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学校日和  作者: めろん
32/102

第32回 本音日和

カーテンの隙間から溢れる日の光が、一日の始まりを皆に知らせる。


「っふあ…」


ミントは欠伸をしながら起き上がった。


「…朝か…」


ベッドから起き上がりカーテンを開けるミント。


抑えられていた朝日が部屋中に広がる。


「んー…もォ朝かァ?」


するとポトフが伸びをしながら起き上がった。


「あ、おはようポトフ」


ミントが振り向いて挨拶をした。


「…おぱよォミントォ」


挨拶しながら欠伸をするポトフ。


「? 何洗濯バサミなんかつけてるの?」


ポトフを見ながらミントが言った。


「はェ?」


ポトフが小首を傾げた瞬間


ぴいんっ


「っァ!!!!!!!?」


鼻に挟んであった洗濯バサミが飛び、声にならない悲鳴をあげるポトフ。


「っ!!っ!!」


鼻を押さえて悶え苦しむポトフ。


「だ、大丈夫ポトフ!?」


ミントが駆け寄ると


「ヒール!!」


ってポトフが言った。


ぷわっ


するとたちまち鼻の痛みが消えた。


「くっそ…枕ァ!!!」


そしてポトフがプリンに怒鳴った。


「ぐー。」


気持ち良さそうに眠り続けるプリン。


「〜っ!!」


ポトフが悔しそうに立ち上がると


「はいはいはいはい!ほら顔洗って来なよポトフ?」


ポトフにタオルを押し付けながらミントが言った。


「…おう」


タオルを受け取ると、ポトフはお風呂場にある洗面台へと歩いていき


ガチョン


と鍵をかけた。


「…」


いつもポトフは顔を洗いに行くときはお風呂場に鍵をかけるのでした。


(そんなに眼帯とったとこ見られたくないのかな?)


そんな事を思いながらプリンのベッドに移動するミント。


「ぐー。」


プリンは枕を抱き締めながらぐっすり眠っている。


(…枕の使い方間違ってないか?)


とか思いながら


「とう!」


ひょいっ


プリンの枕を引ったくるミント。


ガバッ!


「枕!!」


飛び起きるプリン。


「おはようプリン」


挨拶しながら枕を返すミント。


「うむ。おはよう」


そう言いながら、プリンは杖を振った。


シュパンっ


するとたちまちプリンの着替が終了した。

急いでる朝にとっても便利な"お着替魔法"です。


「ぷわ…ねむねむ」


「もー!さっき起きたばっかりでしょー!?」


ミントが呆れていると


ガチャ


「終わったぜミントォ?」


ポトフがお風呂場から出てきた。


「!」


そしてプリンが起きたのを気付くなり


「テメェ俺の鼻に洗濯バサミつけて何がしてェんだよ!?」


ポトフが怒鳴った。


「む?何の事だ?」


小首を傾げるプリン。


「しらばっくれんじゃねェよ?!俺が寝てる間に洗濯バサミつけたのテメェだろォ!?」


ポトフが言うと


「…ああそれか」


思い出したようにプリンが言った。


「…やっぱりテメェじゃねェか?」


ポトフが言うと


「ミントがそんな事をするワケ無いだろう?」


プリンが言い返した。


「当たり前だァ!!つうか何の為に洗濯バサミつけたんだよ!?」


ポトフが言った。


ミントは二人に厚く信頼されてるようですね。


「…知るか」


プリンがそっぽを向きながら言った。


「知れよ!?」


ポトフが突っ込むと


「はいはいはいはい!次はプリンの番だよ?」


お風呂場から出てきたミントが言った。


「うむ」


ミントの言うことは素直に利くプリンでした。










ギィッ


食堂にやって来たミントとプリンとポトフ。


「「おはようプリンくんにポトフくんっ!!」」


すると女の子達が群がってきた。


「…はあ」


溜め息をついてその場を離れるミントを


「まっ待ってミントっ!」


追い掛けるプリン。


「そう言えば…プリンは女子からお弁当貰ったりしないの?」


追い掛けてきたプリンにミントが尋ねた。


「僕は奴と違って食費に困っていないからな」


その質問にこう答えるプリン。


「食費…とかの問題なの?」


「ふふふ」


そんな会話をしている所に


「おっはよーミントー!プリンー!」


ココアがやって来た。


「うむ。おはよう」


「おはようココア」


てな流れでテーブルに着く三人。


「ありがとォミルクちゃん?」


お弁当をくれた女の子、ミルクちゃんの手の甲にキスをするポトフ。


「はわっ…!あっありがとうございますぅ〜…☆」


この上なく幸せそうな顔をするミルクちゃん。


「「私も私も〜!!」」


「あっはっはっ!愛してるぜェみんなァ?」


「「キャーーーーっ☆」」


エキサイトする女の子達。


「…元気だねー?」


その様子を見てココアが言った。


「本当にね」


呆れながらトーストを頬張るミント。


「ふふ…食費が浮いて助かるな?」


パンケーキを食べていたプリンが言った。


((…食費の問題なの?))


「ぷわ…ねむねむ」


欠伸をするプリン。


「それにしても今日は寒いねー?」


ココアが言うと


「うんそだね」


ミントが頷いた。

すると


「ミントきゅ〜ん!!!」


「!? チロル!?」


何処からともなく保健委員長のチロルが現れた。


「寒いんでしょ!?アタイの愛でミントきゅんを暖めてあげるっ!!」


チロルが両手を広げながら言った。


「遠慮しときます!!?」


すぐさまその場から逃げ出すミント。


「やあん!シャイなんだからぁ!!待ってぇ〜〜!!アタイのミントきゅ〜〜ん!!」


素晴らしい瞬発力でミントを追い始めるチロル。


「ぎゃああああああ!?」


「ミントきゅ〜〜ん!!」


そして二人はやがて見えなくなった。










ガチャ


夜。

ミントが部屋のドアを開けると


「一発殴られねェと分かんねェみてェだな?」


「貴様の攻撃が僕に届くと思っているのか?」


ポトフとプリンが喧嘩をしていました。


「ホンっっっっっっっっト仲良いね君ら?」


ミントが言った。


「「!!」」


ミントに気付き、青ざめるプリンとポトフ。


「約束ってさあ…」


そんな二人にミントが


「…守る為にあるんだよねぇ?」


って言った次の瞬間


ドンッ!!


バンッ!!


ミントがプリンとポトフを部屋から締め出した。


「待て待てミント!?」


ポトフが慌ててドア越しでミントに話しかけた。


『…仲直りすれば入れたげるよ?』


ミントはそう言うと


ガチョン


と鍵をかけた。


「えええ?!」


焦るポトフに


「貴様のせいだな」


ってプリンが言った。


「…はァ?」


プリンに向き直るポトフ。


「毎回毎回貴様がふっかけてくるから悪い」


プリンが言った。


「んだと?テメェがそういう状況つくってんだろ?」


ポトフが言い返す。


「…やるか?」


「上等ォ…!!」


睨み合い、火花を散らす二人。


『…はぁ』


ガチャ


溜め息をついた後、ミントがドアを開けた。


「プリン?ポトフ?」


二人の名前を呼ぶミント。


「「?」」


ミントの方を向く二人。

その瞬間


「とう!」


「「っ!?」」


ミントが二人の口の中にクッキーを詰め込んだ。


「…心友クッキーバージョン2〜本当の気持ち〜…」


そしてミントが言った。


「中に入っていいよ?」


力なく頭を垂らしているプリンとポトフの腕を引っ張って部屋に入るミント。


パタン


ミントがドアを閉めると同時に


「すまねェプリン…!!」


ポトフがプリンに抱きついた。


(なっ!?何やってんだ俺はァ?!!!)


しかしそれに一番驚いているのはポトフ自身。


「いいんだポトフ…全ては僕のせいだ」


プリンが言った。


(く…口が勝手に!?)


しかしそれに一番驚いているのはプリン自身。


「でも俺っ…心にも思ってないような酷い事を散々言って…プリンを傷付けて…!!」


勝手に動く口に顔を真っ赤にするポトフ。


「僕もだポトフ…本当はただ仲良くしたいだけなのにっ!!」


同じように顔を真っ赤にするプリン。


そう。"心友クッキーバージョン2"は自分の意思とは関係なく"本当の気持ち"を相手に伝えてしまう、とっても危険な代物なのだ。


(面白いなぁ〜♪)


そう思いながら、黙って二人の会話を聞くミント。


「…初対面の時から酷い事言ってごめんポトフ…何故か初対面って気がしなくて恥ずかしかったんだ…」


何より今が恥ずかしいプリン。


「いいんだポトフ…俺も…プリンを昔から知ってるような…そんな気がする…」


なんとも言えない表情をするポトフ。


「…こんな僕を許して欲しい…」


プリンが言った。


「…許して欲しいのは俺の方だ…」


ポトフが返す。


「プリン…」


「ポトフ…」


名前を呼び合った後、二人同時に


「「大―…っ嫌いだあああああああああ!!!!」」


クッキーの効果が切れてしまったようですね。


物凄い勢いでお互いを突き飛ばすポトフとプリン。


「はぁ…はぁ…」


「ぜェ…ぜェ…」


あと少しでとんでもない事を言うところだったので、顔を真っ赤にしながら息切れする二人。


「「…ミント?」」


ゆっくりとミントを向く二人。


「なっ…なぁに?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ってなんかヤバイ効果音が聞こえるので思わず後退りするミント。


「「いっぺん死んでみよっか?」」


鬼の形相。


「ごめんなさああああああああああい!!!!!!」


「「謝って済むかあああああああああ!!!!!」」


何事にも、限度ってものをよく考えて行動しましょうね。


「…ハモるな気色悪い」


「んだとォ?」



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