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学校日和  作者: めろん
45/102

第45回 寝言日和

空が白み始めた。


今は、よく泥棒さんが侵入してくる時間帯。


「…む」


目を擦りながら


むくり


と起き上がったプリン。


「…トイレ」


ててて


どうやらトイレに目が覚めたようですね。


「ううぅ…」


プリンがいなくなったベッドの隣で、ミントがうなされていた。


彼は時折


「…ごめんなさいごめんなさい…溶けないで溶けないで…」


とワケが分からない寝言を発している。


ガチャ


「ぷわ…」


おトイレから戻ってきたプリンくん。


「ぁ」


プリンは再びベッドに入る前に、立ち止まった。


「わー!」


そして目を輝かせるプリン。


彼は今、最近気になって気になって仕方ないモノをじーっと見つめている。


それは


「すかーっ」


ポトフ。


「…」


…冗談です。

ごめんなさい。

そんな怖い顔で睨まないで下さい。


はい。やり直します。


プリンくんが見つめているモノは


「すかーっ」


爆睡しているポトフのベッドの隣にあるテーブルの上にちょこんと置いてある


「…ブタさん…」


大きめの可愛らしいブタさんクッション。


ててて


「ふふふ 可愛い」


ブタさんクッションをつんつんするプリン。


彼は大の"可愛いモノ好き"なのでした。


「…何してんだァ?」


「!!」


後ろからポトフの声がしたので慌ててつんつんするのを止めるプリン。


この可愛らしいブタさんクッションは、ポトフの所有物なのでした。


ゆっくりと後ろを向くプリン。


「すかーっ」


「…?」


しかしポトフはまだベッドで爆睡していた。


「寝言…」


安心するプリン。


「あっはっはァ♪」


「?!」


突然笑い始めたポトフを奇異なモノを見るような目で見るプリン。


「やァっぱ鮮血滴る生肉は最っっ高だなァ〜♪♪♪」


「!?」


ポトフの危険な発言に驚くプリン。


「…はァ?何言ってんだよ枕…」


「む?」


ポトフの夢にプリン登場。


「…肉は焼かねェ方が美味いに決まってんだろォ?」


「焼け」


むにゃむにゃ寝言を発し続けるポトフにプリンが言った。


「ミントも食うかァ〜?」


「薦めるな」


夢の中で恐らくミントに生肉を薦めているポトフにプリンが言った。


すると


「…カレーにカタツムリ入れるなって…何回言ったら分かるわけ?」


って眠ったままのミントが言った。


「!?」


生肉の話じゃなかったのかと驚くプリン。


「チッ…またカレーが群青色だよ…」


眠ったまま舌打ちするミント。


「み…ミント?!」


ミントが舌打ちしたので驚くプリン。


「いやいや…この色が美味いんだってェ〜♪」


「!?」


群青色のカレーをご所望のポトフに驚くプリン。


「…はぁ?…なら…お前が全部食えよコレ」


寝返りを打ってそっぽを向くミント。


「マジかァ!?」


「やめておけ」


顔を輝かせるポトフにプリンが言った。


「…はァ? 枕も食いてェのかァ?」


「そんなワケないだろう」


寝返りを打ちながらポトフが発した寝言に返事をするプリン。


「あっはっはっ!テメェなんかにやらねェよ〜だァ♪コレ全部俺が食う!!!」


「チャレンジャーだな」


一人で群青色のカレーに挑むポトフに珍しく感心するプリン。


「ふぁ…」


「!」


その時、ミントがむくりと起き上がった。


「…あれ?おはよプリン…今日は早いねぇ〜?」


欠伸をしながらミントが言った。


「う…うむ…おはよう」


ミントに挨拶したプリンは


「ミント…どんな夢見てた?」


って聞いてみた。


「? どんな…て…」


ミントは伸びをしながら先程まで見ていた夢を思い返す。


が、


「…ごめん 憶えてないやぁ〜」


ってミントが言った。


「そ…そうか」


少し残念そうな顔をするプリン。


「? 夢がどうしたの?」


帽子を被りながらミントが聞いた。


「先程までミントとこいつが寝言で会話を―…」


プリンが返答している途中で


「いっただきまァす♪」


がぶり♪


「「!?」」


ポトフが突然立ち上がってプリンの頭に噛みついた。


「なっ何をする貴様?!」


「ちょっとポトフ!?何やって―…」


慌ててポトフを引き離そうとするプリンとミント。


「…ふ〜?こっこかふァふへェへは〜?」


ワケが分からない言葉を発しながら


がじがじがじ


噛みまくるポトフ。


ぴゅー


「わー!?」


「プリンーっ?!」


頭からの出血に焦るプリンとミント。


「ひはひふひほふァふァひふふァふァらはァ〜」


がじがじがじ


噛み続けるポトフ。


ぴゅー


「わー?!」


大出血。


「プププププププリン!!早く早くポトフをテレポートテレポートだよっ!!」


酷く焦りながらミントが叫んだ。


「う…うむ!テレポ―…」


プリンが言いかけると


「ぺぺっ…不味ィ」


って言いながらポトフがプリンの頭から離れた。


「…すかーっ」


「「…」」


再びベッドで眠りだしたポトフを無表情で見るミントとプリン。


「…ん?」


しばらくすると、ポトフが目を覚ました。


「くァ〜…よく寝たァ〜」


気持ち良さそうに伸びをしながら起き上がるポトフ。


「…? そんな何してんだお前ら?」


無表情でこちらを見つめているミントとプリンに小首を傾げるポトフ。


「…ポトフ…」


ミントが口を開きかけると


「枕…醤油かけてもお前はウニ味にはならねェぞ?」


真剣な顔で気の毒そうにポトフがプリンに言った。




・・・




・・・・・・




・・・・・・・・・









プッチン♪









「「っ!!!」」


懐かしい音がしたので急激に青ざめるミントとポトフ。


スッ…


「…選ばせてやろう」


頭からドクドクと血を流しているプリンがポトフに右手を向けた。


「な…にをでしょう…?」


恐る恐る聞き返すポトフ。


「天国と地獄、どっちに逝きたい?」


「「っ!!」」


完全にキレているプリンの声に恐怖で全身がガクガク震えだすミントとポトフ。


「…どちらも嫌なら…」


そんなポトフを見てぶっちギレたプリンは










「このブタさん頂戴?」










ってブタさんクッションを抱えながら言った。



・・・




・・・・・・




・・・・・・・・・




「…え?あ、はい?」


ワケが分からないが取り合えず首を縦に振るポトフ。


「本当っ!?」


ぱあっと目を輝かせるプリン。


「え?…ええ…」


再び頷くポトフ。


「わーい♪ブタさんブタさんっ!!」


するとプリンは、先程とは別人のように無邪気に笑いながら自分のベッドへと戻っていった。


「…ぐー。」


そしてすぐさま眠り始めるプリン。


「「…」」


「…よかったねポトフ?」


「お…おゥ…」


状況がいまいちよく把握できないミントとポトフをしり目に


「ぐー。」


プリンはブタさんクッションを抱き締めて気持ち良さそうにぐうぐうと眠っている。


「…」


(そんなに嬉しいのか…♪)


そんなプリンを見て、なんか照れるポトフでした。


「ってかまだ血ぃ出てるよプリン?」


言ってないで、止めてあげましょうねミントくん?

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