンコピョンコピョンコ
「向かって来たぁ?!」
「「まふー」」
こうして三人は、無事にラビちゃんを捕まえる事が出来ました。
「こんなの集めてどうする気かねぇ?」
「食う」
『まふ〜?!』
「剥ぐ」
「…何をかなプリン?」