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学校日和  作者: めろん
62/102

第62回 授業日和

始業式の後、楽しい魔法学の授業が始まります。


キーンコーンカーンコーン


「…それでは授業を始めますね。新しい教科書の二ページ目を開いて下さい」


黒髪のポリー先生が言うと、ウサギさん寮の皆さんが一斉に教科書のページを捲った。


「此処に記されているように、去年度末に少しだけ学習した属性魔法は、無属性魔法と違い、それぞれ"耐性"と"弱点"と言うものがあります」


ポリー先生がここまで言うと


「ぐー。」


授業開始からジャスト三十秒、プリンのいびきが聞こえてきた。


「…はい。新学期早々爆睡かましてくれてるプリンさん?」


教科書に目をやったまま冷静にプリンを指すポリー先生。


「プリンっ!指されてる指されてる!」


隣で眠っているプリンを揺するミント。


「…むー…」


不機嫌な声を寝ながら出すプリン。


「いや"むー"じゃなくて!起きてよプリン?!」


枕を没収するミント。


「…うむ?」


枕をミントから受け取りながら眠そうに目を擦るプリン。


「…属性魔法のそれぞれの弱点を述べて下さい」


そんなプリンにポリー先生が言うと


「…面倒」


って答えるプリン。


「そこをなんとかお願いしますよプリンさん?」


ポリー先生がお願いすると


「ぶう…光は闇が弱点で、闇は光が弱点で、炎は水が弱点で、水は雷が弱点で、雷は樹が弱点で、樹は風が弱点で、風は地が弱点で、地は氷が弱点で、氷は炎が弱点だ」


ぷーと頬を膨らませた後プリンが答えた。


「はい。一度も噛まずに、且つ、息継ぎ無しでよくそこまで言えましたね」


パチパチと拍手をしながらポリー先生が言うと


「…照れる」


枕で顔を隠しながら椅子に座るプリン。


それを見て


((可愛いーーーーー!!))


とか思う女子の皆さんと


(…オレってプリンが弱点なんだ?)


とか思うミント。


「では耐性を、後ろの方の席で隣のイチゴさんといちゃついてるポトフさん、お願いします」


するとポリー先生は教科書に目をやったまま、今度はポトフを指した。


「「!?」」


ポリー先生の言葉に驚いて一斉にポトフの方を向く女子の皆さん。


「…あ…」


「はェ?」


ポトフは赤い髪をした少女・イチゴの肩を抱いていた。


「「そっそんなあ!?」」


衝撃を受ける女子の皆さん。


「あっはっはっ!ごめんごめん…今のは抜け駆けだったかな?」


ポトフはそう言うと、指をパチンと鳴らした。


すると


ポンポンポンポンポンポン


「「!!」」


女子の皆さんの机に、美しい薔薇の花が現れた。


「麗しのレディ達に愛を込めて…」


流し目ポトフくんに


「「きゃーーーー!!」」


ノックアウトする女子の皆さんと


「「…」」


極寒の視線を送る男子の皆さん。


「はいはい分かりましたからいい加減質問に答えて下さい」


どうでも良さそうにポリー先生が言った。


「あっはっはっ!はァい♪」


ポトフはそう言いながら立ち上がると


「っと…炎は氷に耐性があって、氷は地に耐性があって、地は風に耐性があって、風は樹に耐性があって、樹は雷に耐性があって、雷は水に耐性があって、水は炎に耐性があって、光と闇は無属性に耐性があって、これら九つの属性は同属性にも耐性がありまァす♪」


って言った。


「はい。目が痛くなるような説明ありがとうございました」


パチパチと拍手をしながらポリー先生が言うと


「あっはっはっ!どォいたしましてェ♪」


朗らかに笑いながらポトフは席についた。


(ルゥ様に耐性があるのかオレは…)


とか思うミント。


「はい。今二人が答えてくれた事は今後喧嘩売る時に参考にしてみて下さいね。より相手をボコり易くなりますよ」


教科書を閉じたポリー先生が平然と言った。


((教師の言う事ではない))


とか思うウサギさん寮の皆さん。


「ちなみに耐性と言っても相手の方が格上だと普通に喰らってしまうので、自分より格下な相手に狙いを定めるといいでしょう」


平然と続けるポリー先生。


((詰まり、弱い者いじめをしろと?))


とか思うウサギさん寮の皆さん。


「ついでに武器を出現させる魔法は、耐性とか特に関係無く普通に痛いので気を付けて下さいね」


ポリー先生が言うと


((…ミントの魔法の事か))


顔色を悪くするプリンとポトフ。


「余談ですが、この学校の先生達はみんな凄く強いので喧嘩売らないようにしましょうね」


クールに続けるポリー先生。


((なんとなく分かります))


とか思うウサギさん寮の皆さん。


「特にセル先生は見た目通り酷薄なので間違っても喧嘩売っちゃ駄目ですよ」


にこっと笑いながらポリー先生が言った。


((なんとなく分かります))


とかウサギさん寮の皆さんが思っていると


キーンコーンカーンコーン


終業の鐘が鳴った。


「では次の魔物学、頑張って下さいね」


手を振りながらポリー先生が言った。


((うわーいセル先生だ!))









キーンコーンカーンコーン


「では授業を始―…」


セル先生はここまで言うと


「…―どうしたお前ら?」


生徒達が彼から物凄く離れている事に気が付いた。


「「い…いえなんでもございません!!」」


ブンブン首を横に振るウサギさん寮の皆さん。


「…そうか。では今からお前ら全員この洞窟に"ラビちゃん"という魔物を獲りに行ってもらう」


セル先生はそう言うと、指を鳴らして各生徒達に一つずつ籠を配付した。


「「ラビちゃん?!」」


思わず聞き返す皆さん。


「一人五匹だ。終わるまで帰ってくるな」


無視するセル先生。


「せ…先生?」


ココアが恐る恐る手を挙げると


「…なんだ?」


セル先生がこちらを向いた。


「…"ラビちゃん"ってどんな魔物ですか?」


尋ねるココア。


「…"まふー"て鳴くからすぐ分かる」


無表情で答えるセル先生。


((まふー?!))


思わず、でも怖いので心の中で突っ込む皆さん。


「…"ちゃん"は必ずしも要るんですかー?」


恐る恐る尋ねるココア。


「…"ラビちゃん"は"ラビちゃん"だ」


無表情で答えるセル先生。


「「そ…そうですか…」」


黙って頷く皆さん。


「分かったら出発しろ」


「「はっはい!!」」


こうして皆さんは洞窟に入ってゆきました。

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