第30回 雪玉日和
雪が降ったらお外に集合!
「うっはァ〜!雪が積もってるぞミントォ!!」
肌寒い朝、カーテンを開けたポトフが言った。
外には日の光を浴びてより白く眩しく輝く白銀の雪。
「本当らね〜」
歯磨きをしていたミントが言った。
「なァ外行こうぜミントォ!!」
目を輝かせながらポトフが言った。
「ふえ〜?今日はデートの予定は無いの〜?」
シャコシャコと歯を磨きながらミントが尋ねた。
ポトフは毎週休日になると決まって女子(複数)とデートをしていたから。
「やだなァミントォ…それじゃ俺がタラシみたいに聞こえるじゃねェか?」
ミントに帽子を被せながらポトフが言った。
「うんまあそう言ってるんだけど」
ぶくぶく
「あっはっはっ!…いくら俺がイケメンだからって、いつもレディ達とデートしてるワケじゃねェぜェ?」
そう言いながらプリンのベッドを引っくり返すポトフ。
ドカッ!!
「ふみゅ?!」
気持よく眠っていたプリンがベッドの下敷きになった。
「き…貴様何のつもりだっ!」
プリンがベッドの下からポトフに言った。
「あっはっはっ!いつまでも寝てるからだァ!!」
ポトフが言い返すと
シュパン
ドカーーーーーーーーーン
「ぐはァ?!」
ポトフの上からプリンのベッドが降ってきた。
ベッドの下敷きになるポトフ。
「邪魔するな。僕は眠いんだ」
もふっ
とポトフが下敷きになっているベッドの上で布団を被るプリン。
「ふ…ざ…け…んなァ…」
かなり苦しそうなポトフ。
「…何してんのさ?」
そこへ歯磨きが終わったミントがやってきた。
「み…んと…ォ…」
ベッドの下から見える手はちょっぴりホラーです。
「はあ…ほらプリン起きて?」
ミントがプリンを揺すりながら言った。
「むー…あと五時間…」
布団にくるまりながらプリンが言った。
「どんだけ寝る気だよ?」
小さく溜め息をついたミントが
「…ほら、ポトフが一緒に遊ぼうだって」
って言った。
「ふごォっ?!」
ベッドの下にいるポトフが激しく反応した。
「なっ…何言って―…」
「いいから黙る」
ふみっ
「っ!!!!」
ベッドの下から出ていた手をミントに踏まれ、声にならない悲鳴をあげるポトフ。
「…ね?ポトフはプリンと一緒に雪で遊びたいんだって」
ミントが言った。
「むー…」
布団の中でもぞもぞするプリン。
「…」
プリンの返事をドキドキしながらベッドの下で待つポトフ。
「…寒いからヤ」
・・・
・・・・・・
「喧嘩売ってんのかァ!?」
ドカーーーーーーーーーン
「ふみゅ?!」
ベッドの下からベッドを倒したポトフ。
「いいかァ?!グランドで待ってるからな!!」
バシィンっ!!
ポトフはプリンを指さしてそう言った後、勢いよく部屋から出ていった。
「な…なんなんだ?」
プリンが起き上がりながら言うと
「あははっ!面白いな〜」
ミントが笑った。
「む?」
プリンが小首を傾げると
「ほらっ!早く行かなきゃポトフが凍えちゃうよ?」
ミントが言った。
「良い案だな」
プリンが不敵に笑いながら言った。
「馬鹿言ってないで行くよ?」
そう言ってプリンの腕を引っ張るミント。
「むー寒いからヤー!」
「だだこねないの!!」
「ヤー!」
「マフラーと手袋と帽子があればなんとかなるでしょ〜?」
嫌がるプリンを引っ張りながらミントが言うと
「む?…あいつ忘れてってる」
「え?」
グランドにやってきたポトフ。
「うっはァ〜!白〜!!」
昨夜の雪が降り積もり、今やグランドは見渡す限りの白銀の雪景色。
「て寒っ!!」
ここにきて突然寒がるポトフ。
「うわマフラーとか置いてきて―…」
白い息を吐きながらポトフが言うと
ぽさっ
「!」
毛糸の帽子とマフラーと手袋がポトフの前に落ちた。
「これ…俺の…」
目の前に落下した防寒具をポトフが拾い上げると
「忘れ物だ馬鹿」
後ろからプリンの声が聞こえてきた。
「!」
驚いて振り向くポトフ。
「おっ…お前が持ってきてくれたのか…?」
ポトフが尋ねると
「迷惑な勘違いだな…ミントが持ってきてくれたに決まっているだろう?」
プリンが言った。
「あはは…まあそういう事にしといてあげるよ」
その隣にいたミントが言うと
ぼふっ
「ぴわっ?!」
プリンの顔面に雪玉が直撃した。
「あっはっはっ!様ァみろォ!!」
しっかりプリンが持ってきてくれた防寒具を身に纏ったポトフが笑いながら言った。
「き…貴様―…」
ぼふっ
「ぷゆっ!?」
今度はプリンの横から雪玉が飛んできた。
「あははっ!みんなで雪合戦だよっ!!」
横からプリンに雪を投げたミントが言うと
「雪合戦?」
プリンが小首を傾げた。
「ええっ?知らないのプリン?!」
ミントが驚いたように
「雪玉を相手にぶつけてその間抜け面を楽しむ競技だよ!?」
って説明した。
「何残酷なコト言ってんだミントォ?!」
先程の説明に少々疑問を感じたポトフが突っ込んだ。
「ふむ。成程」
プリンが枕を左手に預け、右手をポトフに向けた。
「…雪戦争の事か」
そう言ってプリンが邪悪に微笑むと
ドドドドドドドドドドドッ
「「!」」
無数の雪玉が宙に浮き、マシンガンのようにポトフにめがけて物凄い勢いで放たれた。
「うはァ?!」
死ぬ気でそれらを避けるポトフ。
「っどうなってるの?!」
ミントが目を輝かせながらプリンに尋ねた。
「…物質操縦魔法」
するとプリンは、今度はミントに右手を向けながら
「ハンドルマター!」
って言った。
ドドドドドドドドドドドッ
「うわぁ?!」
なんとか避けきったミント。
「プリン?!」
ミントが言うと
「ふふふ…仕返し」
プリンが邪悪に微笑んだ。
ドドドドドドドドドドドッ
「ぎゃあああああ!!?」
「ミントォ!!」
すっ
「他人の心配とは余裕だな?」
右手をポトフに向けるプリン。
「っ!」
ドドドドドドドドドドドッ
「何キャラだァァ?!!」
雪玉をかわしながらポトフが叫ぶと
「ポトフ!こっちだよ!」
いつの間にか雪で堤防を作ったミントが言った。
「おっおう!」
急いでそこに逃げ込むポトフ。
「…どうしよう?」
ミントがプリンの様子を窺いながらポトフに尋ねた。
「どうするもこうするも…効果音的にアレに当たったらまずいよなァ…」
プリンが無方向に乱射している雪玉を見ながらポトフが言った。
「地道に抵抗するしかないか〜…」
そう言って雪玉を作り始めるミント。
「おォ!あんなヤツに負けてたまるかァ!」
続いてポトフも雪玉を作り始めた。
ぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっ
ずぶっ
「?」
最後に余計な音が聞こえたのでポトフの方を向くミント。
「…ポトフ?」
ポトフは雪玉の中に指で何かを埋め込んでいた。
「ん〜?」
顔をあげるポトフ。
「まさかでも…石とか入れてないよね?」
ミントが言った。
「あっはっはっ!んなまさかァ〜!」
ポトフが笑いながら手を振った。
「じゃあ入れてんのさ?」
雪玉に突っ込まれたポトフの指を見てミントが尋ねると
「梅干し」
ポトフが答えた。
「なにゆえ?!」
ミントが突っ込むと
「なんかほら…おにぎりみたいじゃん?」
ってポトフが言った。
「いや全然みたいじゃな…って三角ぅ?!」
ポトフの雪玉は、綺麗に三角形になっていた。
「な?!おにぎりっぽいじゃん?!」
ポトフが言うと
「確かにぽいケド作るのに時間がかかるからよしなさい」
ミントが言った。
「えェ?ミントはノリが悪ィなァ〜」
しぶしぶ普通の雪玉を作り始めるポトフ。
そうして二人の周りに雪玉の山が出来上がった。
「…これだけあれば十分だよねっ!?」
ミントが言った。
「よォし!戦闘開始だァ!!」
そう言ってポトフが立ち上がり、堤防から顔を出した。
「ふふふ…そんな所にいたのか」
ポトフに気付いたプリンが右手を向けながら言った。
「あっはっはっ!こっちにはこォんなに雪玉があるんだぜェ?」
って言って堤防を蹴散らすポトフ。
すると雪玉の山が現れた。
「負けないよプリンっ!」
ポトフの隣でミントも言った。
そして雪玉をプリンに投げ始める二人。
「ふふ…ハンドルマター」
プリンが不敵に笑いながら呟いた。
ふわり
「「!」」
すると無数の
「「ええ?!」」
ミントとポトフの周りにあった雪玉達が浮いた。
宙に浮いた雪玉はゆっくりと二人に狙いを定め
ドドドドドドドドドドドッ
二人に向かって放たれた。
「裏切り物ォォォォ!!」
って雪玉に叫ぶポトフと
「てぇか卑怯ぉぉぉ!!」
ってプリンに叫ぶミントに
「ふふ…それが戦争というものだ」
ってプリンが言った。
「「ぎゃああああ!!」」
やっぱりみんな仲良し!が一番ですネ!




