表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校日和  作者: めろん
33/102

第33回 節分日和

たまには学校の外にお出掛けしてみるのもよろしいんじゃないでしょうか?


「うっはァ〜!すっげェ人の数!!」


ポトフが目を輝かせながら言った。


此処は学校から遠く離れた所にある"王都"。


今日はみんなでお外にお出掛けです。


「…田舎者丸出しだな」


そんなポトフを見て、鼻で笑うプリン。


「ァんだと?」


ちょっぴり顔が赤くなるポトフくん。


「あははっ!ポトフは王都来たの初めてなの?」


プリンとポトフの間を歩いてたミントが微笑みながら尋ねる。


「…一応」


ボソッと答えるポトフ。


「そっか! プリンは?」


今度は左斜め上を向きながらミントが尋ねる。


「うむ。僕も初めて来た」


枕を抱え直しながらプリンが答えた。


「そっか!二人とも初めて此処に来たんだね?」


そう言った後ミントは


ぱしっ


「「?」」


プリンとポトフの腕を掴み


「じゃあオレが案内したげるっ!!」


って言って走り出した。


「わ!」


ミントが突然走り出したので前のめりになるプリン。


「? ミントはよく此処に来るのかァ?」


その隣でポトフがミントに尋ねた。


「あれ?言ってなかったっけ?」


するとミントは走りながら


「オレ、此処出身だよ?」


って微笑みながら答えた。


「「へ?!」」


それを聞いて、プリンとポトフが驚いたので


「…言ってなかったみたいだね?あはは!」


笑いながらミントは二人を引っ張りながら大通りを駆け抜けていった。










「…とまぁこんな感じかな?」


大きな国立公園の前でミントが言った。


「はァー!王都にはいろんなもんがあるんだなァ!」


一通り王都を見て回れたので感動するポトフ。


「み…ミント速い…」


その隣で中腰になりながら下を向き、息切れを起こしているプリンが言った。


「あっはっはっ!体力ねェなァ〜?」


そんなプリンを見て笑うポトフ。


「黙れ田舎者」


下を向いたままプリンが言った。


「…街なかを枕持って歩き回るお前よりかは、俺はまともだと思うがなァ?」


強気に言い返すポトフ。


「…僕を侮辱する気か?」


「おォ?喜んでしてやらァ」


火花を散らすプリンとポトフ。


「あはは…まぁ確かに王都は広いからね」


その様子を隣で見ていたミントが言った。


「じゃあちょっと休憩しよっか?」


そして向かい側に立っているレストランを指さしながら言った。


「「はーい」」










「ごっ…ご注文はお決まりになりましたかぁ?」


ミント達のテーブルにやって来たウエイトレスさんが顔を赤くしながら聞いてきた。


「プリン」


「ポトフ」


「…コーラ」


ミント達が言った。


「かっかしこまりましたぁ♪」


そう言うと、ウエイトレスさんは幸せそうに厨房の方に消えていった。


「…何二人して自分の名前のヤツ頼んでんのさ?」


コーラを頼んだミントが言った。


「僕はプリン(食べ物)が大好きだ」


プリン(食べ物)を頼んだプリン(人)が言った。


「あっはっはっ!俺もポトフ(食べ物)が大好きだぜェ?ミント(人)も頼めば良かったじゃねェか?」


ポトフ(食べ物)を頼んだポトフ(人)が言った。


「…ミント(植物)を?」


呆れながらポトフ(人)に聞き返すミント(人)。


「…ん?ミント(植物)って食えるのかァ?」


小首を傾げるポトフ(人)。


「ミント(植物)ならプリン(食べ物)についてくるだろう?」


その隣でプリン(人)が言った。


「…カッコ書き多すぎてワケ分かんないからもうやめよう?」


ミント(人)が言った。


「「…うん」」










商店街にやって来た三人。


「そォ言えばミント?」


ポトフが辺りを見回しながらミントに話しかけた。


「何?」


ミントが振り向くと


「なんで鬼の格好したヤツがいるんだァ?」


ってポトフが言った。


「へ?今日が節分だからでしょ」


レジのおばあちゃんにお金を払いながら、ミントが答えた。


「「節分?」」


小首を傾げるプリンとポトフ。


「ええ!?二人とも節分知らないの!?」


その反応に驚くミント。


すると


「節分はのぉ〜立春の前日の日の事でのぉ〜この副豆を撒いてのぉ〜鬼退治をするんじゃよぉ〜」


ってレジのおばあちゃんがミントに袋を渡しながら言った。


「「ほ〜」」


その説明で節分を少しだけ理解したご様子の二人。


「はい、これおまけじゃよ!」


するとおばあちゃんはミントに副豆と…三角錘?を渡した。


「…え?」


ミントは驚いたようにおばあちゃんを見ると


「コーラを十本買ってくれたお礼じゃよぉ〜」


って言って、おばあちゃんはミントに投げキッスをした。


「…ははは…ども…」


引きつってますよミントくん?









再び国立公園にやって来た三人。


「…なんだァ?この三角錘?」


ブランコに乗りながら、先程貰った十センチ程の三角錘の物質を眺めて呟くポトフ。


「ちょっとそれ貸してポトフ?」


ベンチの背もたれに寄りかかっていたミントが言った。


「ぐー。」


そのベンチにはプリンが座ったまま眠っている。


「ほいっ」


持っていた三角錘をミントに投げるポトフ。


ぱしっ


と三角錘を受け止めたミントは


「もしかして…」


って呟いた。


「?」


すたっ


ミントの言葉が気になって、ブランコから飛び降りるポトフ。


「…こうするんじゃないかな?」


ミントはそう言うと


「えいっ」


ポムッ


と横で眠っているプリンの頭の天辺に三角錘を乗せた。


「「…」」


「ぐー。」


「「…ぶっ!」」


頭に角が生えたプリンを見て噴き出すミントとポトフ。


ぱちっ


「…む?」


目を覚ますプリン。

彼が目を覚まして一番最初に視界に入ったものは、


「あははははははっ!!」


お腹を抱えて笑うミントと


「あっはっはっ!!だっせェ〜!!」


プリンを指さして笑うポトフ。


「…」


こんな状況を見て面白くなる人間が何処にいようか。


プリンは当然のごとく不機嫌な顔になった。


その時プリンは


「?」


隣にたっている銀色の時計の柱に、自分の姿が映っていることに気が付いた。


「…!?」


そして彼は、自分の頭に角が生えてる事に気が付いた。


その姿はとっても


「ヤー!!」


だった。


すぐさま自分の頭に生えた角を取ろうとするプリン。


ぐぐっ


「…?」


ぐぐぐっ


「!?」


ぐぐぐぐぐぐっ


「取れない!?」


この上なく焦るプリン。


彼の頭に生えた角は、どんなに引っ張っても取れなかった。


「…え!?嘘?!」


状況を把握したミントが慌てて加勢に入った。


ぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ


それでも角は抜けません。


「え!?ちょっ嘘ぉ!?」


「ヤー!!」


この上なく焦るミントとプリン。


「ったく…何やってんだよ?」


それを見兼ねたポトフも加勢に入る。


ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ


まだまだ角は抜けません。


「ホントごめんプリンーーーーーーーーっ!!!?」


「ミントの馬鹿ーーーーーーーーーーーっ!!!!」


ミントとプリンが泣きながら叫んでいると


「…あ」


ポトフが何か閃いたように


「あっはっはっ!そうかそうか!!」


って言った。


「「?」」


ポトフを見るミントとプリン。


「…馬鹿だなお前らァ?最初からこうすればよかったんだぜェ?」


そう言いながらプリンの角に手を伸ばすポトフ。


そして










プッチン♪










「な?」


「「…」」


ポトフがプリンの角を軽く押すと、プリンの角はプッチンと音を立ててとれた。



・・・




プッチンと音を立てて




・・・・・・




プリンの角が




・・・・・・・・・




とれた?




・・・・・・・・・




「「…ぶはっ!!」」


再び噴き出すミントとポトフ。


すると










プッチン♪










「…」


「「!!」」


プリンの中から何か良からぬモノが切れた音がした。


「…ふふふ」


邪悪に笑うプリン。


「どうやら死にたいようだな貴様ら?」


プリンがそう言うと


ぶわっ


「「っ?!」」


プリンはドス黒いオーラに包まれた。


「ぷぷぷプリン?!」


「おっ落ち着け枕ァ!?」


二人がそう言い終わるや否や


「ハンドルマター!!!」


ってプリンが叫び


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ


って副豆がミントとポトフめがけて放たれた。



節分に、本物の鬼、降臨。



「「ぎゃああああああああああああああ!!!?」」


福は内!

今年も皆様が健やかに過ごせますように☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ