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学校日和  作者: めろん
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第46回 属性魔法日和

「では皆さんにとって第一学年最後の"魔法学"の授業を始めます」


真っ白なマスクをした黒髪のポリー先生が鼻声で言った。


花粉症のようですね。


「皆さんももうすぐ二年生。と、いう事ですので」


ポリー先生は軽く咳払いすると


「属性魔法にステップアップしてみましょう」


って言った。


わぁっ!とざわめき出すウサギさん寮の皆さん。


「わは〜!ついに属性魔法だねプリンっ?」


目を輝かせながらミントが右を向くと


「ぐー。」


「…」


プリンは相変わらず枕に顔を突っ込んで爆睡していた。


「属性魔法は無属性と違い、人それぞれ異なった無限の可能性を秘めています」


ズビズビと辛そうに説明するポリー先生。


「そして属性魔法は無を除いて九つ…プリンさん?」


いつも通り授業を聞きもしないで爆睡しているプリンを指名するポリー先生。


「ぐー。」


いつも通り気が付かないプリン。


「指されてる指されてる」


いつも通りプリンを起こすミント。


「…む?」


折角気持ち良く寝てたのにと不満そうに眠たい目を擦るプリン。


「属性の種類は?」


先生が再び質問した。


「…第4回参照」


答えるプリン。


「楽しないで下さいプリンさん?」


目薬をさしながらポリー先生が言った。


「ぶう…」


プリンはぷーっと膨れると


「…炎、氷、雷、風、樹、水、地、光、闇属性だ」


って言った。


「その通りです」


ティッシュで目を拭きながらポリー先生はそう言うと


「…では今から皆さんに自分の属性が何なのか、試して貰おうと思います。レモンさん?」


「はい」


学級委員長・レモンを名指しした。


「一番初めに属性魔法を実行する場合、まずどのような事をしますか?」


そしてレモンに質問するポリー先生。


「目を瞑ります」


すらりと答えるレモン。


「その通りです。では皆さん、目を瞑って下さい」


ポリー先生が言った。


言われた通り目を瞑るウサギさん寮の皆さん。


「瞑りましたか? では、頭を空っぽの状態にして下さい」


次の指示を出す先生。


頭を空っぽの状態にする…実際やってみると、なかなか難しい事だ。


「そのまっさらな頭に一番最初に現れたイメージや言葉を、そのまま口に出して下さい」


鼻をかみながらポリー先生が言った。


無理しないで下さい。


「「…」」


無言になる教室。


今この教室で聞こえるのはポリー先生が鼻をかむ音と


「ぐー。」


目を瞑っている内に再び眠ってしまったプリンのいびきだけだった。


「起きろ」


「枕!!」


素早くミントに起こされるプリン。


「「…」」


再び教室に沈黙が流れた。


ウサギさん寮の皆さんは目を瞑り、頭の中を空っぽにしようと励んでいる。


そんな時


「…ファイア!」


という声と共に


ボッ!!


小さな火球が現れた。


「「!!」」


驚いて目を開くウサギさん寮の皆さん。


「や…りましたわ!!」


そこには目を輝かせながら自分が焼いてしまったローブを見つめるレモンの姿があった。


「さっすが委員長ー!!」


つられて目を輝かせるお隣さんのココア。


「私だって負けないんだからーっ!」


ココアの声と共に、一斉に目を瞑る皆さん。


すると


「「アクア!」」


「ストーン!」


「アイス!」


「「ボルト!」」


「「ファイア!!」」


ウサギさん寮の皆さんは、次々と属性魔法を出し始めた。


皆さん掴みが早いようで。


「…むむむ…」


まさかこれも出来ないのではないかと焦り始めるミントくんの隣では


「…ぐー。」


プリンがぐうぐうと眠っている。


そんな時


「シャドウエッジ!!」


ってココアの声が聞こえてきた。


じょばっ!!


「きゃあ!?」


次いで聞こえてくるリアルな効果音とレモンの悲鳴。


「わぁ!私、闇属性なんだーっ!!」


自分の属性を知って嬉しそうに跳び跳ねるココア。


「こ…ココア…さ―…」


レモンが口を開くと


「え?なになにー!?もっと見たいのー?」


興奮したココアが聞いてきた。


「はい?!」


驚いて聞き返すレモン。


「いいよー!黒って綺麗だもんねーっ♪」


嬉しすぎて周りが見えていないココアはそう言うと


「シャドウエッジ!!シャドウエッジ!!シャドウエッジ!!シャドウエッジ!!シャドウエッジ!!!」


シャドウエッジ五連弾をレモンにお見舞いした。


「きゃああああああ!?」


影が集まって出来たような鋭い漆黒の刃が、地面から五回続けてレモンを襲う。


「キャハハハハハハ!!」


それを見て楽しそうに笑うココア。


((うん♪ココアは間違いなく闇属性だわ☆))


巻き込まれないように身を引くウサギさん寮の皆さんでした。


「…むむむ…」


目を瞑ってひたすら頭の中を空っぽにしようと励むミント。


そこへ


「ミィントっ!出来たかァ?」


ポトフがやって来た。


「…んーん」


残念そうに首を横に振るミント。


「そっか…頑張れな!」


ポトフはにこっと笑ってミントの肩を優しく叩いた。


「うんっ!」


ポトフの気遣いに感謝しながら、ミントは


「ポトフは出来た?!」


って聞いてみた。


すると


「おゥ!」


にこっと笑って答えるポトフ。


「わぁっ!凄い凄い!やってみてよポトフっ!!」


それを聞いて目を輝かせるミント。


「…大したコトねェぞ?」


ポトフは照れ臭そうに頭を掻くと


「…にんべん」


って唱えた。



・・・




・・・・・・




・・・・・・・・・




(…"にんべん"?)


ミントが疑問符を出した瞬間


ピカーンっ!


「!」


一筋の白い光がミントのすぐ前に落下した。


じゅうぅ…


「?!」


後からした効果音に驚いてミントが下を向くと


「ええ?!」


一部の床が見事に溶けていた。


「…な?」


照れ臭そうに頭を掻くポトフ。


「いやいや全然大したコトですよ?!」


手をぶんぶん振るミント。


すると


「…大いなる大気より産み出されし…」


「「!?」」


いつの間に起きたのか、ミントの隣で寝ていたプリンが口を開いた。


「ココアは闇でポトフは光…プリンは何属性だろう!?」


目を輝かせるミント。


「ってかこいつ詠唱してねェかァ?!」


プリンを見て驚くポトフ。


「? してるね?」


何故ポトフがそんなに驚いているのか分からない御様子のミントが言った。


「属性魔法ってのは"詠唱=でかいの"だぞォ!?」


顔が真っ青になるポトフ。


「ええええええええ?!」


驚いてプリンを見るミント。


「…我らを守る盾となり、我らの仇なす者を滅ぼす矛とならん…」


プリンはまだまだ詠唱していた。


「ちょっとプリン!?」


「落ち着け枕?!」


酷く焦り出すミントとポトフ。


何故ならプリンがよく分からないが格好良い事言ってる気がするから。


「…今、我らは望む…」


詠唱し続けるプリン。


「望まないでー?!」


「つうかいきなり長すぎだぞテメェ!?」


パニック状態のミントとポトフ。


「…吹け…」


ここでプリンは目を開けた。


((来る!!!!!))


肌で危険を感じとったミントとポトフは


「「伏せろォォォ!!」」


って叫んだ。


「「!?」」


ウサギさん寮の皆さんが素早くしゃがんだ瞬間


微風(そよかぜ)


ってプリンが言って


ぱひゅう


パラパラとノートが二ページ捲れるという微弱な風が吹いた。



・・・




・・・・・・




・・・・・・・・・




「…む。僕は風属性か」


プリンが言った。


「「なんだあのショボイ魔法はあああああ!!?」」


憤慨するミントとポトフ。


「む?失礼な。あれは風属性の初級魔法だぞ?」


ぷーと膨れながらプリンが言った。


「「なら無駄に長ェ詠唱すんな!!!!!」」


更に突っ込むミントとポトフ。


何事でも無いと分かって、授業再会。


「むむむ…」


唸るミントを


「頑張れミントォ!!」


「ファイト」


応援するポトフとプリン。


「むむむ…」


多少イラッとしながらも頑張るミント。


「コーラが待ってるぞミントォ!!」


「ファイト」


応援する二人。


「むむむ…」


イライラするミント。


「そろそろ終わりだぞミントォ!!」


「ファイト」


応援する二人。


「むむむ…!?」


ビビッときたミント。


「いくら主人公だからって魔法が使えねェとこの話から消えるぞミントォ!!」


「ファイト」


応援する二人。


するとミントは


「…ローズホイップ!!」


って叫んだ。


シュパンっ


「「!!」」


その瞬間、ミントの左手に先端に真っ赤な薔薇の花が咲いたトゲトゲした鞭が現れた。


「…これが…オレの…!!」


目を輝かせるミント。


「やったなミントォ!!」


「うむ。ミントは樹属性か」


ミントと同じように喜ぶポトフとプリン。


「ありがとプリン!!ポトフ!!…これも二人のお陰だよ!!」


二人にお礼を言いながらにこっと笑うミント。


「あっはっはっ!どォいたしましてェ♪」


「…照れる」


にこっと微笑み返す二人。


「あははっ!さんざん言ってくれたよね?」


笑いながら鞭をしならせるミント。


「「…ん?」」


二人が異変に気付いたときは、もうすでに遅かった。


「成敗♪」


ミントのその言葉の直後、教室にビシーンって音が残り時間いっぱい絶え間無く響きわたりましたとさ。

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