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学校日和  作者: めろん
29/102

第29回 クッキー日和

喧嘩するほど仲が良い…のでしょうか?


「喧嘩売ってんのか枕ァ?!」


「いちいち確認するな」


睨み合うポトフとプリン。


「…はあ」


そこから少し離れた所でミントが頭を抱えながら溜め息をついた。


「どしたのミントー?」


そこへノートを持ったココアがやって来た。


「…あの二人…どうしたらもっと仲良くなるかな?」


ミントが言うと


「え?結構仲良いと思うけどー?」


ココアが二人を見ながら言った。


「いやいやそうなんだけど…毎日のように喧嘩しないで欲しいんだよなぁ…」


そう言って、ミントがまた溜め息をついた。


「んー…方法は無くもないけどー?」


ココアが言った。


「…え!?あるの?!」


ミントが食い付いた。


「うん。三つぐらい」


ココアが頷きながら言った。


「言ってみて!!」


ミントが目を輝かせながらココアに言った。


「うんっ!私的には、刺すか縛るかすれば良いと思うのー!」


「却下」


ココアが言い終わると同時にミントが言った。


「えー?…じゃあクッキー作戦だねー」


ココアが少しだけ膨れながら言った。


「クッキー作戦?」


ミントは首を傾げた。


「うんっ!実はさっき図書室でこんなの見つけたのー!」


ココアが持っていたノートを開いてミントに見せた。


「…心友クッキー?」


そのページには、ココアの綺麗な字でクッキーのレシピが事細かに記されていた。


「これを食べるとー誰でも仲良しこよしになれるんだってー!!」


ココアが微笑みながら言った。


「てか図書室の本を勝手に模写しちゃって大丈夫なの?」


ミントが尋ねると


「模写じゃなくて引用だもーん♪」


ココアが腰に手を当てながら言った。


「はは…随分と度がすぎた引用デスネ?」


ミントが引きつった笑みを溢す。


「なーに?そんなコト言うなら協力してあげなーいっ!」


プイッとそっぽを向くココア。


「ゴメンナサイ」


透かさず頭を下げるミント。


「えへへー♪分かればよろしい!」


ココアがそう言って微笑むと


「じゃあ早速私の部屋で作ろっかー♪」


って言った。


「待て待て待て待て?」


ミントが慌ててココアを引き止めた。


「? どしたの?」


振り向いて首を傾げるココア。


「いやいやオレが普通に女子寮行って良いと思ってんデスカ?」


ミントがそう言うと


「…あそっか!!ミントって男のコだっけー!!」


今気付いたようにココアが言った。


「…一応ネ?」


なんか凹むミント。


「ごめんごめん!なんか男のコって感じがしなくて…きっとミントはお母さん似なんだよー!!」


ココアが慌てて言ったので


「はは…あんなヤツに似てたまるか?」


と言って爽やかに笑うミントでした。









調理室にやってきたミントとココア。


「えっと材料はー…」


ココアがノートを開きながら言った。


「小麦粉、バター、砂糖、卵黄、バニラエッセンス、グラニュー糖に…」


ぽぽぽぽぽぽんっ


次々とクッキーの材料を杖を振って呼び出しすココア。


「凄っ…なんでそんなの持ってるの?」


呼び出された材料を見ながらミントが言った。

呼び出し魔法は、自分の所有物しか呼び出せないのです。


「えへへー♪私、料理とかお菓子作るの好きなんだー♪」


ココアが微笑みながら言った。


「ほへー?」


ミントが納得していると


「ええ?!」


ココアが突然驚きの声をあげた。


「? どしたの?」


ミントが首を傾げると


「どどどどうしようミントー?!」


ココアが頭を抱えながら


「材料に"素敵なモノ…50cc"って書いてあるよー?!」


って言った。


「えええ?!」


ミントも同じように驚くと


「素敵なモノの単位って"cc"なんだねー?!」


「そこなんだ?!」


驚きのポイントが若干違ったので更に驚くミント。


「それ以前に素敵なモノって何さ!?」


ミントが言うと


「…はっ!!」


やっと本題に入ることが出来たココア。


「素敵なモノって何ー?!そんなの多種多様ーってか十人十色ーってか人様々ーってか抽象的すぎーってか漠然としすぎー!!!!」


頭を抱えながら叫ぶココア。


「本当にね」


同意するミント。


「うー…しょうがないね…とりあえず途中まで作ってみよー?」


ココアが言った。


「そだね」


てなノリでレッツクッキングタイム☆


「まず最初にバターをよく練って、クリーム状にしまーす!」


「はーい」


ココアの指示通りに動くミント。


「次はそれに砂糖を入れて白っぽくなるまで混ぜて、手応えが無くなったら卵黄を加えるんだって」


「はーい♪」


選手交替で、今度はココアが材料を混ぜ始めた。


「次に加えるのは小麦粉と―…」


ここまで読むと、ココアの動きが止まった。


「「素敵なモノ…」」


肩を落とすミントとココア。

すると


ニョッキニョッキニョッキ


「きゃっ?!」


「?」


机の上に毛虫クンが現れた。


「いいいいいやーっ!!」


慌てて生地が入ったボールを持ち上げるココア。


ニョッキニョッキニョッキ


毛虫クンは悠然とその場所を通ってゆく。


「…ねぇココア?」


そんな毛虫クンを凝視しながらミントが


「これで良くない?」


って言った。



・・・




・・・・・・




「ななな何言ってんのミントー?!」


ボールを持ち上げたココアが


「大歓迎だよー!!」


って言って、浮遊魔法で毛虫クンをボールの中へ入れた。


「流石ココア〜♪」


ミントが笑いながら言うと


「あったりまえじゃーん♪なにせ…」


ココアも笑い返しながら言った。


「「うちらは食わない♪」」


最悪だなオイ。


「で、次はどうするんだっけ?」


ミントが尋ねた。


「えっとー…」


ココアがノートを見て


「切るように混ぜる」



・・・




・・・・・・




「お料理魔法☆」


そう言ってココアが杖を振るとヘラがひとりでに動き始めた。


「わはー便利な魔法知ってるねココア〜!」


ミントが感心したように言った。

目を瞑りながら。


「えへへー♪でしょー?」


ココアが自慢げに言った。

目を瞑りながら。


生き物は大切にしましょうネ。









「プリンー!」


「ポトフ〜!」


箱を持ったココアとその隣を走るミントが談話室に入るなり二人の名前を呼んだ。


「「?」」


メンチきっていたポトフとプリンがこちらを向く。


「ね!コレ…食べてみてよっ!!」


ミントがココアが持っている箱を指さしながら二人に言った。


「?」


「なんだァ?」


疑問符を出すプリンとポトフ。


「えへへー♪ミントと一緒に、二人にクッキー作ってきたのー!」


ココアが微笑みながら言うと


「ありが―…」


「ありがとォココアちゃん俺の為に―…」


プリンの言葉を遮ってココアの手をそっととるポトフに


「あとプリンもね」


ココアが言った。


「う…」


「…ふっ」


固まるポトフを鼻で笑うプリン。


「てっテメ―…」


「食べてくれないの?」


ミントが下を向きながら言った。


「「!」」


驚くプリンとポトフ。


「そっか…そうだよね…食べたくないよね?」


ミントが言うと


「ごめんねミントー…私が少し焼きすぎちゃったから…」


ココアも下を向きながら言った。


「「!」」


更に驚くプリンとポトフ。


「そそそんな事無いっ!」


プリンがクッキーをひとつ摘み上げながら言った。


「おっおォう!そうだぜェ二人とも!?」


続いてポトフもクッキーを摘み上げた。


「ほ…本当?」


ココアが顔を上げながら言った。


「食べてくれるの?!」


続いて顔を上げるミント。


「おう!」


「うむ!」


パクッ


そう頷くとポトフとプリンはクッキーを口に入れた。


ニヤリ


と微笑むミントとココア。


「「…」」


動きが止まるプリンとポトフ。


「…ふっ」


「…はっはっはっ」


そして笑い始める二人。


「? どうしたの?」


ミントが尋ねると


「ふふふ」


「あっはっはっ!」


本笑いに入る二人。

プリンは枕に顔を埋めて、ポトフはお腹を押さえながら爆笑している。


「大丈夫ー?」


ココアが言うと


「…酷いコト言ってごめんなプリン?」


「「!!」」


笑い止んだポトフが突然プリンに言った。


「ぽ…ポトフが…」


「プリンのコト"プリン"って呼んだー?!」


顔を見合わせるミントとココア。


「…僕の方こそ悪かった」


するとプリンもポトフを向きながら言った。


「あっはっはっ!…なァ今から一緒に遊ばないかプリン?」


ポトフがプリンに手を差し出しながら言った。


「ふふふ、勿論だポトフ」


その手をとるプリン。


「あっはっはっ!」


「ふふふ」


そして楽しそうに笑いながら二人は談話室から出ていった。


「「…」」


「仲…凄く良くなったねー?」


「うん…でも…なんか…」


ココアとミントは、プリンとポトフが出ていった扉を見つめながら


「「…気持ち悪い…」」


って呟いた。


ちなみにクッキーの効果は一、二時間程度。


効果が切れた二人は、今までとは比べ物にならないくらい仲良しに


「ぎゃあああああああ?!なっなんで俺が枕なんかと遊んでんだァ?!」


「ききききっ汚い手で僕に触るなっ!」


「…あんだとォ?」


「一度で理解出来ないのか?これだから馬鹿は困る」


「上等だァ!!」


…なってたらいいデスネ。

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