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学校日和  作者: めろん
3/102

第3回 組分け日和

広い大広間にぞくぞくとズタボロの一年生が入ってきた。


「わー…いったそー…」


ココアが同情しながら呟いた。


「うむ。血だらけだな」


「プリンがいてよかったぁ…」


ミントがしみじみと言った。


「…照れる」


枕で顔を隠すプリン。


『これで全員だねー!!』


紫色の髪をした先生がマイクを使って言った。


『では、校長先生のお話があります!』


そう言って皆を静かにさせたあと、先生は台を降りた。


『えー…ゲフンゲフン』


代わってヨボヨボの老人が台にあがった。


「…あの人が校長?」


ミントが言った。


「うんそーみたいっ」


ココアが答えた。


「ヨボヨボしてる」


プリンがそう言うと、


「ぐー。」


寝た。


「あららー…また寝ちゃったわ」


「よく寝るね〜」


「ぐー。」


スヤスヤと眠るプリンを二人が和みながら見ていると


『ハヒッ!そーゆーことなので、学校生活をたのひんでくらはいねっ!』


校長先生が話を終わらせた。

一斉に生徒達から拍手が起こる。


「あちゃ〜…全然聞いてなかった」


ミントが言った。


「大丈夫よー!どうせろくなコト言ってないでしょ?」


ココアが返した。


「…何気酷いコト言うねココア?」


『次はお待ちかね!組分けだよ〜!!』


紫髪の先生が言った。

その瞬間、辺りが静まりかえる。


『組分けは、皆さんの到着状況によって既に決まってます!では、皆さんにその紙を送りますねっ!』


先生がパチンッと指を鳴らすと


ぱふっ


「「!」」


それぞれの生徒の目の前に白い紙が現れた。


『確認したら、席を移動して下さいね!!』


紙を確認するミント。


「…は?!」


ミントの紙にはウサギが描かれていた。しかも、お世辞でも上手いとは言えない絵で。


「な、何コレ?!」


ミントが言うと


「わー!同じクラスじゃんミントー!!」


ココアがはしゃいだ。


「む。ウサギさんだ」


目を覚ましたプリンが言った。


「きゃー!プリンも?!よかったー嬉しー!!」


ココアがピョンピョン飛び跳ねながら言った。


『では、移動してね!向かって右側から』


先生が右側を指差した。


『ウサギさん寮に、おサルさん寮、ヘビさん寮と、ヒヨコさん寮だよ〜!!』


生徒がいそいそと移動を始めた。


(いいのかこれで…?)


なにか釈然としないものを感じながらミントはココアとプリンと一緒に右側へと移動した。


『終わりましたかー?では先生の紹介に入りまーす』


紫髪の先生が言った。


『右側から、ポリー先生』


黒髪の女性が軽く会釈した。


『そしてケア先生』


黄緑色の髪をした男性が微笑み一年生にかけた。


『ヒヨコさん寮担当のフェイ先生』


ブロンドに輝く髪をした男性も微笑んだ。


『ピット先生』


金髪の男性が深くお辞儀した。


『エル先生』


オレンジ色の髪の男性が面倒臭そうに頭を軽く下げる。


『おサルさん寮担当のベル先生』


桃色の髪をした色気ムンムンの女性が手を振った。


『ヘビさん寮担当のセル先生』


セル先生と呼ばれた銀髪の男性は特に動かなかった。


『…と、今居るのはこれくらいかな…?』


紫色の先生が紙を確認しながら言った。


『…最後に、わたしはウサギさん寮担当のクー先生だよ!!』


紹介が一通り終わると


『じゃあさっき紹介した寮担当の先生の指示にしたがって寮に移動してね!』


クー先生が言うと、静まりかえっていた大広間が騒がしくなった。










「ここがウサギさん寮だよ!!」


クー先生が言った。


「いい?寮に入る時はこの銅像に合言葉を言うんだよ?」


先生が指差した先には、なんか見ているだけでイライラしてくるような銅像が立っていた。


「合言葉を言うよ?」


クー先生が一年生を確認しながら言った。


「"ぺちゃパイ"」


・・・



・・・・・・



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


銅像が動き出し、寮への扉が現れた。


「分かった?で、この談話室の右の階段が女子寮で、左が男子寮だからね!」


先生が微笑んだ。


「「…」」


微妙な表情を作るウサギさん寮の一年生の三十人。


「?どうしたの?」


首を傾げるクー先生。


「あ!そだ!はいネクタイ!!」


クー先生がネクタイを三十本取り出した。

ネクタイは桃色と黒のストライプで、端に可愛らしくウサギが刺繍してあった。


「授業がある時は、下はなんでもいいけど、上はYシャツとローブと、このネクタイを着けてね!」


クー先生が一年生にネクタイを配布しながら言った。


「じゃ、授業は明日からだから、明日までに学級委員長とか決めておいてね!」


そう言うと、クー先生は去っていった。









「…あの〜」


何人かの女子がプリンに近付いてきた。


「む?」


「お名前…教えてもらえなせんか?」


顔を赤くしながらその中の一人が言った。


「僕はプリンだ」


プリンが言うと


「すっ…素敵…!!」


質問した女子がよろけた。


「あのっ!あたしリンゴって言います!!」


「私はミカンです!!」


「わたしはプラムです!」


「あたしはザクロです!」


女子達が次々と自己紹介をした。


「ふむ、リンゴちゃんにミカンちゃんにプラムちゃんにザクロちゃんか」


プリンが言った。


「「ち…ちゃん付け…!!」」


幸せそうに失神していく女子。


「凄いねー!プリン、モテモテー!!」


ココアが言った。


「ねむねむ」


プリンが枕に顔を埋める。


「あららー寝ちゃったー」


「絶対起きてる方の時間のが短いよね…」


ミントが言うと


「静かにっ!」


という一言により辺りが静かになった。

皆が声の主を振り返る。


「…今から学級委員長を決めましょう?」


黄色の髪をツインテールにし、赤縁眼鏡をした女子が言った。


「その前に自己紹介しなーい?」


ココアが言った。


「…そうですわね」


赤縁眼鏡が言った。


「申し遅れました。わたくし、レモンと申します」


赤縁眼鏡改め、レモンが会釈しながら言った。


「はーい!次私ー!」


ココアが手を挙げた。


「私ココアー!よろしくねー!!」


言い終わると


「ホラ次!」


「お、オレ?!」


ミントが前に押された。


「えっと…ミントです。よろしく」


軽くお辞儀するミント。


「起きてプリン?」


「む?」


そしてプリンを起こした。


「自己紹介だって」


ミントが説明した。


「ほう」


状況把握が出来るとプリンが言った。


「僕はプリンだ」


そして一歩下がり、その隣にいた少年に自己紹介バトンを目で渡した。


「えっえっと…サラダです…」


猫耳少年が言った。


「次はわたしね?私はピラフよ」


「俺はラムネだ」


「ワイは―…」


…流石に三十人分は疲れるので、あとは追々紹介してきますね。


「「おいっ?!」」









「二人部屋なのか〜」


ミントが鞄を下ろしながら言った。


「ミントと一緒」


プリンが言った。


「うん。よろしくねプリン」


「…照れる」


お馴染の動作をするプリン。


「ん?ここは二段ベッドなのか〜」


「高い高い」


「プリン?上と下、どっちがいい?」


ミントが尋ねた。


「む?ミントが先だ」


プリンが返す。


「そう?じゃあ…下にしようかな?」


ミントが言った。


「うむ。では僕も下だ」


「いやいやおかしいでしょそれは?!」


ミントが突っ込んだ。


「む?」


プリンが小首を傾げた。


「…はあ…いいよ…じゃあオレが上ね」


ミントが溜め息混じりに言った。


「心変わり?」


「はいはい」


プリンの発言を適当に流しながらミントが二段ベッドの上に登った。


「…でも二人部屋なんて…どんだけ広いんだ此処?」


ミントが呟いた。


「凄く広い」


プリンが答えた。


「…あ…そう…で、先輩とかは居ないの?」


再び質問するミント。


「建物が違う」


「どんだけ広いの?!」


「こーのぐらい」


プリンが両手を広げた。


「ははっ面白いねプリン?」


ミントが笑った。


「…照れる」


「じゃあお祝いしようか?」


ミントがベッドから飛び降りた。


「お祝い?」


プリンが小首を傾げた。


「プリンと友達になれたお祝いっ!…コーラしかないけど…」


ミントが二本のコーラを取り出した。


「トモダチ…」


プリンが呟いた。


「…嫌?」


ミントが尋ねた。


「違う……嬉しい」


枕で顔を隠すプリン。


「そっか!よかった〜」


ミントが言うと


「はいコーラ!」


「…ありがとう」


プリンにコーラを手渡した。そして蓋を開ける二人。


「えっと…改めて、これからよろしくね!プリン」


「うむ…よろしく」


プリンが言った。


「じゃあ…乾杯っ!」


「かんぱーい」


カチィン


ビンとビンがぶつかり合う澄んだ音が、二人の部屋に響き渡った。


「あ、割れちゃった」


「コーラあああああ!?」



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