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学校日和  作者: めろん
55/102

第55回 お誘い日和

あれから数日経って。


「…くぅ…」


自室のベッドの上で気持よく眠るミント。


コンコン


ガチャ


すると、ミントの部屋に跳ねまくった赤髪の男性が入ってきた。


「おーい 起きろミントぉ?」


そしてミントを揺すり起こす男性。


どうやら彼はミントパパのようですね。


「…んむ…」


その声にミントが反応すると


「かっこいいお友達が遊びに来てるぞ?」


ってミントパパが言った。


「…かっこいい友達…?」


目を擦りながらゆっくりと起き上がるミント。


「ああ じゃ俺は仕事行ってくるからな?」


ミントが起きた事を確認すると、ミントパパは箒を呼び出した。


「ふぁい…いってらっしゃ―…」


欠伸をしながら言っている途中で


「ってちょっと待て?!」


ってミントが言った。


「ん?」


ミントパパが小首を傾げると


「なななんで家にいるのさ!?」


ってミントが言った。


「なんでって、此処は俺の家だからに決まってんだろ?」


小首を傾げたまま答えるミントパパ。


「ああ成程そらそうか…じゃなくて!!いつ帰ってきたのさ?!」


ミントが更に尋ねると


「昨日の夜」


って答えるミントパパ。


「ぅええ?!もう旅行終りなの!?」


頭を抱えながらミントが聞くと


「おう あ。」


ミントパパは思い出したように袋を呼び出して


「ホイっ土産」


それをミントに投げてよこした。


「あ…ありがと…」


取り敢えずお礼を言うミント。


「どういたしまして」


ミントパパはそう言うと


「あんま友達待たせんなよ?」


って言って、箒に乗って窓からお城に向かって飛んでゆきました。


「…友達…待たせんな…」


ぼーっとミントパパの言葉を繰り返すミント。


「! まさかオレの友達に接触したのかヤツは!?」


ハッとするミント。


「…最悪…」


ミントはがっくりと肩を落としながら、身支度を始めた。


(…かっこいい友達って…どっちだ?)


とか思いながら。










ガチャ


「お待たせ〜」


身支度を終えたミントが玄関のドアを開けると


「ぐー。」


玄関先でプリンが立ったまま熟睡していた。


「…はは…」


弱く笑いながらプリンの枕を引ったくるミント。


「む。おはようミント」


目を覚ましたプリンがミントから枕を受け取りながら言った。


「うん おはよう」


ミントは挨拶を返すと


「どうしたの?」


ってプリンに尋ねた。


すると


「…旅行」


ってプリンが言って


ス…


「へ?」


ミントに券を差し出した。


「わあ!温泉旅行?!」


その券を見て目を輝かせるミント。


「…ミントと一緒」


枕で顔を隠しながらプリンが言った。


「わ!オレ連れてってくれるのプリン?!」


興奮しながらミントが尋ねると


「うむ。」


コクンと頷くプリン。


「本当?!わあ!ありがとうプリン!!」


にこっと笑いながらミントがお礼を言うと


「…照れる」


再び枕で顔を隠すプリン。


すると


「ふぅん…旅行に行くのミント?」


ミントの背後から声がした。


「うん♪って…え?」


素早く振り向くミント。


「っ!!」


そして瞬時にミントの顔から血の気が引いた。


「ゲヘヘ お土産ぐらい買ってきなさいよ?」


そこには緑色の髪を三本に三編みにした眼鏡をかけた女性が立っていた。


彼女はミントママ。


(オレとしたコトが…!!)


迂濶だった。


ミントの母親は彼の父親と一緒に旅行に行ったのだから、父親が帰ってきたという事は母親も帰ってきたという事になる。


それなのにミントは玄関でプリンと立ち話をしていたのだ。


「ゲヘヘ?」


小首を傾げるプリン。


「みみっ見ないで聞かないで記憶から抹消してプリン?!!!」


顔を真っ青にして頭を抱えながら叫ぶミント。


「…プリン?」


そんなミントの言葉にミントママが反応した。


「…ふぅん」


プリンの前に立って、まじまじとプリンを見るミントママ。


「?」


小首を傾げるプリン。


「ちょっ―…」


ミントが止めにかかろうとした瞬間


「その枕、イカすわね!」


ってミントママが言った。


「??」


更に小首を傾げるプリン。


「聞かないでプリン!!」


顔を真っ青にして頭を抱えながら叫ぶミント。


「ゲヘヘ じゃあせいぜい気ぃ付けて行ってきなさいよ?」


ミントママはミントの肩をポンと叩くと


ぶくぶくーっ


溶けた。


「!??」


突然の出来事に驚くプリン。


「見ないでプリン!!」


顔を真っ青にして頭を抱えながら叫ぶミント。


「み…ミント…」


プリンが言いかけると


「今日ココで会った変人ズを記憶から抹消してプリン!!」


顔を真っ青にして頭を抱えながらミントが叫んだ。


すると


「今の凄い!溶解魔法!」


ミントママが溶けた場所を目を輝かせて見つめながらプリンが言った。


「うんむしろ妖怪だよね」


がっくりと肩を落とすミント。


「ふふふ ぶくぶくーっ」


プリンが微笑みながら言うと


「うわあぁあ や…やめてプリン?」


頭を抱えるミント。


「ミント」


そんなミントに


「旅行、今日」


ってプリンが言った。


「ええええええええ?!」


こうしてミントはプリンと共に温泉旅行に行く事になりました。










街外れのバス停にやって来たミントとプリン。


「…なんつぅ計画性…」


プリンの計画性の無さに頭を抱えるミント。


「♪」


それに対してご機嫌なプリン。


「れ?」


パンフレットを見ていたミントが


「プリン、旅券が一枚余計にあるよ?」


ってプリンに言った。


「あ。本当」


プリンは余分な旅券を受け取ると


「えいっ」


その旅券の上に生肉を乗っけて地面に置いた。


「?」


その行動にミントが首を傾げていると


ズドドドドっ


「生肉ゥゥゥゥゥVVV」


ガブッ!!


「うわお?!ポトフ!?」


どこからともなくポトフがやって来て、素早く生肉にかぶりついた。


「お?ミント…と眠れる獅子…」


口の周りの汚れを拭いながらポトフが言った。


「…仕返のつもりか?」


馬鹿を見るような目でモノを言うプリンと


「…あはは…」


呆れたように笑うミント。


「こんな所で何してんだァ?」


そんなの気にせずにポトフが二人に尋ねる。


「バス待ってるんだよ」


ミントが答えると


「バス?」


小首を傾げるポトフ。


「うん♪今からプリンと旅行行くんだよ♪」


にこっと笑いながらミントが言うと


「っ!!」


衝撃を受けるポトフ。


「そ…そんな…っ」


ガクッ


「ぽ…ポトフ?」


ポトフは膝をついた。


「…そっか…ミントは俺より枕の方が好きなのか…」


そして震える声で呟いた。


「!? 何言って?!」


ミントが聞き返すと


「…そォだよな?俺の方が遅く出てきたしな?枕は初回から出てるもんな?仕方ねェよな?」


肩を震わせながらポトフが言った。


「ちょっ落ち着いてよポトフ?!」


相変わらず涙に弱いミント。


「…楽しんでこいよミント?」


ポトフはゆっくりと立ち上がると


「今まで…楽しかったぜっ!!」


涙を散らしながら走り去っていった。


「ポトフー!?」


ミントが焦っていると


「…お邪魔んぼう」


プリンが口を開いた。


「お邪魔んぼう?!」


透かさず突っ込むミント。


「…なんだよ?」


立ち止まって振り向くポトフ。


「今ので返事しちゃうの?!」


透かさず突っ込むミント。


すると


「…一枚余ってるぞ」


旅券をヒラヒラさせながらプリンが言った。


「なっ?!」


衝撃を受けるポトフと


「! プリン…!」


顔を明るくするミント。


「お…俺も行けるのか?」


信じられないと言う風にポトフが聞き返すと


「…好きにしろ」


そっぽを向きながらプリンが言った。


「! …ミントも…?」


恐る恐る尋ねるポトフに


「もちろんだよ!ポトフも大切なお友達だもん♪」


「っ!」


にこっと笑いながらミントが答えた。


「大好きだミントォ!!」


ガバァ!!


喜色満面でミントに抱きつくポトフ。


「あははっ!」


ミントは笑いながら


(…ポトフって焼き餅やきだったのか…)


とか思っていた。

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